街の真相⑤
「・・・・・・まぁいい。貴様の言葉を信じるとしよう。そやつは警戒した方が良さそうだな。して、その者の特徴はあるか?」
「遠目でしか見えなかったが、恐らく若い女だ。成人しているかどうか、くらいの年齢だな」
「「「!?」」」
その場に居た一同が揃って驚く。
フィルドが目を細め、怪訝な表情を浮かべる。
少女、しかも未成年の可能性もあるって・・・ありえるのか? その年で、最低でも高ランクの冒険者集団を相手にしても勝てる程の強さというのは。
いや、でも今更嘘をつく必要もないだろうし・・・流石に嘘じゃないよな?
「嘘ではないだろうな」
「ここまで言って今更嘘はつかんよ。さっき脅されたしな。命が惜しい」
「・・・デイブ、私とロアクが護衛につく。商王と会え」
「はっ!? 商王と!? しかもお前達が護衛つくのか!?」
フィルドの急な提案に、デイブは混乱する。
「不満か? 相手にそれ程の強者がいるなら、私達が護衛に着いておいた貴様も安心するだろう」
「いや、でも、それはそうだが、商王と何を話せば・・・」
「私が商王と直接話す。お前は私達が安全に奴らの根城に行く為の駒だ」
「う〜む、しかしそう簡単には・・・」
「私の目的はこの街を昔のように戻すだけだ。現在腐った政治をしている商王の勢力を弱め、新たにこの街のトップを生み出させる。ただし、それは奴らの話を聞いてから決める。最悪、革命を起こすのも悪くない。どっちにしろ奴らの勢力が弱まる。そうなれば、お前も動きやすくなるだろう。どうだ?」
「ぬぅ、分かった。商王に取り合おう。誰に会いたい?」
「誰でもいい」
「そうか、会わせてやるかわりに、私をしっかり守れよ」
「無論だ。貴様に死なれては困る」
「それじゃあ早速商王と連絡を・・・」
「待て、その前に下で寝っ転がっている奴らの処罰を決める」
「?? あぁ、分かった」
デイブは忘れていたのか一瞬頭の上に?マークを浮かべたが、すぐに思い出したかのように話し出す。
「奴らにはランク降格を・・・」
「冒険者資格とギルドカードの剥奪。酒場の机や椅子、床や壁に出来た傷も全て奴らに受け持たせろ」
「そ、そこまでしなくても、」
「貴様も分かっているはずだ。奴らは冒険者にとってもギルドにとっても不利益な存在だ。評判が下がる上に、あれを見て冒険者になりたいと思う奴など居ない。それに、戦闘能力のない無抵抗な民をいたぶっていた。到底許されることでは無い」
「・・・そうだな。分かった。そうしよう。なら私はもう行くぞ。やる事が出来たのでな。フィルド、商王との場を設け次第連絡する。恐らく早くても2週間程かかるだろうが、尽力しよう」
「ああ」
最後に言葉を交わし、デイブはいそいそと部屋を出て行く。
「さて、ライオットさん。この街に起こった出来事を話してくれませんか?」




