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クエスト

 ーーーーーー


「アレス、昼飯食ってからいくか?」


 ギルドについた。

 すぐにクエストに行くもんだと思ったが・・・・クラウスが飯をギルドの酒場で食べようとするのは初めて見たな。

 でも、ラッキーだな。

 俺もギルドで1度飯を食って見たかったんだ!


「あぁ。腹減ったし何か食べてから行きたいな!」

「よし!じゃあ肉食ってから行くか!フェザー・スープシチューを2つくれ!」

「あいよ!」


 ギルドに併設されている酒場に向かってクラウスが叫ぶと、厨房の奥からクラウスの声に負けない程の声量で声が返ってくる。


「クラウス、フェザー・スープシチューってなんだ?何の肉??」

羽鶏(フェザー・バード)っていいう魔物の肉だ。・・・お!あそこ座るぞ!」

羽鶏(フェザー・バード)ねぇ。ってか魔物って食えるんだな。どんな料理なんだ?」

「骨ごと煮込んで旨味を引き出したスープ料理だよ。ここの酒場の定番メニューだ!魔物とはいえ家畜化されてるからな。まぁちゃんと美味いから安心しろ!」


「心配はしてなかったけどなぁ。クラウスが買う食べ物にハズレは無かったからな!」

「嬉しい事言ってくれるねぇ!もう1個くうか?!」

「さっき頼んだのまだ出来てすらねぇだろ!食いきれるかも分からないし大丈夫だよ。」

「そうか。足らなかったら遠慮なく言えよ!」

「あぁ、ありがとな!」


 クラウスには足を向けて寝られないな....

 クラウスとの生活も楽しいが、負担になりすぎてないかなぁ。

 ・・・ってかクラウスってどこで稼いでいるんだろうな。

 この1ヶ月間も俺とクエストに行く時と外に食材買いに行ったりしてる時以外は大体家にいたしな。

 たまに散歩行ったりしてるようだけど、何して稼いでんだろうな。

 ・・・・まぁもう少し一緒に暮らしてたら分かるだろう。


「お!クラウスさん!少年もいる!ってことは今日も薬草採取ですか?!」


 そんな事を考えてると声が掛かる。

 ギルドに行くといつもクラウスは他の冒険者に声を掛けられる。

 最近じゃあ何を話してるかもわかってきたから、暇だし話を聞いてるんだけど、クラウスは沢山の奴らに慕われているようだ。

 ・・・見ず知らずのガキを無償で助けるようなお人好しだしな。

 みんなにも優しいから好かれやすいんだろう。


「あぁそうだよ。今日は森のもう少し奥まで行こうと思ってるよ。」

「そうなんですね!でも最近は森の奥の方でゴブリンが増えてるらしいですよ!」

「そうなのか。まぁ大丈夫だろう。ゴブリン程度なら俺でも何とかなる。」

「まぁそうですよね。クラウスさんですし」

「おーいガルドぉ!!そろそろ行くぞぉ!」

「あぁ!今行くよ!呼ばれたのでもう行きますね!また!クラウスさん!少年も!」

「あぁ、また今度な。」

「あ、さようなら。」


 すっごい優男だな。

 身長も高いし、結構筋肉質だからちょっと見掛けはイカついが、凄い好青年だ。

 さぞかしモテるんだろうな。

 そんなことを思いながら、仲間っぽい人に呼ばれて駆け寄っていく彼の後ろ姿を眺めていたら


「良いやつだろ?」


 クラウスも彼の背中を眺めながら話掛けてきた


「あぁ、めっちゃ良い人そうだったな。見た目はイカついけど。」

「はっはっはっ!確かにイカつい見た目してるな!まぁあそこまで優しいやつは他には殆どいないだろうな。」

「やっぱり彼も冒険者なんだ。さっきガルドさん?を呼んでいたのはパーティーの人?」

「あぁ、そうだ。パーティー名鉄の牙(アイアンファング)、Bランクパーティーだ。ガルドもBランクだった気がするなぁ。」

「え?!まじか。Bランクって結構凄いってクラウス言ってたよな?」

「あぁすげぇよ。あいつはまだ21なのに、もうBランクだ。早すぎるだろほんと。」

 21歳でBランク・・・・前世(地球)だとまだ大学生くらいの歳だよな。

 なのにBランクか....前世だと1人暮らしなら贅沢出来る位は稼げるだろうな。

 すごいな。

「へいお待ち!フェザー・スープシチュー!!」


 ドン!


 と2人分のフェザー・スープシチューを机に置いて厨房へと戻っていく。

 ふむ。

 見た感じは普通のシチューだな。

 パンも付いてるから、パンとシチューで食べるのか

 な?

 あんまり前世と変わらないな。


「いただきます。」

「あぁ...沢山食えよ。」


 美味いな。

 少し甘いがそれ以外は基本一緒だな。

 スープって書いてるからもっと水っぽいかと思ったが、結構どろどろで俺の好きなシチューだ。

 羽鶏(フェザー・バード)の肉も鶏と殆ど一緒だな。

 ってか今までクラウスが買ってきて家で食ってたのも多分殆どこの肉だな。

 まぁ美味けりゃ何でもいいか。


 ーーーーー


「おーいアレスそっちは採れたかぁ!」

「あぁ!今採りきったよ!そっち行くわぁ!!」


 今は森に入ってすぐの所にいる。

 飯を食ってすぐにこっちに来た。

 今日は少し奥の方まで行くらしいから早く進めないとな。

 日が暮れると危ないしな。


「お!結構採れたようだな。じゃあ今日はもっと奥まで行こうか。」

「え、少しだけじゃないのか?」

「ん?まぁいいだろ。・・・もしかして怖いのか?」


 ニヤニヤしながらクラウスが言ってくる。


「まぁな。俺はこの森でゴブリンに殺されかけたからな。」

「え?あ、そうだったのか?それは、すまんな。今まで気づかなくて。大丈夫か?戻るか?」

「大丈夫だよ。クラウスも謝らなくて良いって、俺が言って無かっただけだし。だから行こうぜ?」

「まぁお前が大丈夫ならいんだがな。・・・ま、ゴブリンが出たら俺が何とかするよ。俺はもう慣れてるしな。」


「・・・・いや俺も手伝うよ。一緒に来てるんだし。」

「ふっありがとな。けどお前はナイフしか持ってないんだ、あんまり無茶はするなよ?」

「わかってるよ。・・・・・なぁ、クラウスは何で今は冒険者活動をしてないんだ?

やっぱ俺が居るからか?」


「いや、アレスは関係ない。それに俺は冒険者活動をしてない訳じゃないぞ。前教えたの覚えてるか?よく隣国と戦争してるってこと。」

「ん?覚えてるよ?それがどうした?」

「戦争が始まるとな、ギルドに戦争でヴァルグレイ王国の味方しろーみたいなクエストが出るんだよ。それが結構報酬が良いから、それで稼いでるって感じだな。最近はないが・・・」

「クラウス、戦争参加してたの!?それにギルドって中立じゃ無かったっけ?」

「基本中立なんだけどな。ブラッドヴァルドと何か因縁でもあるんじゃないか?」

「ふーん。そんなもんなんだな」

「そんなもんだよ。」


 ブラッドヴァルドはギルドに何をしたんだ。

 ギルドは戦争関与しない事が多いって聞いたんだけどなー。


「あ、ってかクラウスって今ランクどれく・・」

「止まれ。静かに。」


 クラウスがしゃがんで草むらに隠れる

 咄嗟に俺のしゃがんでクラウスの後ろにつく。


「どうしたの?」


 クラウスにしか聞こえないように小さな声で話す。


「見てみろ。」


 草の間から奥の方を覗いてみる。

 !!・・・ゴブリン!

 しかも多い。

 パッと見でも10はいるな。

 これはやばいんじゃないか。

 一匹でもあんなに手こずったんだ。

 いくらクラウスが剣を持っていたとしても、2対10じゃ勝てないだろう。

 相手だって皆棍棒持ってるし、俺に関してはナイフしかない。


「クラウス、これヤバいんじゃないか。早く逃げた方が、、」

「いい機会だ。アレス良く見とけ。明日からお前も剣を学ぶんだ。今日は見学だ。」

 そう言ってクラウスがゴブリンの群れに突っ込む。

「な!?ちょっと待っ!!」


 はっや!?

 何だあのスピード。15mくらいあったのに、気がついたもうクラウスはゴブリンの群れの目の前だ。


「1,2,3・・・全部で13か。」


 目の前にいたゴブリンを瞬く間に斬り伏せた。

 悲鳴が出るまもなく絶命した。

 血飛沫が舞う。

 まだ気づかれてない。

 もう1歩踏み出しゴブリンを上段から袈裟斬りをする。

 ここでようやく周りのゴブリンに気付かれた。

 速すぎる。

 剣が一閃されるたびにゴブリン達が絶命していく。


「つっっっよ!?」


 クラウスってあんな強かったのかよ。

 今までは魔物に会ったことが無かったから分からなかったけど、滅茶苦茶強いじゃねーか。


「アレス!もう大丈夫だぞ!」


 あ、もう終わってる。


「お、おぉ!そっち行くよ!」


 首から上が無くなってたり、袈裟斬りや突き刺しなどの後があるゴブリン達が転がっている。

 血塗れだ。

 自分が殺したわけでも、殺されかけた訳でもないのに気分が悪くなるな。


「・・・うっ。」


 胃の中身がこみ上げてくる。


「アレス!大丈夫か!?」


 クラウスがこっちに駆け寄ってくる。


「ほら、水飲め。」

「あ、あぁありがとう。」


 背中をさすってくれる。

 なんとか耐えれた。


「すまないな。少し配慮にかけた。」

「いや、クラウスは悪くないから、大丈夫。俺も慣れる様に頑張るよ。

 冒険者になるんだから、な。」

「・・・・そうか。けど、無理はするなよ。」

「うん。ありがとう。」

「じゃあ俺は少しあれを処理するからここで待っとけ。」

「分かった。」


 はぁ、だめだな。

 俺は。

 何でもかんでもクラウスに頼りすぎだな。

 ・・・まずは大量の血に慣れないとな。

 俺が選んだ道だ。

 今から頑張らないと、いつまで経ってもクラウスのお荷物になる。

 そんなの御免だ。


「・・・・クラウス。俺も手伝うよ。」

「もう大丈夫か?」

「うん。」

「そうか・・・じゃあゴブリンの死体を1箇所に集めて燃やそうか。お前は損傷が少ないのにしとけ。頭が無いのとかは俺がやるから。」

「分かった。この辺でいいか?」

「あぁそこでいいぞ。・・・・・・よし!じゃあ燃やすか。」

「燃やすのは何で何だ。」

「死体を放置してると屍起(アンデット)になるかもしれないからな。」

屍起(アンデット)?」

「魔物や人間の死体を放置してると一定確率で屍起(アンデット)っていう魔物になるんだよ。」

「なるほど。じゃあ魔物と遭遇して、もし倒したらしっかり燃やせって事だな?」

「まぁ簡単に言えばそういう事だな。でも大体は素材として使われる場合のが多いな。燃やすには素材を剥ぎ取る時間がないくら位に急いでいる時くらいだな。ゴブリンは使えるとこがないだけだけどな。」

「ほー勉強になるな。」


 言葉覚えるのももう殆ど終わったし、これからは冒険者活動も増えるだろう。

 忘れないようにしないとな。

 少し、日が暮れてきたな。


「クラウス。もうそろそろ帰る?」

「そうだな。薬草も必要分は採れたし、そろそろ帰るか。日が落ちる前に森を出ようか。」

「了解。」


 ーーーーー


「いやぁ今日は疲れたなぁ。」

「そうだな。まさかゴブリンがあんなにいるとはな。」

「・・・俺は何の役にも立てなかったな。クラウスは強すぎるよ。」

「まぁ気にすんなよ。・・・・それに、明日からお前も鍛えてやるから1人で倒せるようになるよ。」

「そうかなぁ。・・・・そうなれればいいなぁ。」


 あの後、俺たちはギルドに行き、クエスト報酬を貰ってそのまま酒場で飯を食って帰ってきた。

 ・・・・明日からはクラウスに稽古・・・修行?をつけてもらうし、これからは1人でもゴブリン位は倒せるようにならないとな。


「アレス、俺はもう寝るから。お前もあんまり夜更かしすんなよ。」

「あぁ。おやすみクラウス。」

「おやすみアレス。」

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