情報共有③
「ギルドとこの国の貴族は、繋がりがあまり無いって言ってましたけど、それでも話は聞いてくれるんですね。」
「流石に話くらいは聞いてくれるよ。それに、ダスティン家が裏に付いてるような奴を無視するのは、しないだろうしね。ダスティン家と王族の仲の良さは、他国でも有名だから。ダスティン家と敵対すると、最悪の場合、大国の王族も敵につく事になるからね。」
「なるほど、確かにそれは避けたいって考えますね。」
そんな事を駄弁りながら職員について行くと、一室の前で止まり、扉を叩く、
「ここで支部長がお待ちしております・・・件のお二方を連れてきました!」
「入れ。」
「失礼します!」
職員に続き、部屋の中にへと入ると、そこには既に人が居た。
白髪混じりの髪をオールバックにまとめ、グレンと同等くら程の身長、ガタイが良く、目つきは鋭い。
「オルディア城塞都市支部の、支部長のゼルガだ。」
「はじめまして。ガルドです。」
「同じく、グレンだ。」
「アレスです。」
「ああ、座れ。」
そう言ってゼルガが座っている
「それで?公爵家の紋章を使ってまで、俺と話したかった事とは何だ?」
「率直に言います。クエストを発行して下さい。」
「クエスト?危険な魔物でも出たか?相手は?」
「大商人、ベルナール・バドルに対してです。」
「!? 正気か?」
「はい。」
ゼルガはこいつマジかっという顔で、ガルドを見つめる。
いきなり公爵家の紋章持って凸ってきた奴が、大国の大商人相手にクエストを出してくれって・・・確かにカオスな状況だな。
俺がゼルガの立場なら、同じ顔をするだろう。
「発行出来ますか?」
「無理だな。そもそもリスクが大きすぎる。確かに奴は犯罪を犯しているだろう。しかし、商人として、この国の経済を潤わしているのも事実だ。もし奴が冒険者に潰されたと知られれば、冒険者ギルドは非難の嵐だろうな。このギルドは、冒険者以外の人も多く利用していて、それでこの支部の維持費に当てている。人が来なくなると、最悪、オルディアでは冒険者ギルドが無くなる事になる。それは君も困るだろう?」
「確かにそうなれば困りますが、僕はそうなる事は無いと思います。」
「なぜだ?」
「それは公にクエストを発行した場合の想定ですよね?クエストを発行するのは、僕が集めた信頼出来る冒険者だけで固めて、出来るだけ少数で速やかに処理をします。秘密裏にやれば一般の人は、誰がやったかなんて分からないかと。」
「可能性がゼロだと言い切れるか?」
「ゼロは無理です。」
「ならこの話は、」
「ただし、出来る限りゼロに近づける事はできると思います。というか、隠す必要もないかと。」
「なに?どういう事だ?」
「アレス君、ラドヴァン様と会う事はできるかい?」
ガルドはゼルガの質問を無視し、アレスに声を掛ける。
「あ、はい。会えます・・・えっと、2日後、ダスティン家にもう一度来いと言われた時、他のリーダー格も連れ来いと、言ってました。」
昨日言おうと思ってたのに、完全に忘れてた!
ありがとうガルド!
「ではその日、ゼルガさんも来てくれませんか?」
「俺はまだ協力するとは言ってないぞ。」
「ベルナールが取り押さえられた場合、彼の財産は全て没収になります。協力してくれれば一割、いえ、二割をギルドに渡すよう、交渉します。」
「二割・・・」
大商人の全財産から二割・・・無視出来る額じゃないのは、俺でも分かる。たったの二割でも、死ぬまで豪遊したとしても、余りあるほどのだろう。
「・・・・・・分かった。とりあえず、2日後の話には参加しよう。そこで最終判断をする。」
「ありがとうございます。では失礼します。アレス君、行こうか。」
終わったか。
今日のガルド、珍しくグイグイ行ってたな。
 




