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英雄を倒すには⑤

「ははははは! 楽しいのう! これ程打ち合える相手は久しぶりじゃ!!」

「うおおおお!!!!」

「・・・・・・」


ネフィラが今まで見てきた中で1番楽しそうにしている。

何回か一緒に行動したが、声に出して笑っているところなんて初めて見たな。

ロアクもネフィラに喰らいつかんと全力で両腕を振り、連撃を繰り出す。


それでもネフィラは隙を見つけてはロアクに反撃を繰り出そうとする。

それをアレスがネフィラのギリギリ見える範囲から攻撃を仕掛け、意識をこちらに向けさせ、阻止する。

そのおかげでロアクが防御を捨て全力で攻撃に回れている。


一見拮抗しているように見えるが、時間が経つに連れ、ロアクに傷が増えていく。

アレスが割って入るのはロアクに致命傷を与えうる攻撃の時だけ。

だから合間をねって軽く飛んでくる攻撃は全て無視している。

アレスは致命傷の攻撃を見極めるのに集中している。

そもそもアレスでは真正面からネフィラの相手を出来ない。


ネフィラが後退しながらロアクの攻撃を捌いているため、3人は常に移動しながら戦っている。

Sランクと、それを上回る化け物の攻防の余波にヴァルデスの屋敷は跡形もなく消え去っていく。


「そろそろヴァルデスが心配じゃ。楽しかったが、終わらせようかの」


そう言うとネフィラは最低限の防御と回避になり、一気に攻勢に出る!

全く当たらなかったロアクの剣はネフィラを掠める。

が、ネフィラの鎌はロアクの右手首を刈り取っていた。


「っち!」


ロアクは右手に持つ漆黒の剣を大きく振り、1度後退するが、ネフィラは構わず追撃してくる。


「うおらああ!!」


片腕しかないロアクでは絶対に止められないと、アレスが、ネフィラの隙を作ろうと気合いの入った声を上げ、剣を振るう。


「お主は殺したくないんじゃがのう」

「がはっ!」


剣を躱され、腹に良い蹴り貰ってしまい、数m後ろへぶっ飛ぶ。

しかしその一瞬で隙が出来た。


ダッ!とロアクはその一瞬で斬られた腕を拾い、そして・・・


「遥かなる海の彼方より、我らの地を侵さんと迫り来る絶望の闇よ」

「「!?」」


唄を、紡いだ。

ネフィラとアレスが咄嗟にロアクに向き直る。

ロアクが詠唱を紡ぐ姿は、アレスにはどこか神々しく見えた。


「燦然たる黄金の刃にて焼き尽くし、照らし示そう」


アレスの視界の端で、ネフィラが動き出す!


まずい!

ロアクは今片手しかない!

しかもその片手は、斬られて落ちた自身の右手も持っている!

俺が、動かなければ・・・!


「くっ、うう」


歯を食い縛り、立ちあがろうとするが、アレスは立てない。

ネフィラに蹴られ、壁に勢いよく衝突した。

ただそれだけで、アレスは殆ど戦闘不能になっていた。

アレスの弱点だ。

軽く斬られたりする傷なら耐えられる。が、内側に来るダメージに弱い。

それでも、その辺の冒険者よりは確実に硬いはずのアレスが何故動けないのか。

今回の相手はロアクをも吹っ飛ばして自身の倍はある鎌を片手で軽々と扱う化け物。

しかも、殺したくないから加減していてこれだ。


「光輝く我が(つるぎ)よ、闇を切り裂き、我らを導き、永劫の勝利を齎せ!」

「完成させんぞ!」


ネフィラがロアクの首を刈り取ろうと、全速力で一直線に走り出すが、間に合わない。

ロアクは右手首を斬られた断面に押し付けている。


不敗の太陽(ソル・インヴィクタス)!!」


キイイイン!


と、金属と金属がぶつかり合う甲高い音が鳴り響く。

ロアクが、ネフィラの鎌をギリギリの所で、白銀の剣を握った右腕で止めていた!


「!?」

「回復魔法・・・・・・? 今のは結構強く振ったつもりじゃったんじゃがな。まさか止められるとはのう」


ロアクの右腕が、くっついていた!

まるで何事もなかったかの様に。

そして、それだけじゃなかった。


ロアクが持つ漆黒の剣が、柄から鍔へ、そして刀身へと、徐々に黄金へ、そして色だけでなく姿形も変わっていく。

その剣はまるで、太陽の様に光り輝いていた。

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