ヴェイル・ラグナス
「俺は、紅焔騎士団の団長。ヴェイル・ラグナスだ!」
「紅焔騎士団・・・」
本当に?
この人が、あのシルヴィアさんと同じ、騎士団の内の一つの団長?
そんな人が、ここで何をしているんだ?
「ヴェイル?さんは、本当に騎士団の団長なんですか?」
「分からないかい?ほら、」
そう言ってフードを脱ぐと、青色の髪に、空のように澄んでいる水色の瞳。顔も整っている。
「?」
「えっ!?分からないのか!?アレス、君もしかしてオルディアの人じゃない?」
「あ、グレイヴァルド要塞都市です。」
「真反対か〜。それは知らないのも仕方ないか。けど、顔は知らなくても、存在くらいは知ってるよね!?」
「まあすごく強いって事くらいは・・・」
「それだけ?」
「はい。」
「まっ良いか。知ってくれてるだけでも嬉しいね。これからは俺の顔も覚えてね。まぁこんイケメンを忘れるとは思わないけど。」
「そうですね。」
「ははっ!冷たいねえ!けど、それも良い!」
ナルシストか?
癖強いなあ。
悪い人ではなさそうだけど。
「ところでアレス。」
「何ですか?」
「ダスティン家と仲良いの?」
「え?ダスティン家ですか?何故急に?」
ストーカー?
何で俺がダスティン家と繋がりがある事を知ってるんだ?
「いやさ、ラドヴァンさんが王城に来て陛下と話してたんだけど、そん時になんかアレスって名前を出してた気がするな〜って思って。もしかして今俺の目の前に居るアレスではっ!?って思って聞いた。」
「はあ、なるほど。
王城て・・・本当に騎士団の団長っぽいな。
王城に行ける人なんて、限られてるだろうし。
「で、どう?本人?」
「多分本人ですね。」
「多分なんだ?」
「俺以外にもアレスって名前は居ると思うので。それがダスティン家と繋がってる可能性もあるかも知れないし。」
「あ〜確かにな!けど、冒険者って言ってたから、お前の事だと思うぜ!」
「なら俺の可能性が高いか。」
冒険者で俺以外にアレスなんて聞いた事ないし。
まぁ冒険者以外もだけど。
「なあ?一体ラドヴァンさんとどんな話をしてたんだ?あの人が陛下に伝えるくらいだ。結構大きい事でもしようとしてるんじゃないか?」
「・・・」
これは、話して良いのだろうか?
この人が王族やダスティン家と仲が良いなら、味方になってくれる可能性はあるか?
もしそうなれば、戦力過多になりそうではあるが、その分安心して攻められる。
どうするべきか。
「話しにくいか。」
「どれくらい信用出来るか分からないので。」
「ああ、そうだな。どうすれば信用出来る?」
「あなたは、ラドヴァン様の味方ですか?」
「ああ、もちろんだ。俺は陛下に使えてるけど、ラドヴァンさんは陛下と仲が良いだろ?だからラドヴァンさんは俺の味方だ。それに、あの人には個人的な恩がある。」
どこまで信用して良いかは分からないが、この人の立場ならいずれこの話を聞く事になるかもしれない。
なら、教えても問題ないか。
なんなら、接触できたのは運が良かったかも知れない。
今のうちに味方になってくれるよう頼み込めるしな。
「分かりました。話しましょう。」




