村
目が覚める。
見慣れた天井。
外はまだ暗く、人も少ない時間だ。
「ふうー。・・・・準備するか。」
今日は商団クエストがある。
こんな夜明け前には領主の館を出発するらしいから、それまでに向こうに行かないとな。
「アレスー起きたか〜。」
「ああ、起きてるよ。今準備してる。」
「そうか。準備終わったら飯食っとけよ。」
「分かった。」
クラウスはいつも起きるのが早いな。
今日も、もう既に準備は終わってそうだ。
いつもクエスト行く時に着てる装備も、もう着てたし。
・・・・・クラウスも楽しみなのかな?
それとも気合いが入ってるだけ?
まあ良いか。
準備も出来たし、朝ごはん食べに行くか・・・・
ーーーーーー
「なあクラウス。なんでこの辺りは村が結構多いんだ?戦争が多いのに・・・・村の人を都市に集める方が守りやすくないか?」
「1番の理由はそれだ。戦争が多いからだ。」
「?どういう事?」
「森は広いだろ?グリスヴァルドの正面から攻めてくるなら撃退出来るが、もしグリスヴァルドを無視して、グリスヴァルドの監視が届かない場所から入ってくれば・・・・簡単に国内の内部にまで侵入される事になる。こっちがは気づかない間にな。」
「それは分かった。・・・・けど、それと村が関係あるのか?」
「ある。この辺の村は、森に近い位置にあるのが多いんだが、もしグリスヴァルドの正面から攻めてこなくたって村が近くにあれば、侵攻してきた事が分かる。それをグリスヴァルドに伝え、対処する。」
「なるほど・・・・村は監視塔みたいな役割ってことか。」
「そうだ。情報の伝達は集団戦において、特に重要となるからな。それに、村人達も自分の故郷を簡単に捨てる気はないだろうしな。」
そうか・・・・村の人からすれば、そこは故郷になるのか。
でも・・・それで戦争が起きて死んでしまったら元も子もない気がする・・・・
「報告した時にはその村はもう・・・・遅いんじゃないか?」
「相手の数や強さによってはそうかもな。とはいえうちの領主だってそう簡単には見捨てない。グリスヴァルドの兵を各村に交代させながら警備させている。援軍が来るまでは大抵はそれで持ちこたえられるだろう。」
「村多いんだろ?グリスヴァルドの守りが薄くなるんじゃ?」
「問題ないさ。グリスヴァルドには黒鋼騎士団が居るからな。だからこそ村に兵を割ける。」
クラウスがここまで信頼する騎士団とは・・・・
どれだけ強いんだろうな。
この街に来てから3ヶ月くらい経ってるのにそれらしき人達は見てないしな・・・・
そんな事を考えながら、メインストートの1番奥にある領主の館へとクラウスと共に向かっていた。
ーーーーーーー
「おお。すげー量だな。」
「ああ、アルツ村はこの辺りだとデカイ村だからな。その分運ぶ量も多くなる。」
昨日見た時は20台くらいしか馬車が無かったが、今は30以上ある。
あれからさらに増えるとは思ってなかった。
・・・・・昨日こんなに冒険者いるのか?って思ったけど・・・・・これを見ると逆にこの人数で足りるのかという疑問が出てくる。
出発すれば縦に長くなるだろうし、もし襲撃されたら、これだけの冒険者で守り切れるのか?
・・・・・考えても仕方ないか・・・
今は、先輩方を信じるしかない。
「おはよう。」
「おはようございます。クラウスさん。」
「アレス君もおはよう。」
「おはようございます。」
テントに入りガルドや他の人達に挨拶をする。
人多いな。
「ブライド。全員揃ったようだ。」




