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世界は裏でまわってる  作者: 最上 品
17/60

17.そばとたから

2/3


「朝から蕎麦、最高だねぇ」

「私のリサーチに間違いはなかった」

「いやいや、僕が見つけたいなり寿司が最高だったでしょ?」

「まあ、驚く中身ではあったけどね」


 蕎麦といなり寿司の朝食はかなり満足のいくものに。

 何よりも面白く美味しかったのが、いなり寿司。

中身はおからにちょっとだけ穀物が入っているような感じで、ご飯のいなり寿司を想像していた自分達は驚くばかり。


ぷちぷちとした食感の粟におからはつゆがたっぷり染み込んでいる。

ガブリと噛むとお揚げからもジュワっと口いっぱいに広がるつゆ。

蕎麦のつゆとほんのり違い、更に蕎麦を美味しくしてくれる味わいだ。


 これだけ食べても、十円。


 ギリギリお金が残ったので、お昼の心配は無いかと思ったのですが、そこはしっかり者のみーちゃん。


「昨日の場所と価格が違うから、しっかりと今日も稼がないと、お昼抜きだよ!」

「それは困る」

「因みに今食べたいなり寿司と蕎麦以外がいいから、そうなると……焼き魚?」

「いーっぱいお金をためて、お寿司とかは?」

「そんな屋台、昨日見た?」

「……みてないかも」

「じゃ、自分で作る?」

「「「「それだっ!!!」」」」


 あれ?ちょっと方向性が怪しい?

 みんなで占いをしてお金を稼いで美味しいモノ食べるんじゃないの?

自分で作るのは、嫌いじゃないけどいつもの味になっちゃうよ?と、心配を始めます。



 そんな心配をしていても、流れはどうやら美味しいモノになってしまったみたいで。


「まだ占いをするには早いから、折角だし昨日もちらっと見た市場に行こう!」

「そうだね。美味しい食材……でも、お金ないよ?」

「現地で占いする?」

「昨日の場所でした方がいいんじゃない?」

「ほら、みんな騒がない。とりあえず、市場のチェックに行って後で考えればいいんじゃない?」

「「「「それだっ!」」」」



 ぜんぜん『それだ』って感じではありませんが……こんなこともあろうかと、色々と準備は出来ているのでマズそうになった時だけは頑張るとしましょうか。



 朝食を終えた私達は昨日の建築現場に向かう道すがら、散歩よりは少し早いペースで街を散策。復興のさなかというのもあって、暗い場所はとても暗く賑わう場所は賑わっていてどうしても賑わいにひかれて散策を続けていると、一際賑わう場所が目と鼻の先に。


「なんだろう?」

「ちょっと見てみる?」


 そこは、時間を忘れるほどの賑やかさだった。


「らっしゃい!らっしゃい!早い者勝ちだよぉ」

「何でもあるよぉ、とりあえず見ていきなぁ」

「人間食べないと生きていけないからねぇ。ほら、安いよぉ、食ってきなぁ」


 大きな声と行き交う人が多く、雑多な空気。

賑やかなお店ばかりかと思うと、そうではないみたいで商売をしながらも満州やシベリアから帰っていない旦那さんの行方を聞いている女性や息子が南方に行っていたはずだと聞きまわっている母親らしき姿も。

 とてもごちゃごちゃしている中に、少しばかりの秩序もあって、大きな声で子供が客引きをしているお店があり、どうやら子供の償いらしく子供も必至で声を上げている模様。


「こんなご時世だ、よっといで、みておいき。ほーらほら、コレはかの有名な徳川さんちの埋蔵金、いや、豊臣さんの埋蔵金の地図だよぉ。出るかで無いか分からないけど、やってみなくちゃわからない。今すぐじゃなくたって後で発掘すりゃぁいいから、買っていきなぁ」


 そんなものまで売っているの?と思う様なお店まであって、思わず体がグルンと反対を向いてそのお店に近づくのですが、座っている店の店主がじーっとこっちを見てくる。


「おう、別嬪さん。お宝に興味があるのかい?」

「ええ。ちらっと見せてもらう事は?」

「へへっ、商売なんで、そう言うのは出来ねぇんだ。かっとくれ」

「因みにお値段は?」

「徳川さんのが三円、豊臣さんが五円。どっちも合わせて十円だ!」

「合わせたら、八円じゃないの?」

「どっちも買うんだ、スコップや荷車もつけてあげるんだよ」

「それは……なんというか、売れなさそうね?」

「まあな。ただ、この活気に包まれてりゃあ生きてる気がする。ココに居るだけでも俺は満たされてるんだよ」


 へへっと笑う怪しいお店の店主は、よーく見ると片足がありません。


「戦場に居たら、誰だってこういう事もあるさ。ただ、自分で掘れなくなったのは悲しいから、誰かにこれを継いでほしくてな」

「売れなくても、楽しいんですね?」

「へへっ。その通りだよ、別嬪さん」


 ちょっとだけこの人のことが気になり、右手をポケットに。

 ポケットの中にある昨日のヒイラギの葉っぱを一枚ぎゅっと握り込み、ポケットから出して左手で握り込んだ右手をポンと叩きます。


「お?」


 そのいい音に右手を見ている店主。

 右手を開くと、そこには白い紙で包まれたような御守りが。


「その古地図は買えそうにないけど、夢を託そうという店主さんの心意気に。これを」

「いいんかい?」

「ええ」


 なんとなく、この御守りを渡した方がいいような気が。

 店主はありがとうと言って笑顔で御守りを貰ってくれました。





この時代、お米がとても貴重でして。

でも中身のないいなり寿司が売っているとは思えなかったので、これに関しては殆ど作者の創作です。

ただ、AIもあり得る可能性が高いと言ってくれているので、ギリギリアリかなーって。


でもって、今の時代でこれを作るとダイエットに良さそうな普通に美味しそうな一品に。


美味しいモノって幸せを感じるので、あれもこれも食べたいのですが……。


豆腐屋さん出揃いそうだから一度やってみるのはいいかもしれないけど、粟とかヒエが逆に手に入り辛そう……。

ままなりませんね。

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