商団護衛クエスト⑤
「ねえ。君。アレス君だっけ?アレスって呼んでいいかな?」
「え?はい....大丈夫ですけど・・・・」
「凄いなアレスは!この距離をノンストップで走りきるなんて!」
「しかも馬と同じスピードをずっと保ったままなのエグイな。」
「正直バケモンだと思う。」
一緒に焚き火を囲んでご飯を食べてた冒険者達が、いきなり話しかけてくる。
「なあ、アレス!今のランクどれくらいなんだ?」
「私も気になる〜!」
「俺も興味があるな。その若さでどれ程のランクなのか。」
「「「俺も俺も(私も私も)〜。」」」
何かどんどん人増えてきてるんですが・・・・・いつの間にか俺囲まれてるんだけど・・・・
俺のランクなんて聞いて何が楽しいんだ。
・・・・・俺の手には負えん。
「チラッ・・・・」
クラウスと目が合う。
必死にこの状況をどうにかしてくれと目で訴えるも、クラウスはこっちを見ながら、自分でどうにかしろと言わんばかりにニヤニヤしてる。
・・・・・・・っち!
クラウスが俺の事を捨てやがった!!
クラウスめ!
目が会ったのに逸らすとはどういう事だ!!
助けてくれたって良いじゃないか!
「Cか!?・・・・・もしかしてB!?」
「あんなに走ってもまだへっちゃらそうだし、結構高そうじゃない?私はBランクだと思うけどね!」
「俺もBランクはあると思うな。こんな事が出来るやつはCに留まっていても意味ないしな。」
おーい。
皆さん的外れ過ぎますって!!
そんなに期待されても困る・・・・・・
「「「で、アレス!?ランクは何なの!?」」」
「あ、え〜っと。D・・・です。Dランク。」
「「「・・・・・・え?・・・えええええ!!!!???」」」
声がでかい。
驚きすぎだ。
耳がキーンってなって痛い・・・・
「え?え?本当にDランク?嘘ついてない?」
「は?まじかよ・・・・D?あれで?・・・いやいやいや流石に嘘だろ!」
「流石に冗談だよね?ね?」
「いや、本当にDら・・・・」
「いやDランクはあんな芸当できないだろ!」
「あっはっはっは!!アレスは冗談が上手いな!・・・・・冗談だよね?」
うん。
クラウスさんや。
本当に助けてくれませんかね?
俺1人じゃこの囲いから抜け出せないんだが・・・・
「アレス君は本当にDランクだよ。」
「がルドさん!!」
助かった・・・・援軍が来てくれた・・・・
「まあガルドが言うなら・・・・・Dかぁ。」
「グレンなら冗談だろって笑い飛ばせるけど・・・ガルドだしなあ。」
「まあアレス君のギルドカードを見るのが1番早いけどね。」
「「「「あっ・・・・・」」」」
確かに・・・・・最初にギルドカード見せれば良かったんだった。
完全に存在を忘れてたな。
「忘れてたあああ!!」
「あああ!!!その手があったなあ!!」
「あははは。僕自身、結構信用されてて嬉しかったけどね。」
ガルドが楽しそうに笑う。
酒場で変なのに絡まれた時も思ったけど、ガルドって結構顔広いよな。
グレンにも結構ビビってたし。
「当たり前だろ。それに、クラウスさんやエルンストさんとも仲良いしな。」
「それはその人達が僕に優しくしてくれてるだけなんだけどね。本当にありがたい事だよ。」
ほんと謙虚だなこの人。
実際、この人自身がすごく優しいから、周りも良い人ばかり集まるんだろう。
「話は戻るけどさ。アレスがDランクなのは信じるけど、なんでDランクで留まってるの?何か理由がある感じ?」
「あ、まだ昇格クエストが出てないからです。」
「えっ?・・・・・アレスって、いつから冒険者始めたの?」
「3ヶ月前くらいです。」
「さ、3ヶ月!?」
「3ヶ月でD?しかもこの体力とは・・・・冒険者の前に何かっやってた感じか?」
「いや、体を鍛え始めたのは冒険者になって少ししてからです。」
「・・・・・いよいよ意味がわからないな・・・・」
すっごい大きく口を開いてポカーンとしてる人が多いな。
流石に3ヶ月でこれはおかしいか。
俺も3ヶ月鍛えただけで、馬と同等の体力と速さを兼ね備えるとは思ってもみなかった。
「じゃあ、僕は戻るよ。おやすみ。」
「ああ、じゃあ俺らも戻るか。ありがとなアレス。」
「じゃあね〜アレス。」
「はい。ありがとうございました。」
ふう〜。
ようやく帰ってったか。
賑やかで楽しかったが、今日は疲れたしな。
もう眠いし、そろそろ寝よう。
今日は警備の役目は回ってこないだろうし、しっかりと寝ておこう。




