これから①
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傭兵団から宿に帰宅後。
ダイアスの言う通り、俺が1人で決めていいものじゃ無かった。
この世界の成人は15歳だ。
彼らも立派な大人に近づいている。
俺が1人で勝手に決めるなんて、そんな事は絶対にしてはならなかった。
「あいつらはまだ帰ってきてないか」
アルトとアリサはガンゾ達と共に訓練場に行っている。
そろそろ陽も沈んできた。
帰ってくる頃だろうか。
彼らもこの宿の部屋に泊まっている。
ーーー
陽もすっかり落ち、辺りも暗くなった。
アルトとアリサはまだ帰って来ない。
ガンゾ達が一緒だから大丈夫だとは思うが、帰りが遅いと心配になるな。
「帰ってきたわー!!」
「おい! あんまり大きい声出すなよ!」
廊下が騒がしい。
複数の聞き覚えのある声が聞こえる。
帰ってきたようだ。
「アレス、いるか? ガンゾだ」
部屋の扉がノックされ、声が聞こえ、返事をする。
「居るぞ。入ってくれ!」
そう言うと、扉が軋みながらゆっくりと開く。
「よおアレス。すまねえな。遅くなっちまった」
「アレス! 帰ってきたわよ!!」
ガンゾの後ろからアルトとアリサが顔を出す。
「おかえり。それで、なんでこんな遅くなったんだ?」
「アリサ達がクエストに行きたいって話を聞かねえからよ。街の外まで行ってたんだ。そしたら、思ってたより時間がかかってな」
「あ〜なるほど。飯は?」
「食ってきた」
「そうか。ありがとう。助かったよ、ガンゾ」
「いいよ、じゃあ俺はもう帰るぞ!」
「ああ、じゃあな」
「またねガンゾ! 今日はありがとう!」
「ガンゾさんさようなら!」
アルトとアリサもガンゾに挨拶をする。
「アルト、アリサ。着替えたら俺の部屋に来てくれ。話したい事がある」
「? わかったわ! 行くわよ! アルト!」
「あ、うん」
ガンゾが宿を去っていき、アルトはアリサに引きずられながら1度自分達の部屋へと戻った。
「ふう」
ベットに仰向けに倒れ、アリサ達が来るまで待つ。
彼らはどうしたいと言うのだろうか。
この街に残りたがるだろうか。
それともグリスヴァルドに帰りたがるのだろうか。
はたまた冒険者として世界を旅したいと言い出すのか。
今から話す事は、彼らの人生に大きく関わるだろう。
冒険者として生きていくのも、その中でもまた沢山の道があるからだ。
そんな話を俺が上手く纏め、導けるだろうか。
正直、俺だってまだ若いし、何をすればいいかとか分からない。
そもそも人生経験が少なく、薄い人生を送っていた。
・・・あくまで今日話すのは彼らのこれからについてだ。
ガルドにも、話を聞いてもらった方がいいかもしれないな。
「うん。その方がいい気がする。俺1人じゃ考えが偏るかもしれないしな」
ガルドさんなら、頼りになる。
「よっと」
あの子達が来る前に、ガルドを誘ってみよう。
そうと決まればすぐに部屋を出て、ガルドの部屋へと向かう。
「ガルドさん、起きてますか?」




