交易都市ラクスティア②
「話はこの辺にして、そろそろ行こうか」
「はい」
アリサやグレン達とは、既に結構な距離が出来ている。
ガルドと共に軽く走り、彼らを追いかける。
カナの操縦する馬車まで追いつく。
街はすぐ目の前まで来ている。
歩き、少しずつ近ずいていくところで、少し違和感を感じた。
ラクスティアはヴァルグレイ王国よりも多くの商人が多いって聞いてたけど、
「何か人少ない、か・・・・・・?」
1人言をしていると、隣にいたガルドも同じ事を思ったのか反応してくる。
「そうだね。前来た時よりも人が少ない。まぁ少ない時くらいはあると思うけど・・・・・・」
目の前に見える街の門に、人が少ない。
多少列は出来ているが、大行列という程ではない。
ここ数ヶ月、天気は良く魔物の出現も少ない。
こんな時期は、グリスヴァルドやオルディアだと、街に入る門は大行列だ。
少ない日でも、夜以外は基本的に列がなっている程人がいる。
馬車などを率いた商人よりも、冒険者や亜人の人が多い。
まぁでもこれはあまり違和感では無いか?
商人の街と言えど、出入りするのが商人だけでは無いだろうし、亜大陸に行くためにはラクスティアを通るのが1番安全だしな。
「なあガルド、前来た時こんなに人少なかったっか?」
グレンがガルドに問いかける。
グレンも疑問に思ったか。
初めて来た俺よりも、1度来たことがあるグレンの方が違和感は大きだろうな。
「いや、もっといたね」
「だよな。何かあったんか?」
「さぁ、まだ分からないね。とりあえず中に入ってみようか」
「だな!」
「入ってみれば何か分かるかも知れないですね」
グレンとガルドの会話を聴きながら、列の最後尾に並び、順番が来るまで待つ。
「おうおう! 何だあ!? てめえら? ここじゃあ見ねえ顔だな!? ラクスティアは初めてか〜?」
列に並ぶと、前に並んでいた剣を腰に掛け、プレートを付け、少しボサボサの髪をした冒険者らしき男が話しかけてくる。
敵意は無さそうだ。
というか、多分酔っている。
「僕達は1度昔来たことあるんですが、この街は随分雰囲気が変わりましたね」
ガルドが代表して返事をする。
敵意は無さそうだが、一応警戒していつでも剣を抜けるようにしよう。
アリサやアルトは気にしてなさそうだが、グレンも少し警戒しているようだ。
「そうかそうか〜。この街も色々あったからなあ〜。今じゃあの頃の面影は無くなってしまったな!」
「そうなんですね」
「ああ、お前さん達も気をつけろよ。この街は今、あんまりいい雰囲気じゃねえ。何か厄介事に巻き込まれるかもしれねえし、この先に用があるなら、すぐに行った方がいいぜ」
さっきまでぐだぐだ喋っていたのと一変し、真剣な顔つきでそう言う。
「そうなんですね。ありがとうございます」
「おうよ! おっ、俺の番か、じゃあ気をつけろよ」
そう言って男は進み、門番に話しかけ、中に入っていく。
「思ってたより早かったね。行こうか」
俺たちの番が来て、門番に話しかけ、ダスティン家の紋章を見せると、簡単に中に入れさせてくれた。
正大陸の最北端まで威光が届いているなんて、ダスティン家ってすげ〜。




