帰還
「帰ってきたぞ。グリスヴァルド。」
ここを発ってからまだ2週間位しか経ってないのに、やけに久しく感じるな。
・・・やっぱりこのロマン溢れる重厚な壁を見ると安心するな。
「アレス、帰るぞ。」
「え?荷物とか運ばんでいいのか?」
「ああ、俺達のクエストはここまで護衛して、着いた時点で終わりだからな。」
「ああ、そうだったのか。」
まあ、他の冒険者も解散してるし、俺も帰るか。
疲れたしな。ベッドにダイブしたい・・・
「帰る前にギルドに寄るぞ。」
「りょーかい。」
ギルドに行くんかあ。
クエスト達成したわけだし、行かないとダメだよな。
ダイブはもう少しお預けだ。
残念。
ーーーーーーーー
「今日はなにかする事ある?」
「いや、特にないな。どっか行くのか?」
「いや、俺もない。」
グリスヴァルドに帰ってきてから1ヶ月位が経った。
いつも通りの日常がまた帰ってきた。
やっぱり、何だかんだでこの生活が1番落ち着くな。
「じゃあ今日は休みにして、いつもと違う店で飯でも食うか?」
「お、それいいね!」
「行きたい所はあるか?」
「ない!っていうか何処がいい所なのかわからん!」
「そうか。なら俺のオススメの所に行こうか。」
「そうしよう!」
今日は休みか!ラッキーだな!
トレーニングは欠かさないが、クエストやら稽古やらは無し!
クラウスがオススメする店にも行けるし、今日もいい日だな。
「あ、そういえばアレス。商団の護衛の時に襲撃してきた奴ら覚えてるか?」
「ん?覚えてるけど。それがどうかしたか?」
「あいつら、盗賊団じゃ無かったっぽいぞ。」
「え?どういう事?」
盗賊団じゃない?
なら何故俺達を襲ってきたんだ?
「いや、正確には半々なんだが・・・あいつらのリーダーをしていたパールと数名が、ブラッドヴァルドの人間だったらしい。」
「ブラッドヴァルドの?隣の国だよな?」
「そうだ。」
ブラッドヴァルドって戦闘狂が多いって所だよな?
・・・確かに、今振り返ってみれば、あいつらは戦闘を好んでいた気がするな。
特にパールとやらは。
「半々ってのは?」
「パール達は周りの盗賊団を暴力で脅して、戦力にしていたらしい。」
「ああ、だからあんなに大人数だったのか。」
「そう言うことだ。」
でも何でブラッドヴァルドの奴らがこっちに来てたんだろうな。
グリスヴァルドに向かっていたと言う話を聞いたが、流石にあの数では無謀すぎるだろうし。
・・・よく分からんな。
「ん?何だあの兵士達。初めて見るな。」
黒い鎧を身につけた集団が街を歩いている。
いつも見る兵達とは全く違う見た目をしている上に・・・多分だけど、あの人達めっちゃ強いな。
1人1人が冒険者でのBランクと同等か、それ以上の強さがありそうだ。
数人は、Aランクに片足突っ込んでる位はあるだろう。
相当な猛者達だな。
「アレスは見るのが初めてだったか。あれが黒鋼騎士団だ。」
「あれが・・・でも、数少なくない?」
「あの集団は別働隊か何かだろう。恐らく、殆どが新人達だろう。団長も不在だしな。」
「あ、団長はあそこに居ないんだ。」
あれが噂の騎士団だったわけか。
新人であれとなると、そりゃ強い訳だ。
あんなのと戦争をするなんて馬鹿らしくなるな。
全くもって勝てるビジョンが浮かばない。
「ま、そんな事より着いたぞ。ここだ。」
「あ、もう着いたのか・・・めっちゃ良い匂いするな。」
「そうだろう?ほら、早く入って食べようか。」
「ああ!」
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