気味の悪い男②
男がギラついた目で地面を蹴った。
砂塵が舞い。
ー一直線に俺へと迫る!!
ガキイイイイン!!!
剣と剣がぶつかり合い、鋭い音が響く!
「へえ、これを止めてくるんんだあ。」
「こんなものか?」
「これくらいで調子に乗るなよお!!」
シュン!!
男が剣を大振りに振り、距離をとろうとする。
しかし、クラウスはそれを逃がさない!
「ふっ!!」
間髪入れずに思いっきり踏み込み、1歩で男の間合いへと入る。
速攻で決める!!
「っはや!くっ!!」
キイイイン!!
すぐに詰めてくるとは思っていなかったであろう男が驚愕の声を出す!
間一髪で男はクラウスの剣を受ける!
しかし、クラウスのスピードの乗った剣に力負けし、後ろに吹っ飛ばされる!!
「うぐっ。何なんだお前は!!あの筋肉がこの商団のリーダーじゃばいのか!?」
「リーダーだからって1番強いって訳でもないだろ。」
「トップは1番強い奴で無ければならばいだろう!!」
何なんだこいつは?
トップ・・・・指揮官は力っぷしよりも仲間を上手く使える人じゃなければ意味が無い。
どんだけ強い仲間が居ても、使い方が悪ければ負ける。
こいつが言ってる事はあまりに単純すぎる。
「さて、そろそろ終わらせようか。」
「調子に乗るなあ!」
男が激昂し、連続で剣を振る!
確かに速い・・・・これはブライドでは対応しにくいだろう。
ブライドとは相性が悪すぎるな。
「おら、死ねえ!!」
「・・・・・」
相手の攻撃を捌きながら、隙を探す。
スピードはあるが、剣の腕はいまいちだ。
アレスよりも技術が無いだろう。
アレスともいい勝負をするだろうな・・・・・
「おらおらあ!!どうしたんだあ!?手も足も出ないか!?このまま切り刻んでやる!!」
「・・・・」
「黙り込んでどうした!?もう疲れたかあ?てめえのようなおっさん冒険者如きが俺に勝てると思うなよお!!」
「うるさいな。吠えないとまともに打ち合えないのか?俺に負けるようじゃあ漆黒の刃姫に勝つ所か黒鋼騎士団の騎士にも勝てないぞ。」
「っ!?黙れ黙れ黙れえ!!僕ならやつにも勝てるんだあ!!!だから邪魔をするなあ!!」
怒りに身を任せ、さらに剣が雑になる。
その隙を見逃す程、クラウスは甘くなかった。
「ふっ!!!」
「ぐっ!!ぎゃあああ!!!・・・・この野郎がっ・・・ぁ」
男の首が宙に舞う。
何かを言おうとしていたが、これ以上長引いても面倒臭いため、すぐに終わらせた。
「パールが殺されたぞ!!!逃げるぞ!!散れ!散れええええ!!!」
「うわああああ!!!」
「早く逃げろ!!!」
「あいつ負けねえって言ってたじゃねえか!!なんだあの冒険者は!!」
「そんな事どうでもいい!!!早く逃げるぞ!!!」
「あいつも死んだんだ!!!逃げるぞ!!」
蜘蛛の子を散らすように、残っている盗賊団達が馬車も置き去りにし、逃げていく。
パール・・・・パールか。
この男の名が分かった。
事が終われば、こいつの事について調べてみよう。
「深追いはするな!!!負傷した仲間を回収しろ!!」
ブライドが指示を下し、冒険者が行動に移る。
盗賊団達は負傷した仲間達を置いていった。
「生き残っている奴らを捕らえろ。帰ったら領主に引き渡すため、捕虜とする!!!」




