変な奴に絡まれた④
「帰ったぞー。」
「おうアレス。遅かったな。なんかあったか?」
「よく分からない奴らに絡まれてたんだ。」
「だから遅かったのか。絡まれた原因は分かるか?」
「商団の護衛クエストを寄越せって言ってたな。」
「あーなるほど。護衛クエストは基本報酬が良いからだな。今回のは特にな。」
「あ、だから狙われたのか。」
「それで?どうやって抜け出したんだ?ボコボコにしたか?」
いや出来るわけないだろ。
それにボコボコに出来るわけ程力差があった訳でもないんだし。
「いやしてないよ。ガルドさん達が助けてくれたんだけど、何かめっちゃビビってたな。」
「あいつらはBランクでも上位に入るくらいは強いからな。並大抵の冒険者じゃ勝てないからだろう。」
「やっぱガルドさん達って強いんだな。」
「ダンジョンに行きまくってるからなあ。あいつら。・・・・とはいえ、お前ならすぐに追いつくだろうがな。」
「流石にそれは・・・・っていうかクラウス。明後日の準備は何すればいいんだ?」
「野営の準備とかは要らないが。それ以外はダンジョンの時と一緒でも問題ない。」
「あ、そんだけなんだ。」
これだけならすぐに準備出来そうだな。
そしたら明日が暇になるし、訓練でも行くか?
「明日は特にするこないって感じか?」
「いや、明日は商団と打ち合わせだな。他の冒険者とかも居るだろうから。護衛時の配置決めとかだな。」
「え?他の人もいるのか?」
「あ、言ってなかったか?ちょうど良いし今説明しとくか。」
「頼んだ。」
「まず商団の護衛に関しては依頼主によって結構変わるんだが・・・・今回のを例にするとだな。俺らが護衛する商団は、グリスヴァルドの領主から出る商団だ。」
「領主から?」
「そうだ。領主は直属の商団を持ってる。その商団は大規模でな、近くの村に品を届けに行く役割もあるんだよ。この街ならともかく、こんな辺境の村に行く商団は殆どないからな。」
「なんで領主直属なのに兵を使わないんだ?」
「ここはダンジョンがある上に近くに村がそこそこある。ブラッドヴァルド帝国がいつ攻めてくるかも分からない。」
「・・・・・だから冒険者に頼る、と。」
「そうだ。」
「それって大丈夫なのか?冒険者は荒くれ者が多いんだろ?」
「そうだ。ただ、グリスヴァルドに長くいる冒険者は大体領主と顔見知りだから、その中から信頼出来る冒険者達に、指揮権を渡して任せてるんだ。」
なるほど。
・・・・理由は分かったけど、そんなに信頼関係が領主と冒険者達の間にあるとはな。
この街は戦争も多かったらしいし、俺の思ってる関係より深いものがあるんだろうな。
「今日の午後は暇だし、稽古でもしに行くか。」
「ああ。そうだな。」