犬っころ共②
俺はもっと強くなる!
そのための経験値となってくれ。
「かかってこい。犬っころ共。」
ガルルルアア!!!
取り巻きの狼達が突っ込んでくる!!
エリック達の方は狙っていないようだ。
全てが俺に向かって突撃してくる!
「ふっ!」
力強く踏み込み、一気に狼との距離を詰める!
すれ違い様に剣を抜きそのまま真っ二つに切る!
まずは一匹!
左右からくる!
高く飛び、上から飛びかかってくる!
先に右を殺るか。
ザクっ!
剣を地面に刺し、そのまま突き上げる!
土が勢いよく飛び、狼の目に当たる!
ギャウっ!!
悲鳴をあげ一瞬動きが止まる。
突き上げた勢いを利用し、一閃。
その勢いを利用し、弧を描くように反対まで剣を振り切る!
「さて、お前の部下は居なくなったぞ。ここからどうする?逃げるか?」
まあ、逃げようとしても逃がさないが・・・・どう出るか・・・・
ーーーーーーー
「すっげー・・・・・」
「ああ、凄いな・・・」
エリックとライナーが後ろからアレスを見ながらつい、そんな言葉が漏れる。
「アレスは凄いな。・・・・私も彼に追いつけるように・・・・認めてもらえるようにもっと、強くならないと・・・・・」
「マナ。無理しちゃだめだよ・・・・」
アレスは、自分が思っているよりもエリック達に影響を与えている。
彼らはアレスの背中を追って無茶をしてしまいそうな程に・・・・・・アレスに出会ったことによって危なっかしい程の覚悟が・・・・・
「俺もあれくらい強くなれれば・・・・・」
圧倒的才と最高級の指導者を持ち、なお努力を欠かさないアレスに、ただの少年少女は追いつけるはずもない。
・・・・だから彼らは、無茶をしてでも格上との実践や難しいクエストを増やす。
アレスに届くことは・・・・・
それでも彼らは強くなろうと努力する。
故郷のために・・・・仲間の為に・・・・
ーーーーーーー
「こいよ。」
腰に掛けてある剣に手を置き、いつでも引き抜けるようにする。
・・・・・沈黙が続く。
アレスも、狼のボスも動かない。
見つめ合い次の互いの動きを読み合う。
勝負は一瞬で決まる。
相手の動きを1度でも見切り切れなかった方が敗北する。
ダンッッ!!
アレスが動き出す!
狼に一直線に走り出す!
1歩遅れて狼の方も動き出す!
一瞬で縮まる距離!
狼が大きな口を開き、鋭く大きな牙でアレスを噛み殺そうとする!
アレスは剣を引き抜き、相手の動きに合わせる!
キイイイィィィンンン!!!
「グッ。・・・くそ、いってーな。・・・けど、俺の勝ちだ。」
腕に噛み付かれたが、すぐに首を撥ねれたお陰で軽傷で済んだ。
「終わったぞ。」
「アレス!前から思ってたけど何でそんなつえーんだよ!」
「アレス!めっちゃカッコよかった!!流石、私の大好きなアレスね!!」
セラやライナーからも褒められた。
・・・・なんかむず痒いな。・・・・けど、褒められるってのは良いもんだな。
「はは、ありがとう皆。疲れたし、さっさと後始末して帰ろう。」
「ああ、そうだな!」
「早く帰ってご飯でも行こうよ!アレス!私が食べさせてあげる!!」
「勘弁しれくれ・・・・」