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死にかけ転移者、剣の才能あったので冒険者やってます〜成り上がり冒険譚〜  作者: 寒い
第1章 グレイヴァルド要塞都市

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特訓スタート!

「うおおおああああぁぁ!クラウスの嘘付きぃぃ!剣の稽古じゃなかったのかよおお!!」

「ハッハッハ!!確かに剣の稽古とは言ったが、まずは肉体を鍛えないと何も出来ないだろう!!基礎の基礎だ!!おら走れ走れ!!」

「うおおおお。おにいいい!!」


 現在、午前6時。

 まだ陽の光の見えていない時間。

 ギルドとこの街の領主が共同で経営している大きな訓練場ある。

 その中にグラウンドで、アレスの恨みが籠った声とクラウスの楽しそうな声だけが聞こえてくる。


「ほらほらぁ!早く走らないと刺さるぞぉ!!w」

「早く走れねぇよ!こんな重いもん持たせやがって!馬鹿!クラウスの馬鹿!」

「言ったなぁ!?そんな奴にはこうだ!オラァ!!」

「ぐべぇ!!??」


 クソ!クラウスが容赦無さすぎる!

 何入ってるかわからんクソ重いリュックを背負わされてずっと走らされる!

 しかも減速したら追随しているクラウスが木剣を持って突っ込んでくる!

 リュックに当たってるとは言え衝撃が笑えない。

 意味がわからない!

 今日は剣を教えてくれるんじゃなかったのかよ!

 身体を鍛えるのは分かるけど、こんなの拷問だろ!


「ラスト1周だぁアレス!気合い入れて走れぇぇ!減速したら突くぞおおお!」

「うおおおおおお!!突かせてたまるかあ!」


 こっちは運動もろくにやらなかったいきなりこれはハードモード過ぎる!


「よぉし。よし走りきったなぁアレス。中々やるじゃないか。」

「ハァハァ…俺は死ぬかと思ったよ。」

「ハッハッハ!安心しろこんな事で死にやしないよ。」


 くっそ!こいつ普段より楽しそうだな。

 もう少しくらい優しくしてくれよ。


「じゃあ休憩は終わりだ!次行くぞ!」

「はぁ!早すぎだろ!ってかまた走んのか!?」

「次は筋トレだぁ!もちろんリュックは背負ったままな。」

「いや無理だろ!」


 ーーーーー


「もう動けるか?」

「いや、まだ無理。」


 足に鉛でもついてるんかって位重い。

 全くもって動かん。


「そうか。・・・すまねぇな。やりすぎちまった。」

「いや、いいよ。これくらいしないと強くなれないでしょ。」

「・・・あぁ。」


 陽の光が真上から俺たちの事を照らしてくる。

 朝は全然いなかった人も今は結構いる。


「まだなんか食うか?」

「これ以上食ったら次動いたら吐くぞ。」

「はは、そうだな。」


 朝のトレーニングが終わり、昼飯を食って、今は休憩中だ。

 疲れたな。

 俺の身体はもう悲鳴をあげている。

 まともに運動もしてこなっかたのにいきなり厳しいトレーニングばかりだったしな。

 でも、午後からは剣稽古をするらしいし、ここで辞める訳にいかん。

 ・・・・でもまだ動けないから休憩。


「んじゃこの間に剣について少し説明でもしようか。」

「うん。」


 お!いいタイミング!

 説明中は休憩出来るし、興味もあるし是非聞きたい。


「まず剣術には流派があってな。天剣流、幽水流、無宿流と言われる3大流派がる。人間で剣を使っている大半はこのどれかの流派だろう。」

「人間でって事は魔族とか亜人はそれ使ってないの?」

「まぁ多少はいるとは思うが、少ないんじゃないか?彼らには彼らの流派とかあるんじゃないか。」

「なるほど。」


 まぁそりゃそうか。

 人間や亜人、魔族で長所や短所も変わってくるだろうし、それぞれに適した動きじゃないとやりにくいもんな。

 人間はそれがさっきの3大流派って事なんだろう。


「で、まずは天剣流から。この流派は先手必勝、一撃必殺が基本だ。まぁ攻撃的な剣術で使っている人も多い。んで次は幽水流。この流派は防御とカウンター特化だな。主に護衛とか人を守る事を生業にしてる人は、大体この流派だな。最後に無宿流。これは勝つことよりも生き残る事を重視している。先の流派とは違って剣以外、槍でも素手でもナイフでも使える物は何でも使う。奇襲や武器奪取とかもな。まぁこんな感じの流派だから、使ってるのは殆どが傭兵や冒険者とかだ。」

「なるほどね。因みにクラウスはどの流派なの?冒険者だしやっぱ無宿流?」

「いや、俺は基本天剣流だな。まぁ無宿流も使えはするが、あまり使わないな。」

「あ、天剣流なんだ。じゃあ幽水流は使えるの?」

「幽水流は使えないな。幽水流を教えてくれる師匠に出会えなかったからな。」


 クラウスは3大流派の内2つも使えるのか。

 それって結構凄いんじゃないだろうか。

 ・・・・ゴブリンを殺った時は多分天剣流だよな。


「俺が学ぶのはどの流派?」

「あぁ。アレスには天剣流と無宿流の両方教えようと思ってるよ。」

「あ、両方なんだ。」

 クラウスは無宿流あまり使わないって言ってたし、てっきり天剣流だけかと思ってた。

「そうだな。どの流派がアレスと相性のいい流派か分からんから、俺が教えられるのは教えてお前に合った流派を見つけて、それを伸ばそうか。」

「あぁなるほど。確かに自分に合った流派の方が伸びやすいか。」

「そういう事だ。・・・・そろそろ休憩は終わりだ!始めるぞ!」

「おう!わかった!」


 ちょっとわくわくしてきたな。

 俺もクラウス位強くなりたいな。

 ・・・・ゴブリンにビビってる位じゃこの先冒険者としてなんてやっていけない!


「おっしゃぁまずは素振りからやってみろ。」

「おっ、あれ思ってたより重くないな。」

「まぁ2キロくらいだからな。」


 思ってたよりも軽いな。

 木剣ってもっと重い物だと思ってたわ。


「2キロか。余裕だな。」

「ふっ。言ってろ。どうせすぐに音をあげる。」

「言ったな。じゃあ最後まで耐えてみせるよ。」

「言うじゃねーか。じゃあ最初は素振りからやるか。よく見てろ。」


 クラウスが木剣を上段に構える。


「ふっっ!!」


 一閃。

 目にも止まらぬ速さで木剣が振るわれ。

 空気が裂けるような鋭い音が響き、地面の砂埃が舞う。

 はっっっっや!!!

 第三者の視点から見てるのに目が追いつかん。


「ーー見えたか?」


 余裕の笑みを浮かべるクラウス。

 俺はゴクリと唾を飲み込む。


「いや、全く見えん。なんだ今の。はやすぎだろ。」

「まぁ見えないよな。今のお前の動体視力じゃまだわからんだろ。じゃっお前も振ってみろ。」

「あぁ。」


 木剣を上段に構える。

 さっきクラウスが剣を構えて姿を思い出せ。

 あの姿勢だ。

 背筋を伸ばせ!

 腕だけで振らないように。


「ふっ!!」


 ぶおぉおん!ボギャッ!


「あああ!!いってええ!!」

「!?ハッハッハッハ!!何してんだアレスw」


 いってえぇ。

 思いっきり足に当ててしまった。

 しかも脛だ。


「アレス。次は足の裏で地面を捉えて、腰をひねろ。その力を剣に乗せるんだ。力みすぎるな。無駄な力は抜くんだ。ただし、芯は通せ。」

「あぁ。わかった。でももうちょっと待って・・・・脛が痛い。」

「ハハ。ちょっと休憩しとけ。俺は素振りしとくよ。」


 シュッ!

 とクラウスが剣を振る度に鋭い音が響く。

 ・・・・足は・・・まだ痛い。

 けど、こんな事で止まってなんてられない。

 俺はもっと強くならないといけない。

 とりあえず今はクエストに行ってもクラウスの邪魔にはならない位には強くならなければ。


「・・・・ふぅ。・・・・ふっ!ふっ!」


 クラウスの横に並び、俺も剣を振るう。

 この人に追いつくには、この人よりも努力をしなければ追いつけない。

 年の差なんてものは関係ない。

 どれだけ全力で向き合えるか、それが大切だ。

 1回、また1回と剣を振る度に腕は重くなっていく。


 なのに、剣を振るスピードは上がっていく。

 まだだ、こんなもんじゃ足りない。

 他の人よりも多く剣を振れ!

 他の人よりも長く剣を振れ!

 ぽつん、と汗が落ちる。

 端の方でクラウスと2人、ひたすら剣を振り続ける・・・・・クラウスに追いつけるよう・・・・クラウス邪魔にならないように。

 それどころか、俺がクラウスを守れるようになる位の気概で!!


 ーーーーーー


「ふぅ〜。よしっ!今日はもう終わるぞ!」

「え、あ、うん。」


 おっと、もう日が落ちてるな。

 周りも大分人減ったし。


「アレス、お前は凄いな。剣を使うのは今日が初めてだよな?」

「?そうだけど。それがどうしたの?」

「いや、ただ・・・・強くなるよ。お前は。」

「ふふ。どうしたんだよ急に。」

「普通始めて1日目でこんなに長く無心で振り続けられる奴なんていないだろ。午前中だってずっとトレーニングしてたんだぞ?」

「あぁ、確かに言われてみれば今日はずっと動いているな。」


 グウウウウウ!


「・・・・飯、食いに行くか。」

「おう。腹減ったわ。」

「知ってる。今聞こえた。」

「ww」


 ゴトッ。


「ん?どうした。大丈夫か?」

「クラウス。手に力入らんわ。剣拾えない。」


 気が抜けたからか急に力が入らなくなったな。

 腕が全く上がらない。

 ・・・・うむ。我ながら今日は頑張ったな。


「アレス。俺が木剣を戻しておくから。お前は水浴びしてこい。汗だくだろ。終わったら外で集合な。」

「分かった。ありがとうクラウス。」

「おう!」


 ーーーーー


「なぁアレス。今日の稽古はどうだった。厳しすぎたか?明日からも続けられそうか?」


 ギルドの酒場で以前食べたフェザースープシチューを食べていると、クラウスが少し心配そうな顔をしてこちらを覗き込んでくる。


「いや、大丈夫だよ。確かに鬼みたいにキツいし、しんどいし、筋肉痛で全身バキバキだけど、それでも今日みたいな感じで大丈夫。」


 そうだ。

 いいんだ、これで。

 この世界には魔物がいる。

 日本にいた時よりも危険な場面に出くわす時は絶対に多いだろう。

 身を守れる力は持っていて損はないし、そもそも俺は冒険者になるんだ。

 戦えないと金なんて稼げない。

 ・・・・でもどれくらい稼げば1人立ち出来るんだろうか。


「なぁ、クラウス。冒険者で1人立ちするのはどれくらい稼げればいいんだ?」

「そうだなぁ。1人立ちするくらいかぁ。じゃあ丁度良い機会だし、ギルドについて説明するか。」

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