犬っころ共①
「エリック!ライナー!後ろから狼が来てる!この群れより多い!!!」
マナとセラが隠れていた草むらから飛び出す!
「なんだと!・・・くっ!エリック!どうする!!」
まずい!
このままだと囲まれてしまう!
囲まれたらどうしようもなくなる!
ゴブリンの時よりも不味い。
「正面の群れを殲滅する!!」
せめて数だけでも減らせれば!
とりあえず、囲まれさえしなければ何とかなるはず!
後ろから迫っている狼達がこちらに到達する前に前に出る!
・・・・アレスが動いてないって事はまだ僕たちだけで何とか出来るって思ってるって事だ!
アレスが動かなくても俺達なら絶対にこの状況を何とか出来る!
「行くぞ!」
「おう!」
エリック達の背後からも狼達が迫ってるな。
彼らはこれをどうするか・・・・・
判断を間違えなければ彼らの実力なら何とかなるはずだ。
・・・・まだ、動くべきではないだろう。
「マナとセラは真後ろを着いてこい!ライナー!後ろは頼んだぞ!」
「任せろ!」
「ーーーーー紅蓮の刃と化し、敵を切り裂け!!紅蓮の刃!!!」
「今だ!突っ込めー!!!うおおおおおお!!!!」
エリックが切り込み、道を作る!
残るは10匹程度!
行ける!
援軍が来る前にこいつらは倒し切れる!!!
「ぐああ!!くっそ!!おらああ!!!」
「ライナー!・・・・!」
「進め!エリック!」
「クッ!!」
ライナーの腕が狼の強靭な顎に砕かれる!
骨が見えている。
「うおおおお!」
「ーーー、ヒーリング!!」
セラが回復魔法を唱え、ライナーの腕を回復させるが、完全には治らなかった。
「助かったぜ!セラ!」
「任せてください!」
しかし、軽く動けるくらいには治ったようだ。
大した魔法だ。
あそこからそこまで回復させられるとは。
「よし!切り抜けられらぞ!」
「はあはあ・・・・第一関門は突破したな・・・」
ワウオオオオオン!!!
「来たか。危うく挟ませれる所だったな。」
「ああ、けど今全て視界内に捉えられてる!後ろに回り込まれないようにすれば、何とかなる!」
「ああ、そうだな。」
「皆!もう人頑張りだ!やるぞ!!」
「「「おー!!」」」
ーーーーーーー
「ふー、何とかなった・・・・」
「ああ、もう疲れたぜ。。。まさかあそこまで多いとはな。」
「魔力がなくなっちゃった。・・・疲れたあ。」
「皆、回復させるから順番にこっち来て。」
エリック達は狼の群れを倒しきれたようだ。
結構危ない場面は何度かあったが、俺の助けがなくてもあの量に勝てるようになったか・・・・
「皆、お疲れ様。良い戦いだったよ。」
隠れている草むらから出てきながらエリック達に労い言葉をかける。
「アレス・・・・君にそう言って貰えると嬉しいね。」
「アレス!お前が来ないから俺は見捨てられらたかと思ったぞ!」
「見捨てるわけないよ。ライナー達なら勝てると思ったから出てこなかっただけ。」
「ふっ。やはりそうだったか。・・・・アレスの期待に答えれて良かった。」
「え?、は?そうだったのか!?ってかエリックも気づいてたのかよ!?」
「そりゃそうでしょ。アレスが僕達を見捨てるわけないでしょ。初めて会った時ですら躊躇なく助けてくれたんだよ?」
いやエリックさん、初めての時は結構悩みましたよ・・・・・なんせ知らないパーティーでしたし・・・・
「アレス!!私の魔法見てた?!凄かったでしょ!」
「ああ、凄かったな。良い魔法だな。」
「でしょ!んふふー!」
マナは小動物みたいだな。
でも魔法打つ度にそれ聞かれても困るな。
基本紅蓮の刃しか使わないから・・・・毎回同じの見せられても反応に困る。
「狼の討伐は終わったし、少し休憩したら後始末して帰ろうか。」
「そうだな。それがいい。俺は暇だし先にやっておくよ・・・・っ!?」
何だ??
何かに見られている感じがする。
焔龍との戦いで感じた事があるこの感覚。
これは・・・・・殺気!?
ダンっ!!
その場からすぐに飛び退き、エリッに体当たりをして飛ばす!
「ぐあっ!アレス急にどうし・・・!狼まだ居たのか!」
俺とエリックがいた場所に狼が飛びついて来ていた。
・・・・危ない所だった。
気づくのが遅ければエリックが襲われていた所だ。
ガルルルル!!
一際大きい狼が現れる。
俺がこの狼達のリーダーか?
デカイ上に、他の奴らも引き付れてきたか。
・・・・・面倒だな。
「まだいたのか!エリック、アレスどうする!?」
「ライナー、疲れてるだろ。お前たちは下がっとけ。・・・・こいつらは俺が殺る。」
エリック達はもうあまり動けないだろう。
回復魔法は怪我が治っても体力は戻らない。
マナも魔力は無いだろうし、俺がやるしか無いか。
最近は稽古か、こいつらのお守りだったから、あまり実践はできてなかったし、丁度良い。
久しぶりの実践だ。
あのでかいのは中々に強そうだが、そんなものは関係ない。
俺はもっと強くなる!
そのための経験値となってくれ。
「かかってこい。犬っころ共。」




