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英雄を倒すには①

「「ヴァルデス!!!」」


長く続く廊下の奥、ついに今作戦の目標であるヴァルデスを発見する。


「蒼き氷よ、我が手に宿れ」


ヴァルデスを目視した瞬間、ロアクとフィルドは一直線にヴァルデスの元へと直進する!

間にいた兵は抵抗するまもなく、前衛のロアクによって無慈悲に切り捨てられていく!


「鋭き槍となりて敵を貫け!」


ヴァルデスを見つけ、走り出すと同時に詠唱を初めていたフィルドの魔法が完成する!


「お、おい! あれ!」

「おいつら、もうここまで!」

「ヴァルデス様早くお逃げください!」

氷結旋槍(フロストランス)!!」


瞬間、フィルドの周りに氷の槍が生成されていき、順にヴァルデスへ向かって放たれる!


「ヴァルデス様! ぐあああ!!」

「くっそ! お前ら! あいつらを止めるぞ! 私に付いて来い!」

「ヴァルデス様! こちらへ!」


フィルドの放った氷の槍は一本で数人の敵兵を貫き、ヴァルデスの至近距離まで近づいたが、相手側の決死の肉壁により、最後の最後で全ての槍が止められてしまった。

そして、ヴァルデスの近くにいた数人がこちらへ向かってくる。

今までの雑魚敵とは違う!

奴の周りを固めていた精鋭部隊が、ロアク達の進路を阻む!


「これ以上先は通させん! ヴァルデス様の逃げる時間を稼げる! 剣を抜け! 行くぞ!」

「「「うおおおおおお!!」」」」


雄叫びを上げ、剣を抜き、主人を狙う強敵をこれ以上進ませない為に、彼らは気合を入れる!


「邪魔だっ!」

「ーーー、氷結旋槍(フロストランス)!」


ロアクが正面から斬り込み、フィルドがロアクの手の回らない場所を魔法で援護しながら後ろに続く!

元々スピードの乗っていたロアクの斬り込みを止められず、横から攻めようとすればフィルドの氷も槍に貫かれる。


たった2人の侵入者の侵攻を、精鋭部隊を持ってしても止められない。


彼らが弱いのではない。

しかし、相手が悪過ぎた。

相手は新進気鋭のSランク冒険者、その勢いを止める事は難しい。


「と、止まりません!」

「止めろ! 命に換えてでも! 奴が到着するまで、我々が時間を稼がなければ! ぐっ! ぐあああ!」

「隊長! クソが! 止めろおおお!!」

「うおおおお!!」


彼らの努力虚しく、2人を止められる者は居なかった。

戦場で恐れたれていた傭兵も、名を挙げた傭兵も、騎士団崩れの腕っぷしを持つ者も、誰も彼もが2人の前では大した脅威では無かった。

たかだが、その地域だけで恐れられていた彼らでは、この辺り一帯に名を広げた英雄的存在であるSランク冒険者には敵わなかった。


誰もがヴァルデスの死を覚悟した。

ヴァルデス本人でさえも。


「蒼き氷よ、我が手に宿れ」


フィルドの詠唱が紡がれる。

それが完成した時、ヴァルデスは死んでいるだろう。

これを止められる者がいなければ・・・・・・


ガッシャアアアン!とフィルドの真横の窓が割れ、何かが入ってくる。

ロアクは咄嗟に後ろを振り向く。


その時の光景は、今までのどんな冒険よりも肝が冷えた事だろう。


窓から入ってきたその何かは・・・いや、人物は、漆黒に彩られた大きな鎌で、フィルドの首を刈り取る寸前だった。

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