エリックパーティーとクエスト①
ーーーーーーー
あの日・・・・エリック達を助け、飯を奢ってもらった日から1ヶ月くらい経った。
あれからも基本はクエストに行くかクラウスとの稽古に励んでいるかのどっちかだった。
そうこうしているうちにDランクへの昇格クエストがあったが、前回とは違い討伐系のクエストだった。
俺1人でも対して苦戦する事もなく倒し、晴れてDランク冒険者となった。
前世でも何か1つに打ち込みことなんて無かったけど(ゲームは長い間やってたけどずっと弱いままだったし)、こっちに来てからは1つの目標が出来てる。
自分が成長している事を実感出来るのは凄くいいものだな。
モチベも上がるし、そうすれば更にやる気が出る。
良い循環だと思う。
でもどんなに順調に進んでいても、大抵の人は絶対に何処かで詰まづく。
スランプとかもそうだ。
苦手な事やトラウマがあったとしても前に進むなら、克服するしかない。
それを克服出来るかどうかで自分の限界が決まると俺は思う。
自分の無理だと思っている事を出来るようになる奴はずっと成長し続けると、そう思う。
また次の壁にぶつかってもそれも越えられるだろうから。
俺も自分の苦手な物は、今までの冒険者活動の中で、結構克服出来と思う。
それでも、苦手な物は増え続ける。
俺はこの世界に来て、それを全て超えてやろうと思っていたんだが・・・・・
・・・・・これだけは無理かもしれない・・・・・
現在はエリックのパーティーと一緒にクエストに向かっている。
「ねえアレスどうしたの?なんで返事してくれないの?」
「マナ。アレスが迷惑そうだよ。」
俺の無理だと思ったもの・・・・・・・そう、恋愛関係だ。
前世で同年代の女の子との絡みどころか、男の友達も居なかった俺にはとても厳しい問題だ。
大体はマナが俺に「大好き」とか言ってくれるが俺はどうすれば良いんだろうかと毎回悩んで1人で考え込んでしまう。
そう、今みたいに。
その度に呆れたエリックが助けてくれる。
「無理だってマナ。何回言えばいいんだよ・・・」
「ねえエリック。私はなんでこんなにも焦らされてるの?私はこんなにもアレスが好きなのに・・・・」
「・・・なんでだろうね。」
くっそ!
エリックももうちょっと援護してくれ!
こいつらとクエストに行く度に毎回マナからの求愛がくる。
俺はなんて答えればいいんだ!
毎回断ってるのに!毎回告白してくる!
・・・・・女の子との交友関係が経験ゼロの俺にはどう対処すればいいのか分からない!
「ねえアレス。こっち来て。」
「ん?どうした?」
エリックに小声で呼ばれ少しパーティーから離れる。
「アレスはマナが嫌いなのかい?」
「いや別に嫌いじゃないけど。」
「でも、付き合うのとか嫌なんだ?」
「そうだな。というか俺はそういうのよく分からないんだよな。」
「そうか。・・・・でもマナは可愛いし、付き合ってもお前に損は無いだろ?」
「確かに可愛いけど、好きでもない相手と好きあっても絶対別れる気がする。別れたらこうしてお前らとクエストに行くの気まづくなるし、行きたくなくなるぞ。」
「・・・・まあ、それもそうだね。それにマナもアレスに助けられた時の感情が爆発して好きなったようなもんだろうし、時間が経てば落ち着くかもな。
ごめん。早計だったよ。」
「気にすんな。エリックなりにマナを気遣ってるんだろ?俺もマナを傷つけたい訳じゃないしな・・・・」
「エリック!アレス!標的が現れたぞ!」