商団護衛クエスト①
「これより!アルツ村への商団の護衛クエストを開始する!!!しゅっぱああああつ!!!!」
「「「「うおおおおおお!!!!」」」」
冒険者達が声を上げる!
「行くぞおおお!!!!」
皆が一斉に馬に乗り、グレンが先頭を駆け出す!
それに先頭隊の冒険者達が続く!
馬車も一斉に動き出す!
ドドドドドド!!!!
馬の足音が響き、冒険者達の雄叫びの余韻が聞こえる。
・・・・すごい。
こんな感覚初めてだ。
胸が高揚する!
夜明け前にこんな大量の冒険者達と商団が馬に乗り、馬車を走らせ、駆ける。
「すげえなぁ・・・・・」
小さく呟きが漏れる。
「アレスそろそろ行くぞ。」
「あ、うん。」
そろそろ後ろの方も走り出して来た。
最後尾の俺達もそろそろ走り出さないと。
・・・・・って俺走りか・・・・
完全にさっきの感覚に呑み込まれて忘れていた。
「よしっ!行くか!」
さあ、気合いを入れていこうか。
目の前の馬車が走り出し、周りの冒険者達も馬に乗って掛けていくのを見て俺も走り出す!
勢い良く門を抜け出し、まだ暗い中を全力で駆ける!
「裏門出たらすぐ外なのか。」
「ああ、この量の馬車と冒険者が街中を走って門を出ると迷惑になるからな。早朝だし。」
「それもそうか!ってか案外ついていけるな!」
「そりゃそうだ。普段あんだけ走ってるんだ。前ステータス見た時よりも格段に伸びてるだろうしな。」
「そういや、グレンさんとかガルドさんも前ギルドで絡まれた奴に、アレスなら簡単に勝てるだろ〜みたいな事言ってたな。Bランク相手に・・・・・冗談はよしてほしいな。」
ほんと、冗談はよして欲しいもんだ。
勝てはするだろうけど、簡単では無いってのに。
それにあいつ以外にも滅茶苦茶人数いたのに、俺が勝てるわけない。
タイマンなら五分五分ってところだろう。
「冗談ではないだろう。・・・お前もあいつらは冗談でそんな事を言うやつじゃないって知ってるだろ。」
「まあ知ってるけど、それでも・・・・簡単では無い相手だったしよ。」
「俺はその相手を見てないから何とも言えないが、お前はもう少し自信を持て。何度も言ってる事だがな。」
「自信はあるよ。けど、相手の方が冒険者としても、剣にしても俺より経験が多いだろうし、長い間触れてるだろ?だからどうしてもビビっちゃうんだよ。」
「ビビるのは悪くない事だ。」
「え?」
まさかそう返ってくるとは思わなかったな。
もっと、何言ってんだ!そんな雑魚共ボコボコにしろ!勝てると思ったんなら勝てるんだよ!みたいな事言ってるくるのかと思ったが・・・・・
「俺が言ってるのは自分を信じろって事だ。相手を見下すんじゃない。逆にお前の相手の方が強いかもしれないと思う気持ちがあってもいい。」
「そうか・・・・」
「それに、お前は1人じゃないだろ。知り合いが沢山いるだろ。そいつらも使えばいい。それを全部含めてお前の強さだ。」
「・・・・・」
「それにビビるっていうは大切だ。相手の力量をしっかり出来てるって事だ。愚か者やイカれてる奴はその感覚が無いから、格上に喧嘩を売って殺される。」
「確かに・・・」
つまり、クラウスが言いたいのは、1人で戦わなくても、助けてくれる人が居るから、無理はするなってことか?
あとは相手の力量を見極めろって事か・・・・
・・・・・ビビるのは悪くない・・・か。
「ありがとう。クラウス。ちょっとだけ、自信がついた気がする。」
「ああ、どういたしまして。」