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東西奔走 SIDE-T

三日遅れでの投稿になります。

今週はテストやレポートが入り少し遅れました。

七月中はテストの予定が詰まっているので、遅れます。

小鳥の囀りが外から聞こえて来て、朝の訪れを告げていた。

部屋の窓から差し込み太陽の光りが顔に当たるよりも、最近は段々温かくなる蒸し暑さで眠りから覚めてしまう。

七瀬に莉奈の情報について頼みに行って、あれから三日経った。

七瀬からの連絡はまだ来てなくて、自分でも色々と足を使って捜したりしているが一行に見つからない。

俺に出来る事など限られていると分かっているが、何もせずにいられる訳が無かった。

鳴り始める前に起きたので、ベットの頭の方に置いている目覚まし時計のスイッチを止める。

ベットから降りて一つ伸びをすると私服に着替える。

着替え終えると部屋を出て階段を下り、リビングに向かう。

リビングのドアを開けて中に入ると、締め切っているせいか朝の少し冷たい空気が漂よい。

その空間はただ静かで、俺は静寂から逃げる様に机の上に置いてあるリモコンでテレビの電源をつけた。

莉奈がいなくなってから父さん母さん達は、捜すと言って家を空けたまま帰って来ない。

それでも一応連絡があったから見に行ったら俺の口座には生活費らしきものが入っていた。

おかげで食事に関しては買ったり出前を頼んだりすれば困らないが、何だがそうするのが勿体なく思ってしまい出来るだけ自分で作っている。

それからキッチンでいつもの様に簡単な朝食を作りテーブルに持っていく。

今日の朝食はコーンフレークにスクランブルエッグ、トーストだ。

最近の朝のメニューはずっとこんな感じである。

正直、流石に二、三週間同じような献立ばかり食べていると飽きてきた。

しかし今までろくに作らなかった俺の頭の中にいくつもレパートリーがある訳無く、大体毎朝こんな感じの内容になっている。


「ふぅ……。いただきます」


コーヒーまで用意し終わって席に着き一息し、挨拶をしてから食べ始めた。

俺は黙々と食べながらテレビから流れてくるニュースに耳を傾ける。

昨日七瀬にも頼んだが、俺は何か不思議な事件が起きてないか毎日ニュースなどでチェックしている。

莉奈の工事現場での事や俺が起こした海岸公園での爆発など、現実では有り得ない力を持っているなら起きた不思議な事件に対し何かしろ関与しているのではないかと思ったのだ。

ニュースを聞いている間に朝食を食べ終わり、食器をシンクにまで持って行き洗う。

食器を洗い終えた頃には聞いていた何も収穫もなくニュースも終わり、俺は一休みする前に玄関へ向かう。

玄関を出てポストを確認し入っていた新聞を取って家の中に引き返す。

俺はソファーに座り身体を少し落ち着かせてから持ってきた新聞を広げる。

この新聞は県が発行している物で、こっちの方が大手の物に載らないような小さな事件でも知る事が出来るかもしれないからだ。

俺は軽く流す様に全ての記事に目を通すがめぼしいものは見当たらず、海岸公園の工事が明日から始まる記事が少し気になったぐらいだ。

しかし俺はそこでこの事件に俺以外で巻き込まれた人物の事が、ふと頭を掠めた。

俺は気になり早速七瀬にある事を聞く為にメールを送るとそれから数分後、すぐに七瀬からの返信が送られてきた。

七瀬からのメールの内容を確認すると俺は財布と携帯を持ち家を出た。





高見原中央区産山通、大通りから山側へ入った住宅街。

家を出た俺は七瀬から教えてもらった住所を頼りに、とある場所に向かっていた。

あまり来た事のない所だったから迷いそうにもなったが、何とかたどり着く事が出来た。

俺の目の前に建っている家の表札には『九条』と書かれてあ、ちゃんと着けて少し安堵する。

着いたまではよかったのだがそれから俺はインターホンを押す訳でもなく扉の前でただ立ちすくむ。


「さて、どうしたものか……」


此処は林間学校の時に助けた女生徒の家。

話を聞く為にいざ来てはみたのだが、今思えば俺は彼女に名前も教えていない。

俺が彼女の苗字を知っていたのは七瀬に頼み彼女の家を聞いただけなのに、来たメールには聞いていない様な詳細まで書かれていたからだった。

考えてみれば彼女の方は俺の名前を知らないはずだ。

連絡も無しでいきなり来ても、俺が誰か分からないだろう。

そんな事を考えて数分その場に立ちすくんでいたのだが、このままではらちが明かないと思いインターホンを押した。

すると直ぐに中と繋がり、インターホン越しに声が聞こえる。


「…どなたですか?」

「えっと、船津東哉です。…九条茜さんはいますか?」

「えっ、船津君!?少し待ってて」


向こうの問いに俺は返事をするが、少し焦ったせいで声が上擦りかける。

そしてインターホン越しに聞く相手の声は何故か相手は俺の名前を聞くと驚いていた。

それから数分してから普段着を着た九条さんが、玄関のドアを開けて出迎えてくれた。


「いらっしゃい。えっと、急にどうしたの?」

「ごめん、ちょっと聞きたいことがあって来たんだ」

「聞きたいこと?……まぁ、ここで話すのも何だから中に入りなよ」


九条に促されて俺は家の中に上がらせてもらう事になった。

俺は靴を脱ぎ、先を歩く九条の様子を眺める。

七瀬からのメールでは彼女は病院での検査入院も終わり今は自宅療養中だと書いてあったのだが、見た感じでは至って健康そうである。


「なぁ、自宅療養中とか聞いたんだけどもう大丈夫なのか?」

「うん、大事をとって休めって親が。でも週明けにはもう登校していいって」

「そうか、よかった」


話しているうちに俺達はリビングにつき九条に座っているように言われた。

俺が座って待っていると九条は紅茶のセットを用意し持って来て机に置く。

そしてカップに注ぎ



「……それで話って何?」

「あぁ、この前の林間学校の時莉奈を見てないか? 他にも知らない奴とか……」

「篠崎さん?……いいえ見てないわ」

「……そうか」


もしかしたらと思ったのだが俺の予想は外れたようだ。

そうして肩を落とし俺が諦めていると九条が急に何かを悩むように唸り始めた。


「ん〜、でもそう言えば篠崎さんに似た人なら見たかも……」

「本当か!」


俺が物凄い勢いで反応したからか九条の表情が驚き少し引き攣っている。

それに気付いた俺は椅子にきちんと座り直し九条に謝った。


「驚かせてすまん。取り乱してしまった」

「そんな、別に気にしないで…それで篠崎さんに似た人の話だけど、会った気はするけどそこら辺は記憶が曖昧で自信がないの。それにあくまで似ている人だから」

「そう……か。わかった」


そこまで話し終わった時いきなり俺の携帯が鳴りだした。

九条に一言言ってから携帯を見てみると知らないアドレスのメールが一件来ている。

メールには『七瀬だ。情報が手に入った、折り返し連絡を頼む』と書かれてあり最後に電話番号が記されていた。


「ごめん!急用が出来た。今日はこれで」

「うん、私で力になれる事があったら言ってね。後さ、船津くん」

「何だ?」

「あの時助けてくれて、ありがとう」

「ん…どういたしまして。こちらこそだ。それより突然きてすまない、ありがとう」


そこまで言うと俺は席を立ち九条家を後にした。

新たな明日を手に掴むために。


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