参戦③
「アルトさん、先程の魔法はこの方達が・・・・・・?」
「あの二人と同じパーティーメンバーのリーナさんとカナさんです」
そう言ってガルドとグレンの方を見ながら2人の素性を軽く説明する。
「初めましてライオットです」
「リーナよ!」
「・・・カナ」
「お二人はこのままこちらに付いてくれるとうう認識で大丈夫ですか?」
「当たり前よ! アリサ達を助けに来たんだから!」
「・・・頑張る」
杖を掲げて大声を出すリーナに、親指を立てて任せろとばかりにカナが言う。
「リーナ姉達が来たし、私達も前へ行くわ! 行くわよアルト!」
「え!? ちょ、ちょっと待てって! あ、あああ! リーナさんカナさん! そっちはお願いします!」
アルトの腕を強引に引っ張って前線へと走っていくアリサ。
アルトは後ろを見てリーナ達に後方を頼み、そのまま連れ去られて言った。
「さぁやるわよ!」
「ん。任せて」
リーナが魔法で敵を凍らせ、カナが敵兵の腕や脚を弓で居抜きサポートする。
「ぐあああ!」
「1度下がれ! 体勢を立て直せ!」
「魔法使いをやるぞ! 前へ出ろー!!」
完全に混乱した鎮圧軍はバラバラの動きをしだし、対して革命軍はガルド達を除いた皆でリーナを主軸としながら相手を削っていく。
どんどんと勢いを増していく革命軍。
しかし、数では負けており、平均的な戦闘の質でも劣っているため、そう簡単には相手を沈める事が出来なかった。
時間が経つに連れ、問題は増えてくる。
「な、お、おい! あれ見ろ!」
「はあ!? 一体・・・何が起こって・・・・・・」
「あいつら・・・商王の屋敷に責めてんのか!?」
少し離れた場所から騒ぎ声が聞こえる。
冒険者、亜人、商人、住民など、続々と人が集まっていく。
そう、ついに周りに知られてしまったのだ。
幾らこの辺りに住民が住んでなくとも、幾ら皆が眠りにつく夜であろうとも、戦闘音を紛らわせてくれる雨が降っていたとしても、何度も続く各所からの爆発音や両軍の雄叫びが、人々を引き寄せてしまった。
そして問題はここからだ。
彼らは革命軍の大半のラクスティア国民を奴隷扱いや下と見ている者が多く、日々を暴力や理不尽な振る舞いをしていた。
そのため、この状況を見れば敵に回る可能性があり、そういうのも含め早期決着を望まれたが、奇襲組は予想外の自体に苦戦している。
彼らが武器をとり、革命軍の敵となるならば、横や背後から攻め込まれ、革命軍は脇腹を突かれ、取り戻していた勢いは一気に失速するだろう。
そしてそれは、殆ど決定事項でもあった。
「おいおい楽しそうな事起こってんじゃねえか!」
「俺らも混ぜてくれよ!」
「この状況ならSランク様も文句は言えねえだろ! こいつらが商王を攻めてるんだからな!」
「久しぶりの狩りだ! 行くぜえ!」
革命軍がいる大通りのさらに背後から、路地裏を通って横から奇襲をしかけてくる数十名の冒険者。
「ぐぎゃああ!!」
「た、助け・・・」
「助からねえよ! ぎゃはは!」
複数の革命軍メンバーが斬られ、固まって動いていた陣形が崩れ始める。
「っち! イカれた奴らだな! 人を殺すのがそんなに楽しいのか!? ああ!?」
「なっ!? 鉄の牙!? なぜお前らが!?」
「グレン! そっちは任せるよ!」
「ああ! 負けんじゃねえぞガルド!」
革命軍の誰もが願った、早く決着が着いてくれと。
これ以上犠牲が出ないように。




