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ゴミ掃除③

「クソガキ共が! 英雄気取りか!? 調子のんじゃねえぞ! やれ! お前ら!」

「やりやがったなガキ共が!」

「誰に手え出したと思ってんだ! 殺してやれえ!」


後ろで嘲笑っていた冒険者達が、ライナーに殴られた男の言葉を皮切りに突っ込んでくる!

周りで見ていた冒険者は面白くなってきたと言わんばかりに野次を飛ばす。


「アレス、マナとセラを頼む! 巻き込んでしまってすまない!」

「え? 俺もてつだ・・・」


そう言うとエリックはライナーの背中を追いかけ乱闘に混ざる。

いやでもエリックの言う通りあんまりマナとセラから離れない方がいいか。

けど、あの2人は大丈夫だろうか。


「おい! あの女達も仲間だな!? 早いもん勝ちだぞお前ら! 女の横で日和って動けねーやつもやっちまえ!」

「「「ひゃっはあああ!」」」


誰かが大声を張り上げると数人がこちらへ視線を向け、進路を変える。


「エリック達大丈夫だろうか」

「多分大丈夫ですよ。彼らも、アレスがいないうちに強くなりましたから」


こちらに向かってくる冒険者を無視してそんな悠長な事を言うと、セラが信頼が籠った声でそう言う。


「いかせるかああ!」

「ぐおおっっ!」


セラとマナを狙っていた冒険者をライナーが横から殴り止める。

エリックもライナーも、人数差の割に善戦している。


俺が覚えている彼らでは、こんな事は出来なかっただろう。

グリスヴァルドで別れてから、ここに来るまでに、俺と同じくらい、沢山の事を経験したのだろう。

そしてラクスティアに着いてから、故郷の村が無くなっていて、家族や友人も居なくなっていて、身体的にも精神的にも辛かったはずだ。

それなのに、彼らは立派に生きている。

自分達も辛い筈なのに、誰かの為に、不利な状況でも力を振るっている。

少しは、自分達の境遇への八つ当たりの様な感情も混ざっているかもしれないが、ただ、彼らの本質は変わってなどいなかった。


「おらあ!」

「ぐっ!」


ただ、少しずつ押され始めていく。

実力はほぼ拮抗している。

いや、不意打ちでの攻撃だったから最初は良かったが、この状況に慣れてくれば相手の方が強い。

その上数でも負けている。

少し不味いか。

そろそろ俺も参戦するべきか。


「はぁ、面倒臭いことしてくれたなクソガキがっ! おらあ! こんなもんか! お前らから手ェ出して来たからな、腕の1本2本くらい貰っても文句言えねえよなあ!」


そう言って相手の冒険者が鞘から剣を抜く。

あ、不味い、止めないとっ!


そう言ってアレスが剣を抜き、彼らの間に割って入ろうとした瞬間、


バキッと鈍い音がした。

「ぐああっ!」


エリック達に剣を振り抜こうとした男が、剣を落とす。

そしてその横には、誰かが男の腕を掴んでおり、剣を落としたのを確認すると、腕から手を離す。

男の腕は赤く不自然な曲がり方をしている。


「てっ、何すんだっ・・・・・・お、お前は!」


腕を折られた男が相手の顔を見た途端、一気に青ざめる。

一瞬の出来事に周りはポカンとしていたが、一気に顔を引き攣らせる。


「何してんだお前ら?」


少しのざわつきを中で誰かが呟いた声を、アレスは拾った。

「・・・・・・Sランク」、という言葉を。

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