もう終わりました②
「ここか・・・・・・」
「これは、一体どんな闘いをしていたんだ?」
「おいおい嘘だろ・・・」
皆唖然としている。
死体自体はもう燃やしたから残ってないが、そこら中に陰牙熊の血が飛び散っているから、それで察してくれたようだ。
ちゃんとここで戦闘があったことを。
そこそこの数、群れを倒したであろう事を。
「君は・・・一体何者なんだ?」
「冒険者です。」
「冒険者、ランクは?」
「Dです。」
「「「D!?」」」
「本当か!?嘘じゃないよな!?」
「ガチかよ・・・」
「Dが陰牙熊の群れを単独討伐?・・・・・・有り得ねえだろ。」
確かにDランクが1人で陰牙熊の群れを討伐したとか信じられんよな。
陰牙熊はCランク下位の魔物だし。
「本当にDランクが・・・?Cの中で弱いとはいえ、群れだとCランクパーティーでも苦戦する相手だぞ。」
「アレス、君はこの村の人じゃないよな?何処から来たんだ?」
「ああ。商団の護衛で・・・」
「商団、もしかして!クラウスさんの弟子の子か!?」
「あ、はい。そうです。」
ここでもクラウスは有名だな。
やっぱAランク冒険者は凄いんだな。
「そうだったのか。それならこの状況にも納得出来る、か?」
「まあ少なくともさっきまでよりは断然納得出来る。陰牙熊も全滅してるいし、 詳しい事は村でゆっくり話さないか?」
「そうだな。アレスも疲れているだろうし。ありがとう。こいつらを討伐してくれて。」
「いえいえ、俺も冒険者ですから。これくらいは当然です。」
「はは。当然か!君は凄いな!」
「さ、村へ帰ろうか。」
ようやく村に帰れるか。
大して疲れてないとは言え、腹が減った。
昼までには帰る予定だっから、食べ物を何も持ってきてないんだよな。
早く帰って飯を食いてえな。
ーーーーーーーー
「アレス、俺達と一緒に飯食いに行かねえか?奢ってやるぜ?」
「あ〜、本当に魅力的なお誘いではあるんですが、村長の孫の面倒を見る事になってるんですよね。」
「ん?本当か?俺達みたいなおっさん達と行きたくなら、嫌だと言ってくれれば、」
「いや本当に行きたい気持ちは有りますよ!ほらこれみてください!」
そういって俺は子守りのクエスト用紙を見せる。
本当に飯にはついて行きたかったんだがな・・・奢りだし。
「・・・まじで子守りしてたんか。」
「何で子守りの最中にあんな場所に行ってたんだよ!アレスが強い事は分かった。けど、子供が危険過ぎないか?」
うっ。
鋭い指摘が入りました。
しかし、この質問にも俺は耐えられる!
そう!何せ依頼主から許可を貰っているからだ!
「村長からは子供を連れて討伐クエストに行っても良いという条件で受けましたから。」
「はあ!?そんな条件出したのか!?あの孫Loveのリダさんが!?」
「はい。リダさんも考えあってのものでしょう。実際、彼の孫たちも冒険者になりたい様ですし、職業体験ってやつですよ。」
「そうだったのか・・・まあ、お前も色々と大変だったな。よく頑張ったよ。」
「ありがとうございます。」
本当、俺頑張ったよな。
はぐれ狼の討伐クエストで陰牙熊の群れと遭遇するとか・・・エリック達なら死んでたな。
「そろそろ戻りますね。」
「ああ、頑張れよ!」
「気をつけて帰れよ!お前には必要ねえかもだがな!」
「今度一緒に飯行こうな!」
そう言って俺達は別れた。
是非今度は飯について行きたいな。
この人達はアリサ達に頼まれて俺の増援に来てたんだ。
大抵の冒険者は救援は出てもすぐには動いてくれない。それはギルドも同じ。
つまり、この人達はまだ救援クエストがない状態ですぐにこちらに駆けつけてくれた人達だ。
優しい人達だ。
実際、必要なかった訳だが、アリサ達はすぐに動いてくれるこの人たちを見て、少しは安心出来ただろう。
今度あったらお礼言っておこう。
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「お?おーい!アリサっ、」
「「アレス!」」
アリサ達を見つけた。
冒険者ギルドの前でずっとうろうろしていたようだ。
声をかけた瞬間に全速力でこちらに向かってきて、抱きつこうとしてくる。
ん?抱きつこうとっ
「無事だったのね!!」
「ゴフッ!」
そのままの勢いで抱きついてきやがった。
今日の戦った相手の中で1番の攻撃だ。
「俺は大丈夫だよ。2人も無事そうでよかった。」




