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世界は裏でまわってる  作者: 最上 品
18/60

18.ちいさな案内人

3/3

本日分、以上です


 夢を追う店主に御守りを渡し、少しだけいい気分になりながら賑やかな通りの端まで来ると、一気に静かな住宅街に。


「方向は殆どズレてないから、市場に行きましょ?」

「おっさかなー」

「ついでに昨日はじっくり見られなかったから、あのパッカーンって割れる橋も見ようよ」

「うんうん。気になっていたんだよねー」


 向かう先は昨日と一緒だが、ルートが違うので見える景色も違いが沢山。

 閑静な住宅街を抜けると、先程とは違いのある賑やかさが戻ってくる。

 そして賑やかさと一緒に見えてくるのは昨日の橋。ちょっとだけ周りを散策してから、橋の袂に戻ってくると、さっきよりも人の波に押され始めます。


「ぱっかーんって割れるこの橋って、もしかして結構有名?」

「みたいですよ?物資の運搬も川を使っているみたいですし、この後に向かう市場も活気がありますからね」


 周りの活気にあてられたのか頭の中も活気づいてきますが、昨日と同様にこの辺りはみんな忙しいみたいで、行き交う人達の足は速足。

 どうしても私達は邪魔になってしまうみたいで、自分が思っている方向とはズレながらも人ごみの流れに乗って市場の方へ。


「ねえねえ、アレって競り?」

「競りはもっと奥だから、アレは仲買さん達の商売じゃないの?」

「何言っているのか分からないね?」

「変なのー?」


 流れに乗って動いていたので、自分達が奥の方まで来ているのか市場の手前の方に居るのか分かっていないのですが、すれ違う人達がジロジロと好奇な目で見てきているのは分かります。


「ジロジロとみられるほど、オカシイのかな?」


 独り言をぽつりとつぶやくと言葉に返事を返すように、服の裾をぐいぐいっと強めに引っ張る女の子。


「ん、どうかした?」

「お姉ちゃんは迷子?キョロキョロしているけど大丈夫?」

「違うよ?」

「でもこっちは、かんけーしゃしか入っちゃいけない所だよ?」


 確認しようと周りを見ると、目を伏せる男衆と禁止としか書かれていない張り紙が。


「そうなの?」

「うん。私もいっつも追い出されちゃうもんっ」


 にへらと笑う顔はとても優しく、ここら辺にいつもいる子供だというのは今の発言からも分かったので、案内を頼んでみる事に。


「迷子じゃないんだけど、この辺りはあまり来たことが無いから案内してもらえる?」

「んー、どうしよっかなー。あたし、やすい女じゃないのよ?」


 両手をわざわざグーに握り、腰に当てるとツンとアヒル口をしながら女の子が言います。


「じゃあ、霊験あらたかな御守りを渡すので、案内をお願いできませんか?お嬢様」

「あら、よく分かっているじゃない。お金じゃないのはいただけないけど、よろしくってよ?お姉さま?」


 右手のグーを開くと人差し指を一本だけ上げて頬を指し、ニコっと笑った女の子は笑顔で頷いてくれます。


 市場の案内を女の子に頼むと、左手で私を引いてくれてぐいぐいと色々な説明をしてくれますが、中々その内容は楽しいもので、聞いているこっちが笑顔に。


「このおじちゃんはちょっとウルサイけど、やさしくてはじっこたまにくれるでしょ。こっちのおばちゃんはおこらせたらこわいけど、いっつもニコニコでこっそりたべさせてくれるの」


 市場の案内というよりは、自分が何処に行くと食べさせてくれるとかこの奥に行くと隠れられるみたいな女の子の生活スペースを案内して貰えたのですが、ある程度歩いたところでグイっとかなり強く引っ張られます。


「どうかした?」

「あそこから先ははいっちゃメッだって。あと、あっちのおじちゃんはいっつもオニみたいなカオでこっちみてきて、そのうちあたしたべられちゃいそうでこわいの」

「たべられちゃうの?」

「あたし、かわいいから。それに周りのみんなが見ているのはお姉ちゃんやあたしが歩いているからよね。キレイってつみだわぁ」


 そうだねと、思わず笑顔になりながらぐるりと一周案内をしてくれて、ポケットから渡すのはお駄賃代わり。


「わぁ、なんてキレイなの」

「楽しく案内をしてくれたお礼よ?あなたの事を守ってくれるようにお願いをしたから、なるべく持っていてあげて」

「うん。ぽっけだとおとしちゃいそうだからおかあちゃんにぬってもらおうかな?」


 そう言いながら、女の子が渡した御守りを光にかざしてみたり、香りをかいでみたり、一通りのことをし、満足したのか笑顔を私に返してくれます。


「ありがとう。あとで、みんなに見せびらかしちゃお」

「いえいえ。こちらこそ案内をしてくれてありがとうございます」


 そう言ってウインクを一つ見せてあげると、ポッと女の子の頬が染まります。


「上には上がいるってきいたことがあったけど、ほんとうね。べっぴんさんってわたしまでほれさせちゃうのね」


 そう言うと恥ずかしくなったのか、両手をパタパタさせてから足早にさっき教えてくれた隠れ場所の方へ。



「お魚じゃなくて、女の子みつけたね」

「お魚も、野菜も、乾物屋さんも場所はわかったからいいんじゃない?」

「ちらっと聞こえた話だと夕方にはほとんどしまっちゃうみたいだよ?」


 女の子に手を引かれながらも各自で情報収集はしっかりしたので、そろそろ街も起き始める時間。市場の余韻を背中に受けながら昨日の場所へ行くとしましょう。







本日の更新はここまで。

楽しんで頂けていれば幸いです。



二日目の朝を今回は色々と見ていただいた形でしょうか。


作者的には宝の地図屋さんが一押し(笑)

昔のテレビで埋蔵金の話とか、結構多かったのですが……最近見ない。

いや、どうせ見つからないというのも分かりますがなんというか、ほら、ロマンですよね(笑)


最近で言うと、引田天功氏の埋蔵金がたまにニュースに取り沙汰されていますが……夢を追いかけるべきでしょうか?(笑)


まあ、宝の地図とかそういうのが好きと思って頂ければ十分です。


次回の大安でまたお待ちしております。



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― 新着の感想 ―
地図があるお宝は、既に発掘済であることが多いと言いますが… 現実を考えると、沈没船を探しに深海に行くのが現実的なのかなぁ。 でも、腐食してる可能性と、引き上げを考えるとやっぱり割に合わない? なんて考…
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