協力
「長いね。」
入り組んだ廊下を走る。
アレスを先頭に、ダイアス、ガルド、グレンガンゾパーティーと続く。
奴隷達が囚われていた部屋を出て、何分ほど経っただろうか。
「ガルドさん、あの部屋に、アルトとアリサが居ませんでした!どこに居ると思いますか!?」
先頭を走るアレスが、前を向いたまま声を張り、後方を走るガンゾに答えを求める。
「多分だけど、ベルナールの所にいると思う!あっちも流石に突入組の存在に気づいているだろうから、どこかに隠れるか、逃げる為に動いてる筈!アルト君達も、そこに居ると思う!顔の良い奴隷を、奴隷商は易々と手放す事はないと思うから!」
「分かりました!」
ベルナール・・・奴さえ見つけられれば、アルトとアリサも同時に見つけられる可能性が高いと言う事か。
奴がここを抜ける前に、早く見つけ出さないと!
「居たぞ!侵入者だ!」
「これ以上奥まで入らせるな!」
「殺れ!殺れえええ!!」
奥から大量の敵が現れる。
「っち!邪魔、するなっ!」
苛立った様に、アレスが舌打ちし、少し乱暴に剣を振る。
今までならそれでも楽に倒せたが、今回は違った。
「おらああ!」
「!?」
アレスの剣を雑に受け流し、そのまま反撃してくる!
その事にアレスは驚きつつも、反撃を躱し、相手を殺す。
アレスにとっては、なんら問題もない相手であった。
しかし、先程までとは明らかに敵の質が上がっている。
強い味方を、近くに置きたがるのが、人間の質だろう。
「近くに、いるのか!?」
ベルナールに近づいてきている!
このまま突破出来れば!
「おらあ!行かせるかあ!」
しかし、この数、この実力の相手達を、無理やり突破するのは、足を止めてしまった今では、流石に無理な話だ。
一度、全員倒してからでないと、
「アレス!進めえ!!!おおおおらああああああ!邪魔あだああ!」
グレンが雄叫びを上げながら敵陣に突っ込み、アレスに先に進む様に促す。
それに続いて、ガルドやガンゾパーティーも前に出て、敵を押し除ける!
「アレス君!行って!」
「アレスううう!絶対捕まえろよおお!」
ガルドとガンゾが叫び、敵陣の真ん中に道が出来る。
「ありがとうございます!!!」
彼らが作ってくれたこの隙を、逃すわけにはいかないと、走り出し、一気に加速する!
「ダイアス君!アレス君に付いて行って!」
「はい!」
ガルドの言葉に、足が止まっていたダイアスもアレスに続き、敵陣を突破する!
「行かせるなあ!止めろ!止めろおおお!!」
「ごらあ!てめーらの相手は俺だあ!」
「ぐっ!」
追いかけようとした相手を横から押し除け、アレス達を追わせない為にグレンが立ちはだかる!
ガルド達に感謝しつつ、前を見据えて突き進む。
正面は行き止まり!右!
曲がった瞬間、目標の人物達を見つける事は出来た!
「アルト!アリサ!」
眠らされているのか、大きな男に抱きかかけられ、どこかへ運ばれている。
そしてその前方に、憎しみが籠った、それでいて驚きを隠せない顔をした、一度だけギルドで見た事のある、ベルナールが、居た。




