誰?
「ふあああ・・・何しようかな・・・」
昨日、ガルド達とギルドの支部長であるゼルガに会いに行って、とりあえず明日のダスティン家での会議に、顔を出させる約束をするのに成功した。
明日までは特にやる事ないな。
ここ数日一人で活動する事も無かったし、久しぶりに一人でクエストってのも良いな。
「・・・行くか。」
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「ふっ!!」
ギャッ!!
「よし、これで最後か。ゴブリン狩りも慣れたもんだな。」
森の中で、今倒したゴブリンの死体を集めながら、そんな事を呟く。
いつになったら、クラウスに追いつけるだろうか。
いや、追いつくだけじゃ駄目だな・・・抜かさないと。
ずっと考えていた、俺は何をすれば、クラウスに恩返しをした事になるのか?
俺がクラウスに返せるものなんて、してやれることなんてあるのだろうか?
「案外思いつかないもんだな。」
ただ今は、クラウスから教えてもらった事を、さらに磨こう。
いずれ剣が、役に立つ事が有るかもしれないから。
今はただ、磨き続けよう。
「よしっ!次行くか。」
ゴブリンの死体を焼き、次の獲物を探しに森を回る。
今日のクエストは特に討伐数が決まってる訳じゃなく、狩った分だけ報酬を貰える。
初めて受けるタイプのクエストだ。
丁度今日はやる事無かったし、良いタイミングだ。
「ん?」
木が少し開いた場所に、大きな岩がある。
その上に、フードを被った人?が居る?
ゴブリン?では無いか?あいつらがフード被ってる所見た事ないし。
「・・・」
岩の少し横を歩き、通り過ぎる。
チラッ岩の上の方をと覗く。
人のようだ。
ゴブリンとかじゃないなら良いか。
「ちょっと!そこの君!!」
通り過ぎようとすると、上から声がかけられる。
「? なんですか?」
「そんな警戒しないでよ。君、冒険者?」
「はい、そうですけど。」
スッと岩から降りてくる。
軽い身のこなし、フードで見えにくかったが、剣も帯刀していた。
ーー強い。
とはいえ、クラウスやシルヴィア程では無い。
今の俺なら、勝てるか?
「若いのにソロで活動?根性あるね君。まぁでも君強そうだし、この辺だと余裕かな?」
なんかチャラいな。
グイグイと踏み込んでくるなあ。
「あなたはここで何をしていたんですか?」
「俺?俺はね、昼寝。」
「昼寝・・・」
こんな魔物だらけの森で昼寝してるのか。
よっぽど腕に自信があるのか、それともイカレてるだけなのか。
まぁ両方な気がするけど。
「君、名前は?」
「アレスです。」
「アレスか!良いね!Aランクかな?」
「Bですけど・・・」
「B!?本当に?もっと強そうだけど・・・やっぱり冒険者ギルドのも、ランクの決め方は実力重視でどんどん上げて行けばいいのに。勿体ないなあ。」
「あの、あなたのお名前は?」
「ああごめん!言うの忘れてたね!俺は、」
ギャアギャアギャア!!!
「囲まれちゃったね。」
「ゴブリン多いですね。」
さて、どうしたものか。
あまりに数が多い。
ざっと4,50は居る。
面倒くさいが、探す手間が省けた。
「これは、俺がやるよ。君は見といて。」
「え?」
そう言うと彼は、何かを呟き出す。
「燃え盛れ、無明の輪廻。」
これは、魔法!?
「地獄の旋律!!」
彼の足元が赤く燃え上がり、地面を伝ってゴブリン達の真下へと向かい、螺旋状の火柱が巻き起こる!!周囲360度、ゴブリンを焼き尽くす!!
「名前だっけ?俺はーー」
 




