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世界は裏でまわってる  作者: 最上 品
19/60

19.ふつかめの占い師と大工

1/3

……頑張ります(笑)


 市場の活気を背に昨日占いをしていたところに向かうと、まだ机も出していないのに男の人が一人立っています。


「あれ?」

「おう、タエさん。場所はしっかり取っておいたぜ」


 そこに居たのは昨日の大工。

 笑顔で左手を挙げて、挨拶をします。


「わざわざ場所を?」

「それもあるが、折角だからあさイチで俺も占いを頼もうかと思ってな」

「では、すぐに用意しますから少々お待ちを」


 本当はポケットからそのまま机を出せる訳ですが、そんなトンチキな事をしても驚かれるだけなので、ちょっとだけ大工さんを揶揄うのもいいかと思い、後ろを向いてもらう事に。


「後を向けばいいのか?」

「ええ。折角なので数も数えて下さいな。そうですね……五つぐらい」

「わかった。じゃあ、数えるぞ……ひとーつ、ふたーつ……」


 私達を気遣って、ゆっくりと大工さんが数えてくれている間に、ポケットから昨日つかった机を出し、ヒイラギの葉っぱに魔法をかけてカードに変化させます。後は……そうそう、ヒイラギの枝と葉を横に飾って……。


 多分、こんな感じだっただろうと思い出した形に机を調え終わると丁度数えが終わる。


「いつーつ」


 言うと同時にグルンっと、体を回す大工の前には昨日の状態の私達。


「……凄いな?手品ってやつか?」

「似たようなものですよ。さて、どんなことを占いましょう?」


 驚いたまま停止している大工さんに何について占うか聞いてみると、悩んでしまいます。


「こんなご時世だが、俺達はこの通り生きてるからな。アレもコレも直さにゃいかん。食いっぱくれることは無いと思うが、どうかね?」

「なるほど、今後を見る感じですかね?」

「何でもいいなら、それで頼むよ」


 かなり雑に大工が言うのが不思議でしたが、まあいいやと思いながらカードをバラバラに。


「さ、少しだけ混ぜてから直感に従って一枚引いて、……選んでください」

「お、おう。そうしたら……こうやって……コレ、かな」


 大工が選んだ一枚を真ん中に置き、他のカードを横にずらしてカードをめくります。

 めくったカードの図柄は狐女が水を汲み、本来であれば上にあるはずの星が下。


「逆位置の星ですね」

「言われてみれば、星が下か?」


 なかなか判断が難しいカードが出てしまった気がするわけですが、小さく息を一吐きして私も覚悟を決めましょう。


「星の逆位置は、あまりいい言葉が無く『失望』であったり、『未来』の見通しが立たなくなってしまったり、この先に困難が待ち受けていることを表します」

「……そうか。負けたばっかりでココが底かと思っていたが、そうでもない訳か」

「いえ、そう言う感じではなくて……えーっと、お弟子さんとかいますかね?」

「そりゃあ、棟梁やってりゃいないとは言えないだろ」

「今回の失望や喪失はご自身ばかりではないので、目にかけているお弟子さんの不祥事だったり、思いもよらない不幸であったり、行き詰まってしまう事だったりを示している感じ……ですね」

「そりゃあ、人間生きてりゃ、いい事も悪い事もあるわけだから、当たり前だろ?」


 カラッと笑いながらそんな事を言われてしまうと、占いの意味や意義が薄れてしまう気がしますが、大工さんの言う通り。


「ええ。おっしゃる通り、いい日もあれば悪い日もあります。その中でも気を付けないといけない時があなたの人生にはあると今回のカードで出た訳です」

「なるほどな」


 少し悩むそぶりの後、顔を上げた大工は気にした表情でもなく。

 ただ、そういうものと理解はしてくれたことが分かります。


 そばに置いてあるヒイラギの葉っぱを一枚ちぎり、ぎゅっと右手を握り込んで両手を頭の目の前で合わせながら、お祈りをし、次にスッと下げながら右手を開くと白い紙に包まれた御守りが出てきます。


「一度……いえ、この感じですと二度か三度まで守る必要がありそうですから、そのぐらいまで守り通せる力を注いでおきました」

「おっ、そうそう。これこれ」


 持っていた御守りをひょいっと掴むと、ニコっと笑う大工。


「昨日アイツが貰っているのをみて俺も欲しくなったんだよ。この御守りがさ」

「ああ、だからさっき何でもいいって感じだったんですね?」

「すまないね?」

「いえいえ。当たるも八卦、当たらぬも八卦。占いはそういうものですからね」

「でもよ、タエさんの御守りってのはなんつーか、こう……効果がありそうだろう?」

「そう言ってもらえると嬉しいですけどね」


 ニコっと笑うと、ハッと何かに気がついた大工が慌ててポケットに手を入れると、出してきたのは五円玉二枚。


「大事な商売だよな。ほい。十円」

「ご縁が二つ。今日もまたいい出会いが色々とありそうですね?」

「タエさんは分かってるねぇ。大工ってのはゲン担ぎが好きなんだよ」

「大工以外もゲン担ぎは好きですよ?」

「おっきなモン作る俺たちゃ、そういうものも込みで色々背負って作るのさ」


 そう言って、もう一度笑うとついさっきまでの顔つきとは違う、仕事人の顔に。


「おっと、そろそろ仕事始めだ。タエさんはここらの癒しだから、俺たちゃすぐそこで働いてっから水飲みにきてくれよ?」


 そう言いながら、今日は幸先のいいスタートをきります。




オカシイ。

何で大安がこんなに近いのっ!(笑)

全然浮かばないのにぃぃぃ(笑)


作者の感想としては、タエさんのカード……欲しいです。


大アルカナのみのモノなので、枚数もそこまでないはず。


トランプとかタロットとか……なんとなく惹かれませんかね??私だけですかね?

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