子守り②
「わああ!ここが冒険者ギルドなのね!凄いわ!強そうな人が沢山いるわね!」
「すっげー!!あの剣かっけー!」
滅茶苦茶喜んでるけど、こいつらこの村に住んでたんだよな?
ギルドの中に入ったことは無かったのか?
「アリサ達はギルドに入るのは初めてなのか?」
「!・・・・そうよ!じい様から入ったらダメって言われてたからね!!」
なるほど。
まあギルドの中には多少危険が有るしな。
リダも可愛い孫達を入れたくは無いだろう。
「じゃあクエスト受けてくるから、あんま離れんなよ。」
「「分かってる!!」」
あまり奥まで潜らないでも達成出来るクエストを探さないとな。
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「アレス!早く行くわよ!!」
「アレス走って!!」
「落ち着けって・・・・・」
最初の出来事が嘘だったかのように今はこっちに夢中だな。
まあ別に良いんだけど、もう少し落ち着いて欲しいな。
離れすぎると守れにくいからな。
「俺から離れすぎるなよ。」
「大丈夫よ!!私達だって剣は使えるんだから!!ほら!!それに、貴方だって私達とあまり年齢変わらないじゃない!!」
ビュンビュン!!と勢いよく剣を振り回している。
今、アルトとアリサは駆け出しの冒険者が着けてそうな装備をつけている。
まあ村長の孫だし、装備を揃える位なら出来るだろう。金あるだろうし。
けど、まさか剣も使えるとは・・・・・・
ゴブリンとタイマンなら簡単に倒せるくらいには強そうだな。
「お前らは討伐には参加させないぞ。」
「「え!?何で!?」」
「当たり前だ。お前らが怪我でもしたら俺が怒られる。」
「大丈夫よ!!?はぐれ狼の討伐でしょ!私達だけでも出来るわよ!!」
「そうだ!俺たちだってちゃんと剣を学んできたんだ!狼1匹位簡単に狩れる!」
「それでもダメだ。お前達は離れて見ておけ。それが無理なら今から帰るぞ。」
流石にこの子達が無茶をするならクエストを達成出来なくてもいい。
本命のクエストはあくまでも子守り。
はぐれ狼討伐は二の次だ。
狼はゴブリンとは違う。
狼1匹は2人がかりでやっとって所だ。
つまり、怪我をする可能性が高い。
それは流石に許容できない。
「ええ!!折角ここまで来たのに!?」
「それが嫌なら言うことを聞くことだな。」
「何でそんなに言ってくるの!?そんな事言うのはアレスが弱いから!?あなたが弱いから、私達を守り切れる自信が無いからでしょ!?」
「そうだ。」
「え?・・・・・・」
・・・・・・驚いてるな。
俺が言い返してくるとでも思っていたのだろうか。
まだまだ弱い事は俺自身が1番分かってるからな。
言い返すどころか咄嗟に肯定し返してしまった。
「俺は駆け出しの冒険者だぞ。実力だってまだついてない。絶対に守り切れるなんて言えない。」
「・・・・・分かったわよ。」
「アルトも分かったか?」
「・・・・うん。」
少し落ち着いたか。
言う事も聞いてくれたし、これなら進んでも大丈夫そうか。
「よし、じゃあ進むぞ。」