表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界は裏でまわってる  作者: 最上 品
68/93

68.とまる理由(ワケ)、うごく理由(ワケ)

2/3

もう一話ありますよ


 信号待ちをしていた私の横に居たのは双葉さん。

 ただ、なにか悩みでもあるのかあまり浮かない顔をしているように見えます。


「本当に、タエさん?こんな夜遅い時間に女一人は危ないですよ?」


 心配そうに隣へ自転車を持って来て双葉さんが言ってきます。


「この通り知り合いが自転車を貸してくれているので、問題ありませんよ?」


 借りた自転車をくいっと持ちながら言い返します。


「いやっ、自転車があるだけで大丈夫って言うのは……ちょっと無理じゃないですかね?ついさっきも突風が吹いたみたいで、何人か転んだって……まあ、酔っ払いがふらついていただけかもしれませんけど」


 突風が吹くような変な天気の夜ではないのに、珍しい事もあるものだと話を聞いているうちに、目の前の信号は進める色に変わります。


「あ、信号変わりましたよ」

「えーっと……ちょっとだけ待ってくださいね」


 双葉さんは何故かそう言うと、結構な大きさの深呼吸をはじめ、スーハ―スーハ―と息を整え、唾をゴクンと飲み込むと、いきなりがばっとこっちを向きます。


「あ、あのっ家まで送ります。……って、ああ、ええと、別にタエさんの家の位置を知りたいというわけではなく、あっ、あ、下心が無い訳でもないんですけど、今の僕としては、紳士的に振る舞いたいというか、あ、でももし嫌だったら……えぇと、断って貰っても構わないんですけど……、その……、どうでしょうか?」


 声は右肩下がりに萎んでいくのですが、きっちり最後まで聞こえたのでキョトンとした顔のまま、私は言います。


「じゃあ、お願いします。って、ああ、信号変わっちゃいましたね」


 かなり気負っている双葉さんとは裏腹に、私は普通にお願いをしただけのつもりだったのですが、双葉さんを見ると……まるで瞬間冷凍したかのようにカチンコチンに凍っているような状態。

 かと思ったら、お湯が沸騰したかのように首元からみるみる顔全体を真っ赤にしていき、赤くなるにつれて解凍されたのか、ブンブンとまるで素振りをしているかのような音を出しながら頭を大きく縦に振ります。


「ひゃ、ひゃい。あ、あの、案内します?」


 案内を買って出てくれた割に、今度は双葉さんがキョロキョロと左右を見回し、縦に横に顔……というより頭が疲れないか心配になるのですが、頭をコレだけ振ったからなのか、少しずつ冷静にもなっているみたいで、首を傾げながら聞いてきます。


「えーっと、お家はどっちの方向でしょう?」

「あ、えっと北の方?この道をまーっすぐ行った先の方です?」

「んん??タエさんの御実家じゃないんですか?」

「ええ。紫乃さん……では伝わりませんね、知り合いの女給さんの家に今日、明日まで泊めてもらっているだけですね」


 その言葉にかなり驚いたのか、双葉さんは自転車を手放してガシャンと大きな音を立てます。


「今日明日って事は……タエさんは何処かへ行く、という事ですか?」

「まあ、そうなりますね。……と、それにしても……」


 なんというか、双葉さんの雰囲気は朧気ながらも知っている何かと多少違う気はしますが、その身に纏う空気感は懐かしく、思わず近くに行ってスンスンと鼻を利かせると、まるで女の子が虫を見つけた時のような甲高い声に再び真っ赤な顔という驚きっぷりでわたわたし始める双葉さん。

 タイミング的には自転車を起こそうとしていたみたいですが、今一度自転車を倒してしまい、仕方がないと借りている自転車を立て、双葉さんを手伝う事に。


「あ、あの、臭かったですか?」

「いえいえ。懐かしい香りというか、知り合いの雰囲気に似ていまして。何というか、安らぐんですよ」

「え、っと、僕が?」

「そうですねぇ」


 どうしても私は遠い目になってしまいますが、それを見ている双葉さんは最初の時と一緒で次第に、険しい顔に。


「大事な……人なんですか?」


 一大決心をしたかのような顔のまま、双葉さんは聞いてきます。


「そうですねぇ。――だった、って言う感じですけどね」


 たった一言。

 自分の中から出た言葉ですが、それは全く濡れていない布巾をギュッと、ギュギュっとこれでもかってぐらい絞り、それでも何も出ない所から無理矢理何処からともなく絞り出した様な言葉。

 でも、少しだけ心が軽くなった気がして、自分の中では折り合いがつけられていなかったはずなのに、ストンと何故か過去形で喋ることが出来た不思議。


 私はその状態に自分が陥っているのが不思議に思い、再び双葉さんを見つめるのですが、双葉さんは恥ずかしいのか、合わせていた目を慌ててギュッと瞑ると、少しだけ経って、今度は目を開き、慌てて倒れていた自転車を起こします。


「これは、負けている?いや、勝っている?本に載っていない事ばっかり起こり過ぎて、どうしたらいんだ?」


 そんな言葉をぶつぶつといいながら、もう一度進めるようになった信号を確認して、紫乃さんの家までゆっくり向かいましょう。





タイトルにルビ……出来てるような、出来ていないような???


一応確認したのですが、ダメだったら()にしていると思います(笑)


毎回つけるこのサブタイトルも結構……私的には大変で(笑)


遊び心って……どうやって育てたらよかったんだろう???

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ