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死にかけ転移者、剣の才能あったので冒険者やってます〜成り上がり冒険譚〜  作者: 寒い
第三章 交易国家ラクスティア

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過去

白銀と漆黒のロングソード。

冒険者の中でも、殆ど見ることのない二刀流使い。


「行くぞ!」

「はい!」


今は戦闘に集中!

鎌使いを相手にするのは初めてだ。

慎重にネフィラの動きを見極めて・・・


「ほう、二刀流とは珍しいのう」


ロアクがネフィラへ接近し、両手に持つ剣で相手に攻撃のチャンスを与えない程の蓮撃を繰り出す。


「早い・・・けど・・・」


ネフィラはそれを全て避けるか、鎌で防いでいる。

微笑を浮かべており、その表情からは余裕が見て取れる。


「ふむ」

「!?」


ネフィラは何かに納得したかの様に少し頷くと、ロアクの蓮撃の間を練って反撃に出る!


「っち!」


寸前のところで迫り来る鎌を躱すロアク。

その表情には、焦りと驚きがある一方で、嬉しさが見え隠れしていた。


「・・・・・・」


微笑を浮かべるネフィラと、時々ニヤつくロアクを側から見ていたアレスは何とも言えない気持ちになった。


ーーー


ロアクが二刀流を使う時は、いつだって相手を完封してきた。

20代にしてSランクへと到達した若き英雄は、自身の幼馴染である相方とは、別方面で天才だ。

ロアクには剣の才が。フィルドは魔法の才が、人一倍あった。

練習をする度に、すぐに強くなっていく。

周りの大人では、すぐに彼らの相手を出来なくなった。

かと言って先生を雇える金も持っていない。


だから、彼らは冒険者となった。

常に前線で戦って来た先輩冒険者達なら、自分達の手本になるだろうと思ったからだ。

心に期待を込め、ラクスティアの冒険者ギルドへ行き、彼らは失望した。

誰も彼もが彼らより弱かったからだ。

経験の差で多少苦戦することもあったが、次には彼らが勝っていた。

ロアクにとってそれは退屈だった。もしかしたらフィルドも思っていたかも知れない。


その時の彼らは、周りの冒険者から嫌われていた。

ポッと出の若造2人が生意気にも喧嘩を挑んできたと思ったら、ボコボコにされ、そして最後には馬鹿にしてきたからだ。

彼らは調子に乗っていた。

自分達に敵はないと思い上がり、ギルドの忠告を無視し、経験も大してないままダンジョン潜って、死にかけた。

初めての敗北だった。

2人が諦めかけた時、他の冒険者に助けられた。


たった1人でダンジョンに潜っていた冒険者。

自分達が勝てなかったモンスターを単独で撃破し、彼らを保護して街へと帰還。

初めて会った格上の人だった。

2人が彼に憧れるのは必然だったと言える。

2人は改心し、他の冒険者を馬鹿にする事は無くなり、冒険者業を勉強し、腕を磨き続けた。

しかし、それ以来格上会う事はなかった。

何度か苦戦する事はあっても、退屈だった。

あの時みたいな、自らの心を震わす程の圧倒的存在がいなかった。


そう、今日までは。


その者はまるで妖精かと見間違えるほど見目麗しかった。

その者は悪夢かと勘違いするほど強かった。

2本の剣を抜いたロアクでさえ、全く歯が立たない。

そんな相手を前にロアクの心は・・・・・・かつて無いほどに高揚していた。

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