ダンジョンの洗礼②ーーークラウス視点
これは・・・勝てないか・・・・ここからどう足掻いてもパーティーを立ち直せない。
ガルドと俺は一匹相手でも厳しい上に、まだ動ける方のカナは近接戦も出来るとはいえ、そこまで強くない。
そして、現在の主力であるアレスとは分断されてしまった。
このままモンスター共に押しつぶされ、俺たちが死ぬのも時間の問題だ。
・・・・・もう、無理だ。
こんなにピンチになったのはいつぶりだろうか・・・・・・
ーーーーーーー
ああ、確か20年前位にもこんな感じだったな。
その頃もソロで活動していたが、ダンジョン攻略に誘われ、臨時でパーティーに参加した。
しかしパーティーは壊滅寸前まで追い込まれた。
ダンジョンに巣食う悪との接戦。
その上、今同等のモンスターの大群。
連戦に続く連戦。
消耗しきったパーティーはモンスターの大群から逃げるように奥へ奥へ進んで行った。
もう、戻ることは出来ない位モンスターで溢れかえって・・・・・・救援を待っている暇も無かったから・・・・・
そして、がむしゃらに走り、逃げ回っていたらいつの間にかモンスターは居なくなり、ボス部屋の前まで着いていた。
こんな状態でボス部屋なんて行ける訳無いだろと!
文句を言いたくなったっけ。
・・・・・今はその時と一緒くらいピンチか?
ーーーーーーー
「カナ!もっと後ろまで下がれ!リーナ!一発で良い!魔法を撃て!!」
いいや!違う!
あの時に比べればまだ戦える!
あの時の絶望に比べれば!
あの時に比べ経験も積んできた!
「うおおおお!!邪魔だああ!」
!?
アレスがまだ吠えている。
なのに、師である俺が諦める訳には行かない!
まだカナも戦っている!リーナも!ガルドも!アレスも!誰も諦めちゃいない!
彼らの目には確かにここで死んでたまるものかという強い意志がある!
それなのに、俺が諦める訳には行かない!
「アレスの方に少しずつ進んでいk・・・ぞ・・・・・」
目が、合ってしまった。
モンスターに突進され、倒れていくアレスと.....
そして、もう諦めてしまったような眼差しが・・・・
ありがとうクラウス・・・・
アレスの口が小さく動き、そう言った気がした。
「アレス!!!」
手を伸ばす。
届かない。
・・・間に合わない!
俺の手が届く前にアレスはモンスター共の凶悪な爪で、牙で、体で、裂かれ、貫かれ、蹴散らされ、殺されるだろう。
ああ、勘弁してくれ。せっかくまたパーティーを組んで皆と冒険をできたって言うのに・・・・
俺が入った臨時パーティーがダンジョンなんでいつもこうなるんだ・・・・
アレスの目が閉じられ、モンスター達の攻撃が到達する。
ドガアアアアアアアアアン!!!!!!!!
瞬間、爆音が轟いた。
!?
一体今度はなんなんだ!
周りを見渡すと、モンスター共の周りで爆発が連続して発生している。
これは・・・魔法か!?
「クラウスさん!?大丈夫ですか!!!!!」
大きな声で俺の名が、アレスの方向から聞こえ、咄嗟に振り向く!
アレスを抱えている筋肉だるまが、そこにいた。
「ブライド!?」




