表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界は裏でまわってる  作者: 最上 品
16/60

16.いろいろな出会い

無い袖は振れないのですが……ちょぴっとだけ袖があったのです(笑)

1/3となります。

本日もよろしくお願いします<__>


 ノートの文字を目で追いながら、その情景を瞼の裏に浮かべてみた。


 瓦礫だらけの街に日が昇り、落ちる代わりに月が昇る。

 月明かりがぽつぽつと人影を映し、人の移ろいを感じさせながらもまた月が落ちて日が昇る。日と月が上り下りしながら海に沈み、そしていつの間にか海の中に入ってもその動きは変わらないのだが、日が昇っても月は落ちずに、行き先を探している。


 深海に落ちて来た日の光を感じさせる情景にうっとりとしていると、慌てた声が横から聞こえ、現実に引き戻される。視界の端で、まだ気づいていない人の気配がちらりと映る。


「えっと、誰?」


 気配のする方を向くと、怪訝そうにこちらを見つめる瞳。


「私は、タエ」

「……タエさん?」


 更に眉をひそめながらも目線を上げてこちらを見て来る。


「そう。いい詩ね?」

「あ、うん。ありがとう?」

「どういたしまして」


 折角海の中から見上げる空の美しさを楽しんでいたのに、ちょっとだけ情緒のない彼。


「僕は、双葉。長男なのに双葉なんておかしいよね」


 ノートを閉じて、立ち上がって視線を合わせて名乗って来る。


「いい名前だと思うよ?」


 そういうと、ニコっと笑う。


「そろそろ仕事に戻らないと。いい閃きをくれてありがとう」

「どういたしまして」


 さっきと同じ言葉を口に出すと、一緒に笑う。

 ただ、その笑顔は張り付いたものに見えた気がして、更に言葉を続けようとしたのだが、彼は近くにとめてあった自転車に跨ると、どこかに消えて行った。



 不思議と気を引く人だと思いながらも、お腹は正直。


「さて、朝食を求めて動きましょうか」


 頭の中の賛成の声に従って、私達もこの場を後に。



 ふらふらといい香りがしそうな方向を探しながら歩く街並みは、かなり復興途中というのもあって、壊れきった家の隣に新しい柱が見えちぐはぐさがうかがえる。

 倒れているのか、寝ているのか分からない様な男の胸の辺りには一升瓶が抱えられ、酔っているのが分かりますが、その人にすがるような奥さんは泣いていて、手を引いても動こうとしません。


「頼むよぉあんたぁ」

「うるせぇ、負けたんだ。負けた人間が……どうな……どう、なったか、知ってるだろ……。あんなの、勝てるはずなかったんだ……」

「でも、あんたは生きたじゃないか」

「違うっ、違う……生きてるんじゃ……死んでないだけで……クソぉ。クソぉ」


 男は言いながら、中身があるのか分からない一升瓶を煽り、口元からは水か酒か分からないモノがこぼれ、それでも首だけは左右に振ります。


「あんとき、俺は……怖くて……」


 その男を奥さんが手を引きながら外じゃ迷惑だからと家に入れようとするのですが、今度は男が震え始め、歯をガタガタいわせる。


「中はダメだ。入っちゃダメなんだ。中は、中は……」


 そう言った後、ガクッと一気に力が入らなくなったみたいで奥さんが慌てて揺するが、どうやら気を失って、寝ているのと同じような状態に。

 周りの人達も慣れているのか、すぐに人を集めると「せーの」と声を上げながら家の中に男を連れて行きます。


「戦後復興をこの国は果たすけど、全員がすぐにあった事を飲み込めるハズないよね」


 全員が全員、全てを飲み込んで前に進めていたと勝手に思っていた部分が少なからずあった私には、なかなか厳しい現実を目の前で見せられたわけですが、頭の中は違ったみたいで。


「私達みんなに違いがあるように、前に進める人ばっかりなわけないわ」

「だねー。うちの食いしん坊みたいにそんなことをまったく気にしない人もいるだろうし」

「気にしてない訳じゃないけど、この辺りはちょっと臭いから、美味しそうな香りのしそうなあっちの方に向かった方がよくない?」

「そう言えば、昨日のお隣だった蕎麦屋さんのいい香り、忘れられない様な?」

「そうしたら……出汁のいい香りは、こっちの方!」


 つっちーが今の流れに乗って、私の身体を動かしながら指を差すのは南の方向。

 そして、私達が暗いままでいたところで何一つ変わらないのだから、だったら美味しいモノを食べて、色々と前に進む人達と協力すればもっといい結果につながるのでは?と、誰かが提案をしたら、私の顔は自然と上を向き、笑顔に。


「こっちの方だよね?」


 独り言をぽつりとつぶやいたようにしか見えないけど、私の中のみんなが頷く。


 つっちーの見つけた蕎麦屋さんは屋台の蕎麦屋で、かなり遠くからでもいい香りが漂うお店。かなり早い時間にもかかわらず、お客さんがひっきりなし。


「いいお店じゃない?」

「コレは期待できる!」

「ちょっとまって、蕎麦屋だけどアレ!!」

「おお。完璧じゃない?」


 蕎麦の丼がずらっと上に積みあがっている横にあったのは、いなり寿司。


「ちょっとだけお金は心もとないけど……足りるかな?」


 昨日の残り、五円玉四枚の二十円をギュッと握りしめ、お客さん達の列に並んで朝食をとりましょう。





この間、大安が今月五つもあってと話をしたと思うのですが、恐ろしい事に気がつきまして。

来月である10月。六日ありました。大安が。


きーてないよー?


この時代のお稲荷さんとか蕎麦とかちょっと気になり、色々と調べてみるわけですが……なかなか欲しい情報にすぐにたどり着けず。

おっかしーな?もっと簡単にサクサク行くはずだった気がするんですけどー?(笑)


今日もいつもの時間まで上げていくのでよろしくお願い致します

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ