武闘大会ーー本戦リーグ1日目④
「あっ、もう2回戦目か。次の相手は1試合目のどっちかだよな・・・どっちが勝つか見とくべきだったな」
少し後悔しながら待機していると、
「それでは、2回戦目1試合目の選手、両者入場してください!」
アナウンスが流れ、会場に入る。
2回戦目から選手紹介は無しか。
まぁ何回も同じ奴の説明するのは無駄だし、そんなものか。
「さっきの試合見たぜ。中々やる様じゃねえか。あのラージェルを簡単に倒すとはな。ただし! 俺はあいつと違って油断しねえ! 最初から全力で行くぜ!」
この人はさっきのラージェルより強そうだ。
ただ、苦戦するほどの相手じゃ無いのは、一回戦目の試合を見て分かっている。
油断は禁物だが。
「それでは、対戦始めええ!!!」
司会が叫ぶと同時に、相手が即座に後ろに下がった。
俺がさっきラージェルを速攻で倒しに行ったから、警戒されているのだろう。
慎重な相手だ。
ガンゾタイプだろうか。
とはいえ、長引かせても面倒なだけか。
そんな事を考えていると、相手が動き出す。
「来ないならこちらから行こう!!」
まっすぐこちらに向かってくる。
正面からじゃ負けはない。
相手の武器は剣だ、このままカウンターをして終わらせよう。
「簡単には負けんぞ!」
「!?」
男が腰にかけてある袋に手を突っ込むと、砂を掴み、アレスの目を狙い投げつけてくる!
砂に阻まれ、前方がブレる。
相手の姿が見えない。
いやそれよりも、まずは砂を避けなければ!
「っち!」
横に交わし、先ほどまで男が居た所をすぐに見るが、男は居ない。
どこだ? 左? いない。じゃあ右は? 居ない。
なら・・・下!
「っ!! 居た!!」
ジャンプと同時に、先ほどまで脚が合った場所に、剣が横切る!
後一歩遅れていれば、危なかった!
「ぐううう! 何のこれしき!」
ジャンプしたまま剣を抜き、相手の剣を持っていた腕を正確に刺す!
即座に剣を抜き、足で男を踏みつけ、剣を首裏に突き立てる。
「・・・降参、します」
男は力無く言ったのだった。
ーーー
試合後、控室にて。
「あの男、一回戦目では砂を使ってなかったな」
「毎回使ってたらすぐバレちゃうからとか? でもあの人3回も出場してるなら、一回ぐらいは使ってそうだけど」
「後は、自分が2回戦まで確実に進める自信があって、初出場の俺なら通用すると思ったとか?」
「初出場でも、この大会を見た事ある可能性はある訳だし、それはどうなんだろう」
「ま、知ってても警戒させられるから、不利って事は無いし、実際俺は危なかったからな。結構いい案だと思うけど」
「それはそうだな! 俺も警戒しとこう!」
「それにしても、まだあんまり強そうな人居ないな」
「いやそれはアレスが他の人の見てないからでしょ。強い人は居たよ」
「あ、まじ?」
「うん。何人か居たけど、多分アレスが当たるのは2日目だね。今日はそこまでだと思う」
「そうか。ありがとう」
「うん、じゃあ俺はそろそろ行ってくる」
「おう! 頑張れよ!」
ありがとうダイアス。
俺はダイアスの試合見てる時以外は控室でとしてたから、その情報はありがたい。
ちなみにダイアスはトーナメント表の俺の反対にいるから、当たるとしたら決勝戦だ。
ーーー
アレス、ダイアス、共に3回戦を突破し、2日目も出場決定。
今の時点で、トップ8に入る。




