ダンジョン攻略②
「中々に順調ですね。」
「そうだな。アレスが予想よりも強かったおかげだな。」
「ああ、それに今回はクラウスさんも居る。もしかしたら記録更新出来るかもしれないですね。」
「もし出来ればもっと儲かるな。」
前衛2人がそんな事を話ながら進んでいく。
「ガルド!グレン!曲がった先に狂血熊が3匹!」
カナが叫ぶ。
普段は物静かな彼女だが、ダンジョンに潜るとしっかり索敵の役目を果たしてくれる。
「「了解!」」
「アレス君!前衛に出て一匹受け持ってくれ!」
「分かりました!」
ガルドからの指示を受け一気に全線まで出る!
「アレス!お前は真ん中をやれ!俺たちが両端を行く!」
「はい!」
グオオオオオオ!!!
でかい!
2mと少し位か?
まずは機動力を失わせるために足を狙う!
相手目掛けて疾走する!
「うおおおおッ!!」
狂血熊が大きく振りかぶり、勢い良く腕を振るう。
が、そこまで速くない・・・・どころか少し遅いまである。
やはり体が大きいと少し速さも落ちるな。
・・・・・ブライドさんは別だけど・・・・
ガアアアアッ!!
「ふっ!」
低く構え、狂血熊の腕を避ける!
すれ違いざまの一瞬の隙をつき、斬撃放つ!
しかし、刃が毛皮を滑る感触が伝わる。
ちっ!思ったよりも浅いな!
毛皮が厚い!
上手く斬れない。
・・・・なら!何度でも!
「 赤き炎よ、我が手に宿れ!」
背後から詠唱が聞こえる・・・・リーナ魔法は高まっていく!
魔法!
これが魔法か!
――鋭き槍となりて、敵を貫け!!」
「アレス君!下がって!!」
「!!」
急いで狂血熊から離れる!
〈焦熱旋槍〉!! 」
炎の槍がリーナの前方に生み出され、高速で狂血熊に向かって放たれる!
そのまま胸に突き刺さり、爆ぜる!
ドゴオオオオン!!!ドオオン!!
3匹の狂血熊達が砕け散る。
1段落着いたな。
・・・・・あれ?こいつの魔石やらは要らないのか?
「ガルドさん、こいつの魔石とかは回収しないんですか?」
「そうだね、アレス君も分かったとは思うけどこいつ、固いでしょ?だからリーナの魔法じゃないと倒しにくいんだよね。」
ああ、なるほど。
確かに滅茶苦茶硬かったな。
ここに来るまでの魔物は全て一撃で断つ事が出来たのに、狂血熊相手には浅い切傷位しか出来なかった。
「魔石とかを取ろうとして倒すと、時間が掛かりすぎるんだよね。だからリーナの魔法で爆散させた方が良い。他のモンスターを狙った方がね。」
確かにそっちの方が効率がいいか。
狂血熊よりも高く売れるモンスターは奥に行けばもっと居るだろうし。
「今日はこのくらいにしようか!野営準備しよう!」
「わかったわ。私はテント張るわね!」
「私も手伝う。」
「よっしゃあ!今日は結構順調だったな!」
リーナとカナがテントを張り、グレンが今日の戦闘の感想を述べる。
「ガルド、俺はアレスと入り口を見張っておく。」
「ありがとうございます。頼みますクラウスさん。」
現在はダンジョン6階層の袋小路にいる。
この場所は各階層内にある安全な場所。
そのため出入口を見張ってさえいれば、モンスターに襲われる心配は殆どない。
「アレス、行くぞ。」
「うん。」
ここに来てからクラウスと2人きりになったのは初めてだな。
ずっと他の人達が一緒にいたからな。
「アレス、ダンジョンはどうだ?」
「まだ上手く連携は出来ないけど、この辺のモンスターには慣れてきたよ。」
「そうか、でも狂血熊を倒せなかったな。」
「いやあれは毛皮厚すぎるでしょ。あれは無理だよ。クラウスはいけるの?」
「当たり前だ。あれくらいなら簡単に斬れる。というかお前でも斬れると思うぞ。」
「マジか・・・・あんなの斬れんのかよ・・・・」
めっちゃ浅くしか斬れなかったけど・・・・・クラウスはあれ斬れんのか・・・・・っでも流石に俺は無理だよ。
「ああ、斬れる。アレス、お前は強くなった。技術も上がったし、判断も速くなった。ただお前は相手の弱点を、斬りやすい場所を見るけるのが苦手だな。」
「斬りやすい場所?」
「そうだ、大抵モンスターにも柔らかい所はある。狂血熊の場合は毛皮が薄い所を狙えばいい。」
「毛皮の薄い所・・・・腹とかか?」
「そうだ。」
なるほど、確かに腹なら斬れるかもしれないな。
さっきは足止めという事に集中しすぎて、足しか狙っていなかった。
・・・・・相手をもっと観察しないとな・・・・
「クラウスさん!アレス君!ご飯が出来たよ!」
「冷める前に食べるわよ!」
「お腹減った。」
「速く食おうぜえ!」
まあ今は食事楽しもうか。
ダンジョン内での唯一の娯楽だ。
「今行きます!」
面白いと思ってくれたらブクマしてくれるとモチベ上がります!