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オルフェリス①

「ちょくちょく人を見かけるな。人というか亜人だけど」

「そうじゃな。そろそろ近づいてきている証拠じゃ」

「ねえ! そこの街はどれくらい大きいの!? 本当に登れるのね!?」


森に入ってから1時間、歩いていると他の冒険者や商人、旅人とすれ違う頻度が徐々に増えてきていた。


「うむ、我らが今向かっているユグラシア共和国の領地の大きさだけで言えばそこまで広くは無い。が、この巨大な樹を使った多重構造によって街自体は途轍もなく大きくなっておる」

「普段から樹の上で生活しているらしいな」

「そうじゃ、そう言う意味で樹に登れるわけじゃ」

「そうなのね! 自分で登れないのは残念だけど、それでも楽しみね!」


一瞬残念そうな表情を見せるがすぐにワクワクしたような表情に戻るアリサ。

コロコロと表情が変わる姿は可愛らしい物だと、普段の破天荒っぷりがもう少し落ち着けば引く手数多じゃろうなあと考えるネフィラだった。


「あと少しで着くぞ」

「早く行くわよ!」

「あ、ああ!」


アリサがアルトの手を引っ張りすぐに走り出す。

アルトはアレスを見るが、アレスが頷くとアリサに返事をして嬉しそうに駆け出す。


「やっぱりアルトも気になっていたんだな。まぁ年頃の男の子だしなあ、気にならないわけないか」

「お主は気にならんのか? 国単位で樹の上に暮らすには圧巻じゃぞ」

「もちろん気になる。早く行こうぜ!」


木の上で暮らす? ツリーハウスってことだろ?

気にならない訳が無い!


「うむ、旅はそうでないとのう。おおっ!?」

「ネフィラも!」


アレスがネフィラの手を引っ張りアリサ達の後を追う。


一際大きな木を通り抜けると、そこにあったのは想像以上の物だった。


「すっげぇな・・・・・・」


アレスの目前に広がるは巨大樹生かした低い場所から高い場所まで隣の木々に大きな木の橋を繋げ、そこを行き交う人々や走り回る亜人子供達。

橋の上で商売をする元気な商人とそれを見定めしている亜人や冒険者。

巨大樹を利用して作られた家。


「これ、どこまで続いてんだ・・・?」


木々が邪魔だとは言え、アレスが見える一番奥まで続いている。


「ここは初めてか?」

「!?」


上を見上げて固まっていると声を掛けられる。


「初めてです。あなたは?」


アレス一行に声を掛けてきたのは1人の獣人だった。

ピンと立つ三角形で先端は少しとんがっている耳に、ふさふさの尻尾は低く垂れている。

胸部を隠す布とショートパンツだけの服装は水着かと思ってしまう程で、そこか見える肢体は全体的に筋肉質でわずかながら腹筋の線が入ってる。

褐色肌で腰には1本のロングソードと巾着を付けている。


「私はリシュナだ。お前達は冒険者か? どこから来た」

「はい。ラクスティアから来ました」


返事と共にギルドカードを差し出すと、アルトやアリサ、ネフィラも荷物から取り出し渡す。


「話が早くて助かる」

「先に準備しておくのは普通でしょう」


ギクッとアルトの動きが鈍くなる。

アリサとネフィラも聞こえているだろうが、特に気にした様子は無かった。


「いやなに、そもそも身分証を出さない輩が多いんだ。だから素直に渡してくれるのは両方にとって楽でいい」

「なるほど、そっちか」


準備しておく以前に出さない奴が多いのか。

確かにそれに比べたらネフィラもアリサも早いという事になるか。


「返すよ。着いてきて」


リシュアからギルドカードが返却され、着いていくと、1本の樹の元で止まり、上にいた者に声を掛けた。


「冒険者一行だ」

「了解」


樹の上にいた者が梯子を下ろしてくれる。


「なるほど、こうやって登るのか」

「早く行くわよ!」

「ちょっ! 押すなって!」

「そんなに慌てるでない」


こうしてアレス一行はユグラシア共和国都市オルフェリスに足を踏み入れたのだった。


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