武闘大会ーー本戦リーグ2日目⑤
「やるでは無いか、アレスよ」
「・・・ありがとうございます」
「それにしても、人間は剣の技術が総じて高いな」
「でも、皆魔族ほど力は無いですけどね」
「むっ、それは心外だな。魔族でも力が無いやつの方が多いぞ! これは俺が培ってきたものだ!」
「人間も、貴方より剣が下手くそな人多いですよ。剣の技術だって培って来たものです。あなたと同じで」
「確かにそうだな。すまなかった!!」
「いえ、分かってくれたなら大丈夫です」
「アレスよ。お前との戦いは楽しいな!!」
「そうですか。俺もアズルムさんとの戦いは楽しいですよ・・・1歩間違えれば下半身と上半身がお別れしそうですが」
「アレス、俺に敬語はいらん」
「そうで、いや、そうか。分かった。アズルム、続きを始めようか」
「ああ、そうだな」
剣を構え直し、対峙する。
スピードでは俺が勝ってるけど、体力はあまり差がないだろうから、持久戦に持ち込むのは無しだ。
「行くぞ、アレス!!」
「来い!!」
アズルムが大剣を上段に振りかぶる!
上!
いや、横からも!!
もう一方の剣が、横から飛んでくる!
片方は上に上がっている、姿勢を低くし、横から飛んでくる剣が頭上を通過する!
「その判断で良いのか!」
真上から剣が、高速で落下してくる!
相手の剣の側面に合わせ、軌道をズラす!
アズルムの剣が地面に衝突し、砂埃が舞う!
「おらああ!!」
横から来る剣を避けた時に掴んでいた砂をアズルムの顔目掛けて投げる!
「ぬう!」
アズルムは片手から大剣を離し、顔を砂から守る!
剣をアズルムの足の甲に突き刺し、地面と固定し、アズルムが使っていた大剣を奪う。
「おっらあああああああ!!!!」
大剣を思いっきり振ると、アズルムは避けることが出来ず、左腰から右肩辺りまでを袈裟斬り上げにする!
「ぐうおおおお!!」
「これで終わりだ」
剣を首に突きつける。
「お前の勝ちだ、アレス」
ドサっとアズルムが地面に倒れる。
「勝者! アレスーーーーー!!!」
「「「「「「わあああああああああああああああ!!!」」」」」」
この空間がはち切れんばかりの歓声が響き渡る!
「・・・何とか勝てたな・・・ごふっ!」
口から血が出てくる。
壁にヒビが入る程の勢いで背中からぶつかった上に、剣で防いだとはいえ、アズルムの直撃を喰らっている。
その上、魔族が使っていた自身と同程度の大剣を使ったんだ。
体が限界だったんだ。
「・・・」
視界が段々暗くなり、地面が目の前に現れたと思った時には、意識は無くなっていた。
ーーー
「・・・」
「アレス、お疲れ様」
ベットから上半身を起こすと、隣の椅子にダイアスが座っていた
「ダイアス」
「優勝おめでとう。アレス。怪我は全部運営の回復魔法使いが治してくれたよ。閉会式が有るらしいけど、行けそう?」
「ああ、行ける」
「じゃあ行こうか」
少しだるい体を起こし、ダイアスと共に闘技場へと向かった。




