エリックパーティーとクエスト②
「エリック!アレス!標的がいたぞ!」
ライナーが咄嗟にしゃがみ、相手にバレないように小さく警告する。
俺たちもライナーに続き、しゃがみ草むらに隠れる。
今回のターゲットは狼の群れだ。
グリスヴァルドの近くが襲われたらしく、クエストが出された。
「依頼内容よりも少ないな。」
「どうする?あんまり近づき過ぎるとバレるぞ。」
「気づかれる前に私の魔法で不意打ちした方が良いんじゃない?」
「私もそれがいいと思う。」
エリックパーティーの皆が話し合う。
今回俺は付いてきてはいるが見守り役みたいな役割だ。
エリックパーティーだけじゃ狼の群れを討伐するのは心配だから付いてきてくれと。
エリック自身に頼まれた。
だから、今回は極力俺は手を出さないようにする。
地上の狼はダンジョンで出てくる血牙狼よりも数段弱い。
だから俺が出ると殆ど1人で殲滅出来るから、エリックパーティーの経験にならない。
もし、誰かが死にそうになった時だけ俺は助ける事になった。
「よし、これで行こう。」
「よっしゃ!やってやるぜ!」
「アレス!ちゃんと見ててよ!」
「皆さんあまり大き声出さないで・・・」
作戦が決まったようだ。
・・・・・こういう時何を言えば良いか分からないな。
「・・・・お前ら油断するなよ。」
こいつらも初めて会った時よりかは強くなったが、狼の群れを相手にどれくらい戦えるか・・・・
「・・・・・行ってくるよ。」
「ああ、気をつけて・・・・」
エリック達の遠ざかっていく背中を見届け俺も移動する。
「いざって時に援護しやすい場所の移動するか。」
ここだと少し遠いからな。
何かあっても間に合わないだろうし。
ーーーーーーー
「マナ、魔法を頼む。」
「うん。・・・・紅蓮の炎よ。我が手に宿れ。」
魔力が高まり、周りの草木がザワザワと騒がしくなる。
「発動と同時に突っ込むよ。」
「ああ、任せろ!」
「ーー鋭き刃と化し、敵を切り裂け!!」
数匹の狼が魔力の高まりに気づく。
すぐにこちらに向かって走ってくる!
・・・しかし、もう遅い。
「紅蓮の刃!!」
炎をとなった刃が狼の群れに吸い込まれるように飛んでいく!
ーーー着弾。
ドゴオオン!
「うおおおおお!」
「おらあああ!」
エリックとライナーが、混乱の最中にある狼の群れへと突っ込んでいく!
「へえ結構威力が上がったな。」
1人、違う場所から見守っていたアレスはそんな呟きが漏れる。
リーナの魔法に比べればまだまだ威力はないが、最初の頃に比べれば強くなったし、地上の魔物にはこれくらいでも十分だろう。
リーナとセラは場所を変えてもう一度詠唱している。
悪くない作戦だと思う。
セラは回復魔法専門だし、この人数だと守るのも難しいだろうし、隠しておくのはいい判断だと思う。
ただし、前衛離れすぎるのも良くない。
エリックパーティーの後衛2人はガルドパーティーのは後衛とは違い、近接戦闘ができない。
もし一匹でも後ろに抜ければ・・・・後ろから挟まれればすぐにやられるだろう。
ドゴオオン!!
またもマナの魔法が炸裂する!
「あと少しだ!行ける!!」
「うおおおおらあああ!!!」
エリックとライナーも頑張ってるな。
負傷しても直ぐに隠れているセラからの回復のお陰で、しっかりと動けている。
この調子なら、勝てそうだな。
ワオオオオオオオオン!!!!!
「!?なんだ!?」
目の前の狼達からじゃない!
・・・・これは・・・・後ろ!?
「エリック!ライナー!後ろから狼が来てる!この群れより多い!!!」




