作戦会議④
さて、話し合いについては、こんなものか。他に気になる事がある人はいるか?」
ラドヴァンが問うと、アレスが手を挙げて応える。
「決行日はいつですか?」
「そうだな。10日後はどうだ?」
「10日後ですか・・・」
「何か問題があるのか?」
「ラドヴァン様は、俺が何故ベルナールを倒したいかを知ってますか?」
「ああ、知っている。エルンスト殿からの手紙に記載されていた。知り合いが奴隷に捕まっているから、ベルナールを失脚させ、その知り合いを解放させたいのだろう?」
「はい。」
「それがどうした?」
「実は、彼らがもう少しで、貴族の相手をしなければならないという状況にあるんです。だから、出来るだけ決行日を早めたいんです。」
「なるほど、その情報はどこからの情報だ?」
そう聞かれ、アレスは少し止まり、ダイアスの方を見る。
ダイアスはゆっくりと頷く。
「・・・実は、ダイアスはベルナールの戦闘奴隷の一人なんです。」
「!? ベルナールの?」
ラドヴァンだけでなく、ヴェイルやあまり話に入ってこなかった陛下も、驚いている。
助けようとしてる、解放させようとしていた相手がこの場に居るんだから、驚くのも無理はない。
「はい。彼は冒険者ギルドに対しての盾として、冒険者として活動させられている様です。」
「なるほど、わざわざ支部長までもが赴いたのは、それが理由か。」
「知り合いが居るのを教えてくれたのも、ダイアスです。彼が見た状況が、先ほど言ったことです。だから、早めたいんです。出来れば1週間以内に。」
「そうか・・・なら、今から6日後、その日を決行日とする。これでどうだ?」
「ありがとうございます!」
「よし、では、決行日前日の5日後の夜、ここへ再度集まってくれ。夜中に出発、夜明け前には攻め入る。突入組の詳しい話については、この後ここの会議室を使うなら使っってもらって構わない。」
全員が頷く。
「では、解散!」
そう言ってラドヴァンは陛下と一緒に、会議室を出る。
「ヴェイルさんは行かなくて良いんですか?」
「ああ、大丈夫だよ。俺の部下達が、陛下を王城へ送り届けるから。それより、今は突入時の作戦を決めないとね。ダイアス君、」
ヴェイルがダイアスの名前を呼ぶと、ダイアスが少し緊張した様に体を強張らせる。
「君から聞きたい事が沢山ある。いいかな?」
「は、はい!」
「あはは、そんな緊張しないで、リラックスしてリラックス。ほら、深呼吸。」
「すううはああ。」
「緊張もほぐれたかい?なら、本題に入ろうか。まず、君はベルナールの隠し基地の地形を把握しているかい?」
「いえ、俺があそこはものすごく広かったので、殆ど知らないです。」
「そうか、ならベルナールの貴族を除いた戦力は?」
「戦闘奴隷は、沢山居ます。詳しい数は、分からないけど、こっちの戦力は確実に多いと思います。」
「戦闘奴隷だけでも、僕達より多いか・・・」
「で、でも!俺より強い奴は居ない筈だったので、何とかなると思います。」
「戦闘奴隷以外だと居ないか?」
「戦闘奴隷以外だと・・・俺達奴隷を教育していた人とか、後はベルナールの近くに居る人とかです。とくにベルナールの近くで護衛している人は、俺より強いと思います。」
「なるほど、君より強いとなると、そいつらは警戒した方が良さそうだね。」
「じゃあ次は、」
1時間程続いた後、完全に解散した。




