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クエストに行こう!

 目が覚めると、雲1つない、端まで青が広がった空が見える。

 ・・・眩しいな。

 雲が無いから太陽の主張が激しいな。

 ・・・・でも今日はぽかぽかで日向ぼっこ日和だな。

 もっと寝てたい・・・・


「おぉぉいアレス!そろそろ始めるぞお!」


 あ!そういえば訓練中だった!

 途中で眠たすぎてクラウスに昼寝タイムを貰ってたんだ。

 凄く寝やすかったから、完全に忘れて自分の世界に入ってしまっていた。


「すぐ行くよ!」

「どうだ?眠気は無くなったか?」

「うん。スッキリした!全身筋肉痛で動きにくいけどね。」


 そう、特訓を始めてから数日経った。

 日々、特訓のレベルが上がっている気がする。

 確かに、厳しくして欲しいとは言ったが・・・・毎回毎回厳しくしてくるとは思わなかった・・・・

 まぁでもそのおかげで今じゃ剣を振るのも大分楽に振れるようになった。


「アレス、来い。」

「分かった。」


 クラウスの正面に来て、相対する。

 心を落ち着かせ、力みすぎず力を抜け。

 相手をしっかり視界内に捉えて・・・・一気に駆ける!


「うおおぉ!」


 斬って斬って斬りまくる!

 クラウスの動きをよく観察しろ!

 次はどう来る?隙はあるか?

 ・・・・・だめだッ!

 全部避けられるか防御される!

 しかもクラウスはまだまだ余裕だ。

 こっちはもう汗だくだってのに・・・・クラウスなんて楽しそうに笑ってやがる。


「重心を低く保て、真剣だとふらついたら命取りだぞ。」

「はい!」

「斬るだけじゃなく、柄を使え、足を引っ掛けろ。使えるもんは全部使え。」


 ブウウン!

 また空ぶった!

 ドゴオオ!


「グベえっ!!痛ってー!」


 胸を蹴られて思いっきり吹っ飛ばされてしまった。


「おらおらぁそんなもんか!」

「もう1回!」


 カァン!カァン!・・・ドゴォン!

 絶え間なく剣と剣が打ち合う音が響く。

 それは日が落ちてる暗くなるまで続くのだった。


 ーーーーーー


「アレス、明日は久しぶりにクエストでも行こうか。討伐系のな。」

「えっ?い、いきなり?しかも討伐?俺まだまだ弱いぞ?」

「んなこたぁ知ってるよ。でも実戦が1番早いだろ。」

「いや、そうかもだけど・・・・」

「・・・・まだ不安か?」

「まぁ・・・正直不安ではある。」


 だって小さなゴブリン1匹で死にかけたんだぞ。

 クラウスが殺ったのは俺よりも1回り位でかかった。

 剣を学んだとはいえ、まだ俺には少し荷が重いんじゃないか。


「アレス、お前は少し弱気過ぎる。お前が魔物を殺すのに対して気後れしてるのは分かるが、冒険者を目指すんなら絶対に通らないと行けない道だ。少しずつでいいから慣れないとやってけないぞ。」


 そうだな・・・・・確かに冒険者をやるなら魔物を殺すのは絶対必要になる。

 ダメだな。俺は・・・・もう決めていた事だろう。

 Cランク冒険者を目標にしたんだ!

 なのに、こんな所で悩んでいる暇はないな。


「そうだな。わかったよクラウス。・・・・行こう。」

「ふっ。良い顔になったじゃねぇか。よしじゃあ、そうと決まれば今日は家帰って早く寝るぞ!」


 ーーーーーー早朝、冒険者ギルドーーーーーー


「アレス、Eランクのクエスト受けるか。」

「え?Eランク?」


 いきなり1つ上のランクですかいクラウスさんよお。

 俺を殺す気か?

 少しずつって言ったのはクラウスじゃん。

 勘弁してくれ。

 確かに悩んでる暇はないけど、死んだら元も子もないだろ。

 まずはFランクで数回慣らすもんじゃないのか。


「アレス、そんな嫌そうな顔するなw」

「いや笑うなよ。こっちは結構まじで命が掛かってるからな。」

「ああ。すまない。・・・・けどな、アレス。今はFランクの討伐系のクエストが無いんだよ。」

「え、・・・うわ、まじじゃん。」


 ・・・まじでないじゃねぇか。

 Eランクのクエスト行くのは別にいいんだよ。

 クラウスが居るし。

 でも俺の練習になるのか?

 もちろん戦うけど、正直負けてボコボコにされてクラウスに泣きつく未来しか見えない。


「アレス、お前は自分を過小評価すぎじゃないか?俺は今のお前ならEランクでも簡単に出来ると思ってるから、Eランクにしようって言ってるんだ。俺から見てもお前は物凄い剣の才能がある。その上努力もしっかりしているだろ。実戦経験は少ないかもしれないが、すぐ近くには俺もいる。怪我する事はあっても、お前が死ぬなんてことは絶対にないし、俺がそうさせない。」

 ・・・・まさか、クラウスがここまで言ってくれるとは。

 でも、俺は自分を過小評価してる訳じゃない。

 実際俺はゴブリンに殺されかけたし、特訓を始めてからも比べる人がクラウスしかいないから、どうしても弱く感じてしまう。

 クラウスはとてつもなく強いから。

 でも、クラウスがこんなにも言ってくれるなら、その期待に俺も応えなきゃな。


「分かったよクラウス。俺はやるよ。・・・・でも危なくなったら本当に助けてね?」

「ああ、わかってるよ。俺がいるんだ、安心しろ。」

「うん。信じてるよ。」

「じゃあ行くか。」

「ああ。行こう。」


 ゴブリン10匹の討伐。

 やってやろうじゃねぇか。




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