合流
商王軍が投降し一時拘束の後、元ヴァルデスの屋敷で軟禁状態である。
全部隊が投降した後、敗北を認めたグラトスが籠っていた屋敷から自ら出てきて投降したため収監。
フィルドの魔法で燃え広がったヴァルデスの屋敷は雨が降っていたせいか被害軽微であり、今戦争で敗北した者達を一斉収監する為に使われている。
ーーー
「よっ! アレス!」
「えっ!? グレンさん!? 何どうしてここに・・・街を出たんじゃ・・・・・・?」
グレンが片手を挙げながらアレスに近づいてくる。
後ろにはアリサやアルト、ガルドパーティーの面々がいる。
「苦戦してるだろうと思って戻ってきてやったぞ! お前はいなかったがな!」
「ってことは、アリサ達の方を助けに行ってくれていたんですか・・・」
「おう!」
「ありがとうございます!」
冒険者だからこういう事もあると、戦わなきゃ行けない時は来るからと思ってはいたが、どうしてもアリサとアルトの心配は拭えなかった。
いつからガルドパーティーが居てくれたかは分からないけど、アルトとアリサは多少怪我しているが、もしガルドパーティーが来なくてもっと苦戦していたら、今よりもさらに重症、もしくは・・・・・・だったかもしれないと考えると、感謝してもしきれないな。
「やぁ、アレス君」
「ガルドさん、来てくれたんですね。ありがとうございます」
「うん。リーナとカナがどうしてもってね」
「当たり前よ! アリサ達を見捨てるわけないじゃない!」
「当たり・・・まえ」
アリサと話していたリーナとカナがこちらの会話に混ざる。
「ラクスティアから爆発音が聞こえてね。まぁ、正確にはカナが、だけどね。僕達は聞こえなかったから」
「私は・・・耳が良いからね」
「カナが爆発音が聞こえる! なんて言うから、ラクスティア方面を見たら街の上空で強力な魔法が見えた。それを見たリーナとカナが、寝ているグレンを起こして強引に引き連れて走っていっちゃたんだ。僕は止めようと思ったけど、流石に1人じゃ3人は止められなかったよ」
「嘘・・・ガルド、止める気無かった」
「そうよね! なんなら途中で私達を置いてグレンと2人で先に行っちゃったわ!」
「ま、まぁもう止められないと思ったから・・・どうせ行くなら、早く行ったほうがいいかなって思ってね・・・」
「やっぱガルドも心配だったんだろ!」
「そりゃあそうだよ。けど、僕はパーティーのリーダーだ。わざわざ避けられる危険地帯にメンバーを突っ込ませるのはどうしても、ね」
ガルドの反応に、グレンやリーナ、カナは嬉しそうな表情を見せる。
「嬉しい事言ってくれるじゃねえか!」
「そうね!」
「ガルド・・・私達の事、好きすぎ」
「そりゃあそうだよ。今までずっと皆でやってきたんだから。でもアリサもアルトも大切だから、悩んでたんだよ」
「アルトとアリサだけですか? 大切なの」
俺は大切じゃないのか・・・流石にそれは無いと信じたいが、もしそうだったら泣くぞ。
「アレスも大切だよ。けど・・・もしアレスだけなら、あんまり心配はして無かったかも」
「確かになあ。お前、もう俺達より強えしな。正直俺達がアレスに心配される側だな」
「アレスだけなら助けにいく必要無いわね!」
「私達いても・・・・・・足手まとい」
「いやいや普通に助けにきてくださいよ。今回だってめちゃくちゃボロ負けしたんですよ?」
ガルド達がからかうように言ってくるのを笑う。
「もう少しフィルドさんがヴァルデスを倒すのが遅かったら、多分負けてたのは俺達ですし。俺とロアクさんが2人がかりでも手に負えない相手が居ましたから・・・・・・」
「そんな化け物いるんなら、やっぱ俺達が助けにきてもどうにもならねえだろ」
まぁ、それはそうか。
あれは無理だ。
ほんと素直に降参してくれて良かった。
あのまま続いてたいたらと想像するだけで恐怖だ。




