革命前夜③
「それはもう仕方の無いことだ」
「ああ・・・・・・そうだな」
本来守るべきはずの国民を、今の戦力では守れない。
この腐った国を変えるために、この国を支えてきたというのに、虐げられてきた国民を守るために革命を起こそうとしているのに、それで多くの国民が死んでしまう事になる。
しかし、変えなければならない。
もしこの現状が続けば、国民は大勢死ぬのでは終わらない。
地獄の日々を歩みながら、着実に全滅への道を進んでいるからだ。
そうなるくらいならば・・・・・・
「私には娘が居ます。まだ成人もしていないと言うのに、母親もいない中、私もほとんど構ってあげられるず、苦しい生活をおくらせてしまっている。これ以上、苦しい生活をおくらせたくない。娘が将来、これ以上苦しまない様に・・・そのためなら、私は命だって掛けられます」
ライオットの目から確かな覚悟が垣間見みえた。
「フィルド様、私は感謝しています。フィルド様とロアク様がこの街の現状に怒り、問題を解決しようとしている事に。私だけではどうにも出来なかったこの街の現状を、フィルド様達が動いてくれたから、希望を持てたのです! どうか私達の事はお気になさらず、ヴァルデスを、商王を討ち取ってください!」
ライオットは声を上げ、今までに無いほど誠意を持って人に頭を下げる。
それを聞いていたフィルドはライオットの肩に手を置き、頭を上げさせる。
「商王は必ず、私達が討ちとります! ラクスティアと、その国民の為に!」
フィルドが正面からライオットを目を見てしっかりと、そして力強く頷く。
「あぁ、ありがとう・・・ございますっ!」
しばらくの間ライオットが感謝の言葉と共に嗚咽を漏らす。
周りはライオットが落ち着くまで皆で慰める。
そしてアレスは考える。
ライオットは、いやラクスティアの国民は今まで奴隷の様な仕打ちを受けてきたからこそ、今いる若い世代には、それを味わって欲しく無いと思っているのだろう。
だからこそ必死なのだ。
最終的に多くの人が革命軍に参加してくれたのも、その要因が大きいだろう。
皆、仲間や家族の為に、参加する事を決意した。
俺自身はラクスティアの国民でも無いし、彼らの辛さは分からないが、手伝う事なら出来る!
「すいません、もう、大丈夫です」
「・・・・・・それじゃあ、作戦の詳細を詰めていきましょうか」
ライオットが立ち直り、フィルドが軸となって今いるメンバーで作戦会議を進めていく。
革命を成功させる為に。




