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世界は裏でまわってる  作者: 最上 品
63/90

63.大事なモノとだいじなもの

3/3

本日、ここまでとなります


 面白可笑しい帰り道。

 女三人寄れば姦しいとはよく言いますが、正にその通り。

 賑やかな帰り道は思いの外すぐに、終わりを迎えます。


「じゃあ、私は先に家に入るよ?」

「ええ。みょーちゃんを送ってきたらすぐに帰ってきますよ」


 紫乃さんの目は何か怖い事でもあった事があるのか、凄く心配そうな目で私を再びみてきます。


「ええい、仕方ない。……コレ!はいっ!!」


 いきなり覚悟を決めたと言わんばかりに大きな声を出した紫乃さんがグイっと押し付けるように渡してきたものは紫乃さんがいつも乗っている自転車。


「これがなくなっちゃうと、私の出勤にかかわるから、本当に、本当に大事なモノなんだからね!!」


 紫乃さんにとっての大事なモノだという事は分かりますが、今押し付けられる理由が分からずに居ると、クイクイっとみょーちゃんが紫乃さんの気質をよく知っているのか、裾の辺りを引っ張って耳に一言。


「貸してくれるみたいです」


 か細い声は聴力を最大限にしないと聞こえないぐらいでしたが、私の調整はバッチリなので、みょーちゃんの声も届きます。


「いいんですか?」

「よくないよ?でも、仕方ないだろう?心配なんだから。ちゃんと、早く、帰ってこないと……、ダメ……だよ?」


 声はどんどん尻すぼみ、最後の方は……聴力最大です!


「この自転車、大事なモノだって昨日の夜にも聞きましたよ?」


 寝る前の色々な話で確か聞いた記憶があったと伝えれば、それ以上に大事だって言われてしまうと、これ以上の問答は逆に申し訳ないわけですが、なんというか、私だけ一方的というのは、嫌なもので。


「ちょっとだけ、待ってくださいね?」


 私がそう言うと、まだ心配そうな紫乃さんと何か起こるの?って顔のみょーちゃん。



 少しだけ慌てながら、私の脳内会議を始めます。


「紫乃さんっ!愛してるっ!」

「ほんっとうっにいい人よね」

「むむむー?」

「なんかちょっと……お腹減ってきた」


 今日も今日とて、四人はいつもの様子なのですがちょっとお願いしてみましょうか。


「誰か一人、出てこられる?」

「「「「えっ?」」」」


 四人の反応はそれぞれで、主に喜びと食い気がかなりの割合を占めているわけですが、昼間も外に出ていたので、私としてはそこまで驚く?という感じ。


「紫乃さんがね、凄く大事な自転車を貸してくれることになったみたいなの。だから、私も凄く大事な何かをせめてここに渡しておかないと、不公平……でしょ?」


 世の中、なんでもかんでも等価交換とはいきませんが、自転車の代わりというよりは自転車という紫乃さんにとって大事なモノと同じぐらい私の大事な何かといって思いつくものの真っ先に選べるモノは私の中の私なわけで。


「ここは私、年長者のひーちゃんが!」

「いえいえ、冷静沈着なみーちゃんが!!」


 二人が立候補とばかりに言うのですが、そういう全てをまるっと無視する存在が。





 私のポケットがモコモコっと大きく膨らんでいきます。


 突然女性の服の下側がモコモコと膨らむ事なんて通常無い訳で、心配そうだった紫乃さんも何か起こると予測していたみょーちゃんも目を大きく開き、口をポカーンと開ける事態に。


「……ナイショ、ですよ?私の大事な、とっても大事な心の一つです」


 まるでそこから出すのが当然と言わんばかりに、ポケットのサイズではありえない子猫程の大きさの狐を取り出すと、紫乃さんの両手にそっと渡します。

 その狐は月の光でツヤツヤとしていて、置物?と思えるぐらい静かに佇んでいますが、生き物だと分かったのは、クァーっと大きなあくびをしてみせたから。


「紫乃さんの自転車、お借りしますね?」

「あ、ああ。この子……は?」

「毛も落ちませんし、暴れもしないと思いますが、ちょっとした話し相手ぐらいにはなりますよ。大事なものをお借りするので、私の大事なモノも渡さないと不公平でしょう?」


 ついさっき、恭しく木札を受け取った番台の女性と同じような形で紫乃さんが両手を上げ下げしてみると、ちょっとだけ浮遊感があって面白いのか、笑顔になるふーちゃん。


「その子、ふーちゃんって言います。少しの間ですが、よろしくお願いします。ね?ふーちゃん?」


 私の言葉に、頷くふーちゃん。

 キラッと目を光らせて、かわいさをアピールして見せると、紫乃さんもそして横で見ていたみょーちゃんもメロメロに。


「わたっ!私も、ちょっとだけ触らせてもらっていいですかっ!」


 みょーちゃんがそう言うと、ふーちゃんが頷いたので、そっと頭を撫でてあげると、目をスッと細くして、満足そうな顔をするので思わずみょーちゃんが両手を合わせて拝むほど。


「そうだ。さっきのを……」


 折角自転車を借りたので、座りやすいクッションのようなものを自転車の後ろにもう一度括り付け、みょーちゃんが再び乗れるようにしましょうか。


「さ、みょーちゃん。後ろに乗って下さいな?お家まで送りますよ。あ、送りながらお話するつもりでしたが……色々は、着いてからになりますかね?」


 歩いて送る予定だったので多少予定が変わりますが、色々と早めに終わるかもしれませんね。





引き続き、見たいものを書いた感じですが……。


色々と考えて、考えて、考えた結果……こうなりました(笑)


読者の予想を裏切れているとちょっと嬉しい気もしますが、変に裏切り過ぎても……ただのひねくれものになってしまうので、塩梅が難しい。


塩加減って本当に、大変だわぁ


という事で、本日も読んでいただき誠にありがとうございます。

ではまた、次回大安吉日によろしくお願いします。


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