表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界は裏でまわってる  作者: 最上 品
116/120

116.しるし

二話目ですよー

2/3


 意外ではなく、昨日も一緒に飲んでいたので二人がお酒に強い事は知っている。

 なので、湯呑の最後はウイスキーのロックに。


 カラン


 氷が湯呑に当たる音と二人の寝息がスースーと聞こえる。


 私は簡単な片付けだけして、少し残ったカツオのたたきだけはそのままに、ワインボトルをポケットにしまう。


 数枚のメモにはびっしりと文字が書きこまれていて、それを見たみんなは大いに喜ぶ。


「これなら、料理がちゃんと伝わるね」

「ほんと、ほんと、まあ、パイだけは……びっくりしちゃったけどね」

「紫乃さんも驚きの味って書いているよ」

「驚きの味、うん、的確」


 少しばかりやり過ぎてしまったと言われそうな気はするものの、居なくなってしまえば残るものは無い訳で。


「っと、忘れていました。まあ、紫乃さん程、信頼されているのであれば問題はなさそうですが、一応、書き置きぐらいあった方がいいでしょうね」


 メモ台から一枚紙を千切り、私はペンを借りて紫乃さんへのメッセージとお店の皆さんへの感謝、子供達の為のお金にして欲しいと文字を残す。


「これでいいかな?」

「いいと思うけど――」


 何故か微妙な顔のみーちゃん。


「サインが無いよ?」

「あー、サイン……いります?」

「誰からのメッセージかサインが無いと、分からないよ?」


 言われてみればその通りなのですが、普通の人間はサインなど持っているはずもなく。


「サインなんてみんな持ってないでしょ?」

「ふふん、実はあるのでーす」


 ピコンと尻尾を立ててひーちゃんが言うと、同じようにみーちゃんも尻尾を立て、おずおずとふーちゃんにつっちーまで。


「え!?あるの、みんな!?」


 私が今更驚くことになるわけですが、サイン……サイン?と、考えているとみーちゃんが言います。


「私達って分かればいいのよ。だから、ちょっと手を貸して?」


 そういって、私に戻ってみーちゃんがすらすらっとサインを書いてくれます。


 そのサインは手早く書けるもので、ℓ ℓ ▽に、目と口、最後にちょこんと鼻を書き足した愛嬌のあるサイン。


「って、それみーちゃんのサインじゃない!?」

「私であって、私じゃないから、大丈夫でしょ?」


 よくよくみれば、ミの文字を目にしていて、自己主張は忘れていない辺りが流石みーちゃん。


「まあ、そうだけど……。って、あーあー、かってにお店のおかみさん宛てのメモにも書いちゃって……」


 メモ書きが終わると、一応最終確認とばかりにやり忘れていることが無いか、最終確認。


「そう言えば、お札をお借りしたので、元あった場所に返しましょうか」


 へそくりを出してくれたタイミングを見ていなくても、大体この辺りから出したなんてまるっとお見通し。



実は、蓋を開けてみると全然違う場所に戻していた。



 昨日お借りしたお金もしっかりと返せたので、多分紫乃さんの家でやらないといけない事や借りた恩は返せたはず。


「みんなー、そろそろ行くけど大丈夫?」

「うん、ちゃんとお礼したー」

「昨日の飲み会も楽しかったー」

「美味しいモノは正義だよねー」

「うまうま、よきよき」


 ただ楽しかった感想を言っているだけにも聞こえますが、家の至る所になにかの残滓があるような、無いような。


「じゃ、ちょっと早いですけど行きますか」

「「「「はーい」」」」


 紫乃さんには大変お世話になったので、それこそ本当は一から十まで感謝とお礼を伝えたいわけですが、彼女の性格はちょっとだけ私に似ていて、頑固な一面も。


「あらあら、私ってば思っている以上に名残惜しい……のね」


 女二人の家の鍵をそのままというわけにはいかないので、玄関などの戸締りを確認したら、勝手口へ。


「――見送りくらいは、お願いしますか」


 慌ててさっき書いていたメモの所へ行くとスースーと規則的な寝息の紫乃さん。


 ついつい私は目を細め、少しだけ頭を撫でた。


 それを真似するようにふらっと出てきたみんなも紫乃さんのお母さんと紫乃さんの頭を撫でる。


「どうしたの?」

「ん、ちょっとだけ見送り用のメッセージをね」


 私は今日の夕方近い時間と方向、あとはワザとぼかす様に「――」とメモに追加で書き残す。


「どうするの?」

「色々とやらないといけない事があるけど、これで多分大丈夫」

「なるほどね」

「うんうん。これでしっかりお別れも出来るね」

「じゃあ、これでお別れかな?」

「だね」



 ちょっとだけしんみりした空気が再び私達の間に。

 でも、もう振り返る事はなく私達は私一人に戻り、勝手口から家を出ると右手の人差し指をくるりんと回す。



 カチャリ



 一応の確認を済ませたら、お世話になった家の入口へまわってスッと頭を下げた。


 三日ぐらいは寝るところが無くても大丈夫なんて気を張っていたけど、本当はとっても――。

心でもう一度お礼を伝える。


 あと、いいお風呂でしたよねぇ。


 そんな気持ちをそっと乗せて、朝日の方へと歩みを進めます。



絵心が無い私には、なかなか大変な回でした。(笑)


本当に笑えないぐらい壊滅的なんですよね。私が書く絵って。


まあ、字も奇麗じゃないし……。


ペン習字とか習う人は皆さま偉い。


人の事を思っている表れですからねぇ。


もしや字って人柄が出ちゃう??

そう考えると、私の人柄は……大丈夫……なのかしら?(笑)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ