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世界は裏でまわってる  作者: 最上 品
15/60

15.あさと詩

3/3

今日は打ち止めですー<__>


 楽しい時間はあっという間に過ぎ、時計の針もてっぺんを超えた辺りで眠気も漂ってきたので、ゆっくりと休ませてもらう事に。

 そんな夜があって、日が昇り始めるぐらいの時間にスッキリとした寝覚めでもって起床。


「昨日は色々とあったから、思っていたよりも疲れていたみたいね?」

「一応みんなで順番に寝ずの番をしていたけど、安全だったよ?」

「半分寝ながら起きていたから、お腹減った」

「今日はどうする?あれもこれも気にはなるけど、まずは昨日もちらっと見えた市場にいく?」


 起きてすぐでも、頭の中は賑やか。

 ただ、このやり取りは周りの人には見えないので私だけの特権。


「コレ以上のご迷惑はかけられないから、朝ご飯でもいこっか」

「「「「賛成」」」」


 泊めてもらうだけでもかなり助かったので、気を使われる前にと布団を奇麗にたたみ、音を立てない様に注意しながら急な階段を降りると、薬缶を火にかけているのはお母さん。


「あら、はやいのね?」

「おはようございます」

「そっちの奥から裏庭に出ると井戸があるから。桶はその辺りの、使っていいからね?」


 いきなり言われて、首をコテンとかしげると紫乃さんにそっくりなお母さんがふふっと笑う。


「別嬪さんは顔を洗わないのかい?」

「ああ。いえ、しっかり洗いますよ」

「そうかい。奇麗な服で拭く訳にもいかないんだから、手拭いもわすれずにね?」


 お礼を言いながら言われた通りの裏庭にでると、資料などでしか見た事のないガチャポンプ式の井戸が。


「えーっと、確かこのハンドル?を……上げて、下げると……おお!!」


 三度目の上下でだばーっと水が出てきたので慌てて借りた桶を取水口の下に置き、桶一杯に水を汲んだら顔を洗います。


 桶の水は井戸水で、思っていた以上に冷たい。顔を洗うと、寝起きがさらにさっぱりした。


残った水を捨てるところには、洗濯板やブリキの桶があった。裏庭に続く小道もいくつか見え、手拭いや干しっぱなしの服もちらほら。生活感が伝わってくる。


「よし、行きましょう」


 顔を洗ってさっぱりしたので、紫乃さんのお母さんに挨拶しようと戻ると、昨日と一緒の湯飲みから湯気が。


「すまないね。白湯だけでもどうだい?」

「ああ、お気遣いすみません」

「こんな時代であまり施す事もできなくてね」

「いえいえ。十分助かっていますよ」


 いただく予定はなかったのですが、気持をないがしろに出来なかったのもあって白湯を頂きながら、ちょっとだけお母さんと会話をしていると、ガラガラと音が玄関から。


「ただいまー?って、朝からお客さん?」

「あら、お帰り。紫乃の知り合いよ」

「ほー。こりゃあ、別嬪さんだね。姉さんの知り合いなら何かあったら言ってくれれば駆けつけるよ?」

「挨拶もしないで、いきなりこの子は何言ってるんだい。全く」


 丁度話の腰が折れたタイミングだったのもあって、挨拶だけを紫乃さんの弟さんにしたら、紫乃さんの家を出る事に。



「昨日の賄いもよかったし、ここはやっぱりつっちーのご飯レーダーに任せる?」

「食いしん坊なふーちゃんレーダーもいいんじゃない?」


 家を出て、歩き始めると頭の中ではご飯の相談が始まるのですが、かなり早い時間にもかかわらず、周りからは時代に似合わない甘い香りが。


「えーっとね、この辺り人形焼きとかが有名らしいよ?」

「お腹は膨れそうだけど、ご飯じゃない」

「デザートにあとで買う?」


 美味しそうな香りに釣られて会話が飛び飛びに。ただ、歩みは変わらず気の赴くままにフラフラと歩いているうちに、遠目に見えてきたのは立派な神社。

 大きく真っ赤な鳥居に手水もあって、由緒正しい雰囲気が遠目でもはっきりと伝わります。

そんな神社の入り口付近に下を向いて頭を抱えているように見える男の人。


「大丈夫かな?」

「朝も早いし、歩き疲れている感じじゃないよね?」

「なんか、ちょっとだけ気になる?」

「ご飯ついでに声を掛けてみる?」


 珍しく、みんなも気にするような男の人の方にまるで吸い寄せられるように向かうと、遠目では分からなかったのですが、どうやらノートに何かを書いている様子。

 思いつくと書き、そしてまた下を向いて悩み直す。その動作を何度も繰り返しているようで、気がつけば私達もその人のすぐ近くまで移動。


「何を書いているんです?」

「え?あ、……ん。……そうだ。月の明かり……いや、眩しい表現を女性に例えて……」


 どうやら何か思いついたみたいで、視線はノートに戻るのですが、そこに綴られていた言葉は美しい情景を描く言葉だった。



「がれきの街、太陽はまた昇る

 冷たい風に負けそうで、熱は小さく消えそうだ。

 柔らかな光を落すのは、月明かり

 その光が街に影をぽつぽつ落とす。

 やがて、太陽と月は出会うのだろうか?」



 私達と彼、初めての出会いはこんな感じでした。





初日がやっとおわりました。


期限が三日と決まっているので、若干作者は焦っていますが(笑)

イベント詰め込みまくるとぎちぎちで読み辛そうなので、ココからの取捨選択に悪戦苦闘中。


ああ、次の大安が近い(笑)


何とか頑張って、楽しんでもらえるものを拵えますので、どうぞ次回もお楽しみに。

次の大安でまたお待ちしております。

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