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死にかけ転移者、剣の才能あったので冒険者やってます〜成り上がり冒険譚〜  作者: 寒い
第三章 交易国家ラクスティア

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交易都市ラクスティア④

「同感だね」


ガルドが頷く。


「とはいえ、今日来たばかりの僕達じゃあどうしようもないね」

「そうですね。そもそも何が起こっているのかもよく分からないですし」

「おーい! お前ら!高ぇ場所ばっかだから、ギルドの酒場でいいか!?」


結構離れてしまったグレン達が、後ろを振り返り、手を大きく振りながら声をかけてくる。

周りの人がグレン達とアレス達に視線を向ける。


「相変わらず声がデカイなあ・・・・・・分かった! そうしよう!」


グレンよりも少し声のボリュームを落とし、ガルドがそれに応える。


「とりあえず、僕達も行こうか」

「ですね」


ガルドに言われ、少し駆け足にグレン達を追う。


ーーー


「「なんか、微妙ね!」」

「2人とも、声がデカいよ」

「・・・」

「おらアルト! お前も食え!」

「ちょ、グレンさん! 早い早い! まだ食べきれてないって!」


アリサとリーナが姉妹のように完璧に揃って失礼な事を言い、ガルドが優しく注意し、カナは無言で食べ続け、グレンは何も気にしてなさそうにガツガツ食い、アルトの皿にもどんどん料理を追加する。

それを見ながら、さっきの光景を思い出す。


グリスヴァルドでも、オルディアでもああいった光景は見た事が無かった。

ここに来るまでに多くの国と街を通ってきたが、そこでも、ああいうのは見たかった。

というか、そもそもその辺の小国はどこも生活状況が厳しそうで、格差が殆ど無く、基本的に皆が同じような、言い方は悪いが、貧相な生活をしている人が多かった。


では何故ヴァルグレイ王国にも次ぐ国であるラクスティアが、ここまで格差が酷いのか。

いや、違うか。

問題はそこじゃない。

ヴァルグレイ王国も、格差はある。

都市と地方の街や村だと物価の差は凄いし、都市内でもあるとは思う。

けど、それを表に出す事は無かった。

他国から来た人からの印象が悪くなるし、治安も悪くなるんじゃないだろうか。

違うからもしれないけど、窓割れ理論みたいな感じか?


壊れた窓を放置すると、周囲の秩序が崩れていき、治安が悪化し、やがて重大な犯罪につながる的な理論で、これもそれに似たような感じがする。

ちょっと違うかもしれないが、自分より下の人に暴言や暴力、不当な扱いを日常的に街中で行い、それを見ている他国から来た人だけでなく、住人は、その者達は何でもしていい相手と思ったり、身分が下の相手に同じような事をしてしまうと思う。

それが日常に溶け込んで、犯罪やしては行けない事だという意識が薄れるからだ。

そうなると、その街の治安が悪化し、そのまま国全体に広がるかもしれない。


恐らくラドヴァン様や王様もそれを危惧して奴隷制度を無くそうとしてるんじゃないだろうか?

予想だけどね。

実際、ヴァルグレイ王国以外だと、街の少し奥に行けば、奴隷市場を簡単に見つけられた。

治安もオルディアやグレイヴァルドに比べて格段に悪かった。


それがこのラクスティアではまるで日常かのように行われていた。

さっき見た時だけじゃなく、この酒場に来るまでにも何度か見かけた。

使われなくなったような建物も放置され、溜まり場のようになっていた。

ここに長く住んでそうな奴は、亜人や冒険者も、ちょっと高そうな服を来ている住人も、喧嘩っぱやく、態度が悪い人が多かった。


あまりに異常な街だ。

何故こんな事が起きてるのか。


「・・・ん・レ・・君・・・・・・アレス君!」

「・・・あ、はい、すいません」


ダメだ駄目だ。

今は皆と食事中なんだ。

こっちを楽しまないとな。


「やっと気づいたね。アレス君、あの子、確か君の知り合いじゃ無かったけ?」

「?」


ガルドが指さした方を振り返る。

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