武闘大会ーーその後①
「それでは!! 閉会式を始めます!! アレス選手、前へ出てください」
司会に呼ばれ、前に出る。
前には王様や貴族、ヴェイル達が居る。
王様の前で足を止め、跪く。
「顔を上げなさい。武闘大会、優勝者ーーアレス。汝の剣技を余もしかと見届けた。実に見事であった。それは栄誉であり、そなたの名は、王国の歴史に刻まれる。これからも精進しなさい」
「アレクシオン陛下、ありがとうございました! アレス選手には、優勝賞金の受け渡しがあるので、後ほど運営本部へ来てください。それでは、これにて武闘大会を終了します! 参加者、来賓の方々、観戦してくれた皆さん!! ありがとうございました!!!」
武闘大会が終わった。
ーーー
「アレス君! 優勝おめでとう! ダイアス君も惜しかったね。アズルムさんだっけ? あの人強かったね」
「アレス! お前なら行けると信じてたぜー!!」
「二人共よく頑張ったわね!!!」
「うん・・・頑張ってた。えらい」
ガルド達と合流すると、グレンが肩に腕を回し、皆が褒めてくれる。
「ありがとうございます。皆さん」
「よっしゃあ! この後どっか食いにいくか!? 祝勝会だ!! 俺とガルドが奢ってやるよ!!」
「僕もか・・・まぁ良いんだけどね」
「はは、ありがとうございます。なら、ギルドの酒場で食べましょう」
「ああ!? そこで良いのか!? 今日くらいは高い所でも奢ってやるぜ?」
「いいんですよ。普段食べ慣れてる所の方が。それに、お高い所だと騒げないですよ?」
「ぁぁ、確かにそれは困るな! じゃあギルド行くぞ!!」
そんな事を話していると、背後から人影が見える。
誰かが来たようだ。
邪魔になるかもとガルド達に報告しようとすると、その人物は話しかけてきた。
「少し、失礼。アレス君に少し話があるんだが、良いかな?」
その人物はーー白銀剣騎士団団長、セリウス・アルヴァレイン。
ーーー
夕暮れの闘技場内に、たった2人の影だけが残っている。
「何でしょうか?」
「君は、騎士団に興味は無いか?」
「騎士団ですか?」
「ああ、私は君に入団して欲しい。白銀剣騎士団に。」
「!? それは、俺が優勝したからですか?」
「いいや、違う。もし君が優勝してなくても、私は君を誘っていただろう」
「それは、どうしてですか?」
「どうして、だろうな。私と君には、何か関係がある気がするからだ」
「関係? どんな関係があるのでしょうか?」
「さぁな、それは知らないでいい。それに、単純に君の実力なら、私の騎士団でも通用するからだ。君ならより高みを目指せる。どうだ? 待遇はよくしよう」
騎士団か・・・
黒鋼騎士団を断ったのに、白銀剣騎士団に入ったらシルヴィアさんにどう思われるか・・・
それに、騎士団に入ったらこの世界を回れなくなる。
まだ、知らない事は多い。
この世界を、冒険者として旅をしたい。
クラウスにも許可は貰ってるんだし。
「すいません。騎士団には、入れません」
セリウスの目を見て、はっきりと断る。
「そうか・・・それならそれでいい。君の試合、素晴らしい物だった。気持ちが変われば、いつでも王城に来るといい。私は待っているぞ」
そう言ってセリウスは去っていった。
「アレス!! 大丈夫か!? セリウスになんて言われた!?」
セリウスの後ろを姿が消えるまで見ていると、背後からまた誰か来る。
「ヴェイルさん! こんな所でどうしたですか?」




