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世界は裏でまわってる  作者: 最上 品
103/120

103.こまったあじ

本日も三話です。

よろしくお願いします<__>

1/3



 私はサバを濡れた新聞の上に置く。

 すでに半身の状態で、骨は殆ど無いハズだが軽く塩を振ってから両手の繊細な感覚でもって、小骨を探す。


 そんな私の行動をジッと子供達が見ているが、こればかりは手伝って貰うわけにもいかない。


「フライパンを用意してくれる?」


 ただ、子供達も何かしたいという気持ちが溢れんばかりの目。

 私はお願いをすると、女の子がすぐに動いた。


 塩を振って小骨を取り除いたサバを焼くつもりだが、フライパンを取ろうとした女の子が大将に掴まえられていた。


「おい、それは、ダメだ」


 怒っている風ではなく、呆れに近い声。

何がダメなのか分からない子供が首を傾げるが、手に持っているのはお願いした通りのフライパン。


「私がお願いしたのですが――」

「ああ、でも、コレはオムレツ用だ」

「あー。なるほど、では焦がしませんからそれを使わせてもらってもいいですかね?」

「サバだろ?いいのか?」


 むしろ、このフライパンの方が絶対に美味しくなるという確信があったので、私からもお願いをすると、渋々といった顔。


「すぐに終わりますから、心配でしたら見て下さい」

「信用はしているが、じゃあ、見させてもらう」


 そんなやり取りをしていると、ホッとした顔の子供達。

 そして、何も出来なくて悔しそうな顔の一番小さい子が泣きそうな顔で私を見ている。


「大将、生姜とおろし金も借りますよ」

「ああ」


 生姜を洗うと、皮を剥いて小さめに切る。それでもギリギリ握れるかという大きさだが、私はお願いをした。


「手を傷つけないように、注意しながらすりおろしてくれる?」


 小さな男の子がニパァっと笑い、ぶんぶんと頷く。


「では、お願いします」

「ん!」


 ここからの作業は時間をかけずに一気呵成に。


 フライパンを温め、サバの水分を拭って、皮目からジュッといい音を立てながら数秒焼いたら、サッとひっくり返してこれまた数秒。

 中まで火が入ってしまっては、美味しさが半減してしまうので見極めに全神経を集中させる。


「洋食屋の命であるこのフライパンがあれば、美味しい地のモノはできますからね」


 私の言葉に大将はゴクンと唾を飲んだ。


 このまま食べるのも美味しいかもしれないが、地のモノを感じさせるならアレも作ろう。


「大将、コレも借ります」


 そう言って、借りたのはレモン。

 常連さんが頼んだ時ぐらいしか出ない、トクベツな食材だというのが分かるが、今丁度ほしい所なので言うと、頷きだけが返ってきた。


 鍋を用意して、酒を入れると強火にかける。

 鍋を傾け、ボッと火を舞わせると子供がギョッと後ろにつんのめった。


 醤油を入れて、火を止めて数回鍋をぐるぐると回して鍋の底が手で触れる温度に落ち着いたタイミングで酢を入れ、最後にレモンをギュッと絞った。


「出来た!」


 最高のタイミングで子供が生姜をすりおろし終えたみたいで、小皿にこんもりと生姜のすりおろしが出来上がる。


「ありがとう。助かったわ」


 小皿を受け取ると、何故かジッとチビは私を見て来る。


「今は両手が離せないから、後でいい?」


 そう言うと、少しだけしょんぼりしながらも、小さく頷いた。

 どうやら、頭を撫でて欲しかったのだろう。


 焼けたサバは皿に置いたが、少しだけ冷めてから包丁で皿を傷つけないように気をつけながら食べやすい厚さに切りそろえたのだが、火の通りは絶妙過ぎて多少崩れ、脂がにじむ。


「端っこだけね。大将も」


 そう言って、切った時に崩れた部分と端の一部を別の皿に置いて、生姜と作った自家製のポン酢もどきをかける。


「サバのタタキ、どうでしょう?」


 大将は何も言わずに箸でパクリと一口。

 それに倣って、子供達も箸を使おうとしたが、慣れていなかったので手でいいと言って少しズレた位置で食べてもらう。


「ウチは肉系でこれからも行くつもりだが、こんなに魚は美味かったか」

「いいサバでしょう?すぐそこの市場で高品質なものを頂いたんですよ」


 どうやら、魚の良さを大将が再認識したみたい。

 そして、香りに釣られたのかおかみさんもこっちへ来る。


「味見かい?」

「ええ、是非」


 パッと箸を取り出して、子供達の近くで食べると何故か神妙な顔。


「どうかしました?」

「この子達も、食べたのかい?」

「ええ。お手伝いしてくれたので」

「それは……気の毒な事だね」


 それほどマズい事をしたつもりはなかったのですが、更に険しい顔になるおかみさん。

 横の子供達を見ると、何故か二口目に手を伸ばした様子はない。


「問題、ありましたか?」

「ああ、大ありだよ。困ったねぇ」


 私は慌てて今更の味見をしてみますが、ツンとくるレモンの香り、パリッとした食感と塩味、飲み込んだ後に来る爽やかな酸味。

 後味を含めておかしい事はなさそうですが、念の為みんなにも確認をしたのですが、満場一致で美味しいの一言だけ。


「あの、何が……良くなかったんでしょうか?」


 分からない時は、聞いてみましょう。




自分が食べたい!!!(笑)


そう言う一品です。


洋食屋さんなのに?と思うかもしれませんが洋食屋さんだからこその味。


お腹減ったー(笑)

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