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世界は裏でまわってる  作者: 最上 品
59/60

59.いきかえりの湯

2/3

もう一話あります


 みょーちゃんの不思議な踊りの真似を私が何故か始めるとプッと噴き出すようにわらったのが紫乃さんとみょーちゃん。


「えー?真似をしただけなんですけど?」


 真面目な顔で同じ動きをしたつもりだったのですが、紫乃さんは顔を伏せる程ツボに入ってしまったみたいで、俯く事に。

 そして、初めに踊っていた……というよりは、ただアワアワしていただけのみょーちゃんは泣きそうな顔からこらえきれないほどの花の咲いたような笑顔に。


「まあ、色々といいたいこともありますが……いいでしょう」


 腑に落ちないと言いたいところですが、ほんのりあった暗い空気はみんなの笑顔でどこへやら。


 若干動けない状態の紫乃さんから自転車を奪うように受け取り、ヒーヒー言っている紫乃さんの片手をみょーちゃんに引いてもらいながら銭湯に到着。

 中で渡してもいいとは思ったのですが、ポケットから出しやすいのでみょーちゃんに手拭いを渡します。


「はー。笑った、笑った。タエちゃん、あの踊りは封印ね?」

「ですから、あれはみょーちゃんの真似をしただけですって」

「いやいや、みょーちゃんのと違って、ビシッバシッってなんていうの?キレが違う?所作の良さが出ているって感じかしら?ねぇ?」


 紫乃さんがみょーちゃんに話を振ると、うんうんといいながら凄い頷きを見せます。


「そういうつもりは……無かったんですけどねぇ」


 納得がいかないと言いたい気持ちが強くなりそうだったのですが、踊りに関しては一家言あるのか、頭の中はかなりざわつき始めます。



 何の脈略もなく中から飛び出そうとするふーちゃんの尻尾を容赦なくムギュと掴むみーちゃん。


「ふーちゃん、ダメだって出ようとしちゃ」

「でもでも、踊りはもっとこう爪の先までピーンとしっかり伸ばして、腰の動きはキレをみせつつ、艶やかさをこう……キラキラと纏って……」

「ふーちゃん、今はタイミングじゃない。明日のご飯もカレー蕎麦もなくなっちゃう」

「カレー蕎麦がなくなっちゃうのは嫌!!」

「だったら、我慢」

「……うん」


 みーちゃんの力づくからの説得には応じようとしなくても、つっちーのご飯による説得にはすぐに応じる辺り、やっぱり食いしん坊だと分かりますがふーちゃんの踊りに対しての熱量は結構なもの。食べ物と同じぐらいふーちゃんの範囲の一つなのだと分かります。




「タエちゃん?いきなり止まって、どうしたの?」

「え、いえいえ。早くお風呂に入りたくって、ウズウズしただけですよ!」


 暖簾の手前でピタッと止まってしまっていたみたいで、ちょっとだけ誤魔化すように言いながら今日も待ちに待ったお風呂タイム。

 足の伸ばせる銭湯ならではのゆっくり時間がすぐそこまで来ている状態。

 番台でお金を払って、脱衣所でパパっと脱ぎ、石鹸と手拭いをもってまずは体を洗いましょう。


「思いっきりがいい……流石、タエさん」

「だよねぇ。アレだけの別嬪さんなのに、恥じらいの一つもなく目をキラキラさせて洗い場に一直線だものね……」


 後ろで紫乃さんとみょーちゃんがなにか話しているみたいですが、お風呂は今も私を待っているので、丁寧にでも素早く体を洗って石鹸をみょーちゃんに渡したら、一番熱そうなお風呂へ行きましょう。



「いぎがえるぅぅぅぅ」



 別に今日一日すっごく大変だったとか、何かしらの後悔があるとかそういう事ではなくお風呂というのはその日一日あった全てをゆっくりと溶きほぐし、癒してくれるありがたいモノで。

 フッと目をとじれば、足の先から、腹の底から、肩の上から色々な何かが勝手ににじみ出ます。


 そして、私の周りには何故か強めの湯気がぼわわーんと。



 って、あれ?……もしかして、魔力がもれちゃって……る?ハズ、ないんだけどなー?………………ま、いっか。



「ありゃ、誰か窓でも開けたかね?温度差で曇っちゃったね」

「タエさんに占いの話を聞こうと思っていたのに……って、このもくもくなんですか?」

「ここのお風呂は熱いから、たまーにこういう事にもなるんだよ」


 二人の声が洗い場から近づいてきているので、こっちにおいでと声を掛けましょう。


「お二人共、こっちですよー」


 もくもくしていても、紫乃さんは慣れているのもあって迷いなく進み、その後ろをみょーちゃんも付いてきているのかすぐにこっちへ着きます。


「わっ、昨日と一緒で一番熱いお風呂だね?」

「熱いからこそこう、疲れがドドドって体の中から出るんですよ?」

「それは、熱い湯に慣れている人だけだよ?タエちゃん。私はこっちの少し水で埋めた丁度いい湯に入らせてもらうよ」

「熱が疲れを溶かすんですけどねぇ?」


 私たちの会話に少し迷って、みょーちゃんは覚悟を決めて足だけ一度私が入っているお湯にぴちょんと入れたのですが、すぐに足を出すと素早い動きで紫乃さんの方へ。


「タエさんの入っているお湯、熱すぎません?」

「江戸っ子は……あの熱さに短めに浸かって、短時間で温まって早仕事って落語とかでもよく言うんだけどね……。昨日もそうだったけど、タエちゃんはアレに長ーく浸かれるんだよ」


 何故か目をキラキラさせて、みょーちゃんが凄いお姉さまって視線を投げてきている気がしますが……、多分このもくもくが見せる幻でしょう?



お風呂回、再び。。。


家のお風呂でほっこり温まるのも好きですが、大きなお風呂でじっくりぽかぽかもいいモノです。


あと、お風呂場のもくもくした感じがサウナではないけど、ミストっぽく、肌に良さそうなイメージも。

いや、べつに肌艶気にしたことないんですけど……。(笑)


熱いお湯は長時間とか無理です。

でも、熱いお湯好きなんですよね……。

いや、温いお湯も大好きですけどね……ラムネ温泉とかみたいにじっくり長時間は入れるのいいですよね。


温泉津温泉の一番熱い……右のお湯。。。

地元民じゃないけど、30秒以上入れたのは、ちょっとした自慢……。って、自慢って言えるのかな?(笑)


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