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世界は裏でまわってる  作者: 最上 品
109/120

109.わかってる、約束

本日も三話でよろしくお願いします

1/3



「子供達は……家に連れて行くんだけど、先にこの通り今日の清算をしちゃわないといけなくてね」

「あー、それで色々と?」

「特にタエさんは、よくやってくれたからねぇ」


 紫乃さんも分かっているという顔で頷きを返したのですが、子供達はそろそろ限界が近いのか、舟をこぎ始めた子が二人。


「おんぶにだっこで連れて行くのは大変でしょうから、とりあえず清算は……大将には任せられないんですね?」

「そうだよ。お人よしにも困ったものだからね」


 紫乃さんがどの口がという目でみますが、おかみさんは首を左右に振るだけ。


「私の家に今日も泊まっていくみたいなので、――明日でも大丈夫ですよ」

「あら、そうなのかい?」

「ええ。ね?タエちゃん?」

「御厄介にいつまでも、すみませんね」

「いいんだよ」


 少しだけぎこちない紫乃さんの震える声に嘘を言わせて申し訳ない気持ちが湧きますが、今は我慢。


 おかみさんはジッと一瞬だけ私の目を見てきたのですが、ふっとした顔をすると、すっと目を私から子供達へ向けた。


「じゃあ、タエさん明日ね?」

「ええ、明日」


 会話が終わると、子供達の所へ急ぐおかみさん。


「とりあえずこの子達寝かせて来るよ。後は、頼んだよ?」

「わかった。今日はもう閉めて、後は仕込みと片付けだけだから……いや、そうだな、戻ってこなくていいぞ?」

「そうかい?」


 少しだけ助かったという顔とやや困ったとの間の顔になるおかみさんと任せろと言わんばかりに胸を張る大将。


「私がしっかり見ておくよ。それでいいんだろう?」

「頼むよ、紫乃」


 大将の態度より、女の友情と言わんばかりに頷きあう二人を私は頬を緩ませながら見ています。


「タエちゃん、お客さん達にそろそろ閉める時間の案内と、皿洗いと……」

「下げた食器と、片付け、あとは拭き上げですね?」

「頼むよ?」


 たったの三日。

それでも三日あれば、やる事は私の体が覚えています。


 お客さんに気持ちよく帰ってもらうように、そろそろ時間がいい頃合いと伝え、残り少ない酒の酌と酔い冷ましのお水を持っていく。

分かっているお客さん達しかいない時間帯というのもあって、かなり早いペースでお客さん達も引いてくれた。


「流石だねぇ」

「いえいえ、紫乃さんも流石でしたね?」

「まあね。っと、今日は御覧の通りだから、私が後からね?」

「ええ」


 お客さんがはけたら、後は拭き上げをしてすぐに明日お店が始められる準備。

 それもサクサクと終わらせたら、そろそろ一段落というタイミングで大将が声を掛けて来た。


「貰ったアレに、料理は久しぶりに習った。運がいいのか、新しい人手も確保できたし、言う事ないな」


 開口一番、頭を下げてきたのですぐに頭をあげて貰った。


「こちらこそ、お世話になりました」


 代わりに私が頭を下げると、照れたような何とも言えない大将。


「ちらっと聞こえたが、明日、また来るんだろう?」

「ええ。ちゃんといただくものはいただく主義ですからね」


 あえて私は右手でお金を示す形を作ると、それを見ていた大将が笑った。


「じゃあ、また明日」

「ええ、御世話になりました」


 なかなか刺激的なお仕事をさせて貰った私からのお返しに何かいい事が出来ないかと考えたのですが、私の気持ちは分かるけど……と、ノーを突き付けてきたのは私の中のみんな。



「気持ちは分かるけど、イーブンがいいよ?」

「そうそう、貰いすぎも負担になるからね」

「トントンがいい塩梅。風だって強すぎても弱すぎても、よくないでしょ?」

「美味しさに対して必要なのは『感謝』」


 ふーちゃんやつっちーは二人なりの解釈をした言葉でしたが、言わんとしている事は分かるので、コクンと小さな頷きだけ。


「でもまあ、さ」

「そうそう。贔屓って悪い事じゃないし」

「あ、ちょっとだけ漏れちゃった?」

「美味しいお店がなくなるのは悲しいから」


 私としては「ん?」って気持ちもあったのですが、どうやらみんなが少しだけ魔力をお店に置いてある、御守りに流したみたい。

 なんとなくその魔力を目で追ってみると、魔力に乗っているのは優しい気持ち。

それがぎゅぎゅっと混ざって詰まっているみたい。


「別にみんなの気持ちも分からなくないけど、いいの?」


 私一人のお礼よりも凄い事になっている気配がしますが、みんなもう知らんぷり。


「そんなことはいいからさ、お風呂タイムだよ!」

「そうそう!」

「今日はケチらず、風呂上りは牛乳ね!」

「最後だし、二本いっちゃう?」


 流石に一人で二本はちょっとお腹が緩くなりそうですが、この相談は歩きながらするとしましょう。

 前掛けを手早くたたみ、いつもの所へ置いたら、ココでのお仕事は全て終わり。

 挨拶をしたら、込み上げるものがありそうだったので、他の女給さんにも軽い会釈だけをして、お店の扉を開けた。

 その扉を閉め、一歩、二歩、三歩。

 後ろに下がると、頭を下げる。




「ありがとうございます」




 私は後ろを振り向かないようにしながら銭湯へ向かって歩き出した。




まさかの五日で大安吉日が!?(笑)


28と間違えていたんです……。

目も悪くなってしまったのか。

これは、老化?それとも、ただのボケ?


どっちにしても、言い方が微妙なので……あえて、ええ、あえて「成長」とさせて貰います。


……老化を成長って言いかえると、ちょっとだけ希望が湧く気がするのは……老化なんだろうなぁ(笑)


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