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世界は裏でまわってる  作者: 最上 品
71/90

71.閑話 ふーちゃん/お留守ばん?

2/3

もう一話あります


 私はふーちゃん。

 ご存じの通り、キツネである。


 この度、紫乃さんの大切な自転車の人……キツネ質になりました。


「なんていうか、預かったけど……神々しいね?」


 家に入るなり、そんな事を言われながら一度神棚に置かれそうになったのでいやいやと首を振ると、机の横にストンと置かれたかと思ったらバタバタと家の中が騒がしくなって、紫乃さんのお母さんが何処からかふかふかの座布団を持ってきてくれて、自分の下に敷くことに。


「ありがたや、ありがたや」

「いやいや、母さん?拝むものじゃないと思うけど?」

「でも、貴女だってさっき神棚に置こうとしたじゃない?」


 そんな二人の様子を見ている自分としては、ああ正に母娘なんだなぁって目になるわけですが、そんな目をしてみてしまったのがよくなかったのか、白湯を目の前に置かれ、少し経つと煎餅も置かれ、スンスンと匂いを嗅ぐとちょっとだけしけっているけど、美味しそうないい香り。


「そんなもん食べるかね?」

「お供えだから、食べなくても気持ちの問題でしょ?」


 あれ?お供えって言っているって事は……食べちゃダメな奴?これはちょっと想定外だなぁ。なんて、思っていると、バリバリといい音で紫乃さんと紫乃さんのお母さんが備えるときに用意した煎餅を食べ始めます。


 二人が食べるのをただジッと見ていたのですが、ちょっとだけ我慢できなくなったので体を前かがみにしてチロチロと舌をだして煎餅を舐めてみるとうっすい塩味。

 そう言えば、時代的にも物資が無い時代って五月蠅いみんなが言っていたことを思い出します。


 そして思い出すと同時に、今は昼間と一緒で一人だという事も思い出して、それだったらちょっといたずらも楽しい気がしてきちゃいます。


「あら、ペロペロ舐めて。やっぱり食べるんじゃない?」

「そう言えば、御狐様って何を食べるのかね?」

「さぁ?お稲荷さんってよく聞くけどねぇ。流石にいきなり言われても無いからねぇ」


 確かにお稲荷さんは美味しいけど、美味しいモノだったら何でも好きだよって言えたらいいのですが、言っちゃったら多分みんなに嫌って程怒られそうな気も……するのですが、あれ?今って、一人。


 あれれ?あれれれ???もしかして、好き放題やっちゃっても、いいんじゃない?


 むふふふ。って笑うと、下品っていっつも怒るみーちゃんはここにいないし、ペチペチとお姉ちゃん面するひーちゃんもいない。

 そして、えいえんのらいばるになるかもしれないつっちーもここに居ないって事は、ゆっくり一人の時間を謳歌できるハズ。


「おせんべ、たべてい?」


 あまりペラペラ喋ると、色々と聞かれて面倒臭そうだからちょっとしたったらずな感じに……えーっと、うわめづかい?で、こくび?をかしげて?うるうる?


 なんか前にひーちゃん必殺って言っていた気のする技を使ってみると、なぜか何処からともなく「ドキューン!」という擬音が二回聞こえて、慌ててしっかり見てみると紫乃さんと紫乃さんのお母さんの目がハートマークに。


「あらあらあらら」

「なに、うそ、タエちゃん?しゃべ……るわよね?キツネだもんね」


 紫乃さんは思考停止?しているみたいで、ニッコリ優しく笑います。


「たべてい?」

「どうぞ、どうぞ。白湯よりお茶がいい?」

「んーん、これでい」


 舐めた時は薄めの味にかんじていた煎餅も齧ってみればいい味で、しけっているように感じたのも気のせいというぐらいの範囲。

 何度か煎餅が割れてこぼれたのですが、舌を使ってぺろりと舐めとれば大丈夫。


 けぷぅ


 お夜食代わりになるぐらい何というか気持ちも入っている煎餅は美味しくて。

 食べ終わって白湯を飲んで、一息ついていると頭の中に急にタエの声が。



「ごめーん、ちょっと遅くなっちゃうかも?」

「なにかあったの?」

「んー、知り合い?と会って、一杯飲むかもしれないってところかな?」


 飲むって事は、美味しい何かも食べるかもしれないけど……あ、もう煎餅食べちゃったから、人のことは言えないか。


「じゃあ、少し遅れるって紫乃さんに言えばいい?」

「そんな感じ?って言うか、喋ったの?」


 やっぱりまずかったかな?って思ったけど、怒っている空気は全く無し。

 正直に言った方が良さそうなので、今までの流れを雑に伝えます。


「うん。煎餅貰った」

「そ。迷惑だけはかけちゃだめよー?」

「はーい。お詫びもついでにしておくー」

「ありがとねー」

「ふふん。まーねー」


 もっと何か言われるかと思ったけど、そんなことはなく。

 むしろ目を閉じて話をしていたので、目を開けると二人がじーっと穴が開くんじゃないかってぐらい見てきます。


「あの、タエ……ちょっと知り合いに会ったから?遅くなるかもって」

「知り合い?って、こんな時間だけど……まあタエさんならありそうだなぁ」

「夜遅いのに別嬪さん……本当に、大丈夫?」

「私達の心配はあんまり意味ないぐらい、あの子強いのよ?」


 紫乃さんがウキウキした顔で話し始めるので、ポケットは無いけど、昼間風にふらっと乗って拝借してきたお菓子をお茶菓子として出すことに。

 そこまでの大きさは無いけど、この時代にもあったんだって昼間ビックリしたのはバームクーヘン。

 一つだけ拝借するのは結構大変で、後程こっそり一人で食べるつもりだったけど、一緒に食べるのも実は美味しいって知っているので煎餅のお皿にポンッと取り出す。


 いきなり出て来たバームクーヘンに二人は目を真ん丸にしてまるで時間が止まった様子。

 驚かせることに成功して、私は大満足なのです。





ある意味では、一番作者が書きやすいキャラクター。


無秩序、破天荒。


変にあれもこれもとやられると困るので、ある程度抑えて貰った気はしますが(笑)


閑話の位置は毎回かなり悩んでいます。

まあ、今回はその限りではありませんでしたけどね。


ふーちゃん……家に来ないかな??いや、動物は飼えないんだけど……置物的な感じで……さ?(笑)

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